【延長戦】SaaSの組織にはOKRが向いているのではないかという仮説
9月11日にハイマネージャー(@himanager_me)主催のイベント「OKR/1on1/CFR勉強会#1」を開催しました。6人のスピーカーが各々の事例、知見を共有し、30人の参加者と共にOKR・1on1・CFRについての学びあいの場となりました。
5人目のスピーカーは、株式会社ギブリーで「track」や 「codesprint」というサービスを運営する山根さん。
現在組織が拡大フェーズにあるという中で、自身の管掌領域の事業部が「50人の壁」に当たっているそう。その中で大切にしているのは「従業員満足度(EX)」の向上。そのために、1on1時に上司と部下の期待値を擦り合わせる「Expectation alignment(EA)」の重要性をお話頂きました。
ここまでで時間が迫っていたのですが、山根さんがどうしてもお話したかったのが「SaaSの組織はOKR向いているのではないか」という仮説について。延長戦として、お話頂きました。
SaaSに必要な「チームで共創する力」と「顧客と共創する力」
あとごめんなさい、時間が迫ってきてるんですけど、話したかったもう1個のテーマがあって…いいですか?(笑)ほんとすみません、、、ありがとうございます。
あの、SaaSの会社はOKRと相性がいいんじゃないかな…というのが僕の仮説で、すこしずつ組織で浸透させようとトライしているところです。まだまだなんですけれども(笑)。正直まだ答えが出ていないですが、仮説として聞いていただければと。
SaaSの会社って、クラウドサービス✖️サブスクリプション…みたいな定義がしっくりくるんですが、高度経済成長期の日本で多かった「作って売って、作って売って」の繰り返しのビジネスモデルとは違い、SaaS組織は顧客・ユーザーによりよい価値を提供し続けるために、いろんな役割、たとえばマーケ、インサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセスがあり、それらが向き合っている関係性が重要だと考えていまして。
そういう意味で、SaaSの作り手となる人物像、これは私が個人的に最近採用活動をする際に意識しているんですが、どの役割を担う方だとしても必要な姿勢を持つ the SaaS人材に必要な思考として、従来の「個人として自立自走する力」(セールスは売る、開発はつくる、カスタマーサクセスはチャーンを防ぐ)という視点に加えて、「チームで共創する力」と「顧客と共創する力」の2つが必要だと考えています。
SaaSは「自分のKPIを達成していればOK」という考え方では成り立たない
さっきのWACULの池田さんからも、OKRは主語が「チーム」だ、というお話とも繋がると考え方なんですが、個人でセールスでガンガン売れる人とか、マーケでリード取れる人たちにとって、自分自身が評価されることだけを考えたら目の前のKPIだけ達成していればよくて、それで会社も評価してくれるのがこれまでの当たり前なんですよね。
でもSaaSのモデルって、自分のKPIを達成していればOKという考え方では成り立たないビジネスモデルなんですよね。そのビジネスモデルやっている人にはすごいわかる話だと思うんですけれども。
例えばなんですが、マーケティングのリード獲得目標が今月500件でインサイドセールスの商談数目標が50件、受注が10件だったとして。ただ、マーケ施策があまりうまく行かずに、とにかく捨てリードになる可能性が高いカンファレンスやイベントへの協賛や参加でリードをとりまくって500件達成したとします。
なにが起こるかというと、商談化率が下がったり、無駄な商談にフィールドセールスのパワーをさかないといけなくなったり、ホットな案件に注力できなくなったりします。そして受注件数が10件達成できなくなる・・・または無理やり受注してチャーンリスクの高い顧客をカスタマーサクセスが無理やりサポートする、みたいことが起こります。
OKRが「個人最適」と「全体最適」の2つの視点を育む?
この時に、自分のKPIを追うだけでなく「チームで達成する思考」を持っていると、新しい選択肢が生まれてきます。500件が当月の目標と設定されていたとしても、50件の商談、かつそれがホットだったらなお良くて、10件の受注を取ることにも視界があるマーケであれば、300のリードだけになってもいいからインサイドセールスとホットな50商談をとり、10受注することを目指してもいいかもしれませんし、300リードから超ホットな商談を30とり、30%程度の受注率をセールスに踏ん張ってもらい、10受注するという連携の仕方もあるかもしれません。また、マーケリードが500行かなそうだな・・・とわかったタイミングで、セールスやインサイドと新しい施策を提案して助け舟をもらうことでも解決するかもしれません。
しかし、自分の役割以外のことをやっても組織が評価してくれるわけではなかったりするんですよね。制度や行動指針でそれを推奨することや評価の一部に加えることはできるんですが、明確にここでの行動がどう評価に繋がるかは明確化、言語化しづらいです。
このような状況を一見すると、「個人としては最適化された動き」と「チーム全体にとっての最適化された動き」の2つは、矛盾する考え方なんですが、この矛盾と向き合いながら時と場合によってバランスをとったり、行ったり来たりしながら組織が大きくなっていくことをあえて推奨することに大きな価値があると考えています。
そして、これは本当に仮説で、、、「数ヶ月後にやっぱり違いました」っていうかもしれないんですが、今の私の考えでは、この両方の視点を成熟させるのにOKRはとても親和性があるのではないかと考えています。
組織としてのObjectiveを設定してチーム全体の目標を認知してもらいつつ、個人としてのObjectiveやKey Resultを設定してアクションする。ここに、上で述べたような、「個人最適」と「全体最適」の2つの視点を、矛盾するようですが同時で達成するような思考を育むんじゃないかなと。
仮説なので、ぜひ今後のtrackに注目いただけたら嬉しいです。
すみません、ちょっと長くなってしまいました。
ありがとうございました。
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