良いOKRを設定するための極意/作成手順も徹底解説
OKRや1on1、リアルタイムフィードバック、人事評価等などパフォーマンス・マネジメントを実現するオールインワンクラウド「HiManager」を提供するハイマネージャー株式会社では、経営者・人事担当者様の人事戦略への理解を目的にした、「【無料オンラインセミナー】OKR集中講座」を開催。
OKR集中講座では、HiManagerを通じて100社以上支援していく中で見えてきた、「日本型のOKR導入」について計4回に渡って解説をしました。
本記事では、2023年8月に開催させていただいた第2弾「OKR集中講座~正しいOKR設定の極意」でお話させていただいた内容を元にレポート形式でお届けします。
イントロダクション
ただいまから「正しいOKR設定の極意」について、私、五十嵐からご案内させていただければと思います。
本日のセミナーの流れがこちらとなっております。
どうぞよろしくお願いします。
オブジェクティブ・キーリザルトの関係性
まず、オブジェクティブとキーリザルトの関係性についてご紹介します。
ポイントは、オブジェクティブが達成したかどうかを判定できる結果をKR(キーリザルト)で示す事ができるかどうかになっています。
例えば、「スリムで健康的なカラダになる」というオブジェクティブを掲げた際に、KRは「体重を〇〇kgにする」「摂取カロリーを〇〇以下にする」「筋肉量を〇〇にする」など、それを達成したら「スリムで健康的なカラダになった」といえる状態で、KRを達成する理由になっている事が大事です。
オブジェクティブ設定のポイントについて
では、良いオブジェクティブはどのようなものでしょうか。
良いオブジェクティブは、それを達成することにワクワクすること、
そして、なるべくシンプルになっていて、スローガンのような目標となっているものだと考えています。
一方で、悪いオブジェクティブは2つあり、
1つは数字を設定してしまい、売上そのものや生産性そのものが目標になっているものです。
それを達成することで叶えたい未来、ありたい姿を定義できていないことが問題です。
また、2つ目は、数字ではなく、定性的な目標にはなっているんですが、それがなりたい姿にはなっておらず、ただ結果を定性で表しているものです。こちらも1つ目同様にありたい姿・状態を示していないのが問題です。
スライドは一例ですが、それを達成することでワクワクするか、なるべくシンプルになっているか、スローガンのような目標となっているか、といったポイントを意識して、良いオブジェクティブを作成しましょう。
キーリザルト設定のポイント
続いて、良いKR・悪いKRとはどのようなものでしょうか。
端的に答えると、悪いKRは簡単すぎるとか、実現してもオブジェクトを達成できないというところですね。
また、良いKRは具体的な行動がイメージでき、進んでいく上でどういうことをすればいいのか道筋が明確になっている、その結果オブジェクトが達成できるか、とはいえ、それが押し付けになっていかないか、この辺りが設定の中で重要だと思っています。
また、KRを作る上ではやはりSMART-スマートと言われてる目標設定の考え方もすごく重要になっていきます。
特に上から三つのS(具体的)・M(測定可能)・A(非現実的でない)がとても重要です。
ただ具体的で測定可能と聞くと、KR=定量的であること、数値じゃなきゃいけないんじゃないかとみなさん考えると思います。
この点、別に数字じゃなくてもいいと思っておりますので、この辺りをこの後ご説明させていただければと思っております。
まず、数値じゃなくてもいいよと言いつつも、数値が含まれているものは、測定しやすく明確になるので、これで置ける目標はちゃんと置いて欲しいと思っています。
例えば、営業系であれば売上がいくらになっていること、管理系であれば離職率を何%改善すること、開発系であればチケット消化率が何%になっていることなど。
数字が出せることが明確なのであれば、数値を置いていきましょう。
ただ、一方で数値でできないものもあって困ることもありませんか。
そうなったときにどうするか。
それは、KRの書き方は数値じゃなかったとしても、きちんと進捗が明確で測定できる状態になっているかということです。
これであれば、定量的であると考えております。
また、リアルタイムにコミュニケーションしていく上で現在地をちゃんと正しく測ることができると考えています。
必ずしも数字じゃなくても、現在地が明確になっていれば問題ないので、我々のお客様には積極的に活用いただいております。
例えば、管理部の方で人事制度を作ることになった場合に、人事制度を四半期で完成させることを一つの目標としておきたい。
でもこれは数値じゃないので置いちゃいけないのか?と思われるんですが、設定して良いです。
ただ、それだけだと、途中の進捗が測定できず、0か100になってしまいます。もしくは、主観で60%ぐらいかなって振り返ることになってしまいがちです。
なのでこの場合は、マイルストーンを作ったり、何かしら進捗の定義を定めて達成率を測る状態にしていく必要があります。
例えば人事制度では、人事制度を作るステップを大きく10個にわけて、1つクリアしたら10%進捗したとわかります。
期末に自分がどこまで達成したか明確になるので、ぜひ皆様にも使っていただきたいなと思っております。
これは、バックオフィスやカスタマーサポート、または事業開発といった職種の方でよく使えると思っております。
次に、今の内容の裏返しで悪いKRの例をお話しします。
まず一つ目は、数値が定義できるのに設定されていない場合です。
例えば「導入店舗数の拡大」だけを設定していて、実際に何店舗拡大するば良いのか、1店舗でも拡大と捉えて良いのか、人によって判断が増えてしまうものは置いていきましょうというものです。
二つ目は、先ほどご案内した0か100になってしまっている例です。
そして三つ目は、数値にこだわりすぎたがゆえに測定が困難になっている、もしくは最終的に達成したい結果でないのに目標になってしまっているものです。ありがちなので、ぜひここは注意していただきたいポイントになっています。
例えば、例①の「ミスクレーム0件」みたいなもので、確かに数値なんですが、そもそもミスクレーム0件って進捗を測るのが難しいですよね。
例えば0件だったのが1件になったら何%なんですかとか、1件でたら残りの期間で何をしていくのかなど、なかなか組み立てづらいのではないでしょうか。
また「ミスクレーム0件」自体が至上命題的なもので特定の期間に成し遂げるというよりも追い続けるものなのも難点だと考えております。
例②の「お客様から月10回ありがとうと言われる」、例③の「新規事業のアイディア15件」も同様です。
こうした目標の場合、無理に数字にすることはないので、先ほどの二番目の方法をぜひ使っていただき、例えば「ミスクレーム0件」なら、ミスが起きない仕組みを作るという目標に対して、さらに0か100にせず、マイルストーンを作り、定量化していくといった形に指標を置き換えていただきたいです。
ただ数値を置いたらOKではなく、本当に意味のある数値なのかを注意深く見ていただきたいなと思っております。
また、定量的な部分についてご注意させていただきましたが、あともう一点KRで注意していただきたい点があります。
それが、各KRの内容がオブジェクティブと接続していない場合です。
例えば、スライドの例だとオブジェクティブに入ってる健康的と、KRが連動していないため、仮に三つのKRを達成しても、実はオブジェクティブが達成できてないという状況になってしまいます。
これもよく陥りがちで、整合性が合わないことがあるので、ぜひ、定量かどうか以外に、これでオブジェクティブが達成できるのかという観点を忘れないようにしていただきたいと思っております。
OKRの作成手順
今までの内容を踏まえ、どのようにOKRを作っていくかについて、お話させていただきます。
我々のクライアントでOKRを作るのに慣れていない場合は、ブレーンストーミングやKJ法を用いたワークショップで一緒にまとめていくケースが多いです。
もし、作り方に悩まれている方やチーム内でちゃんと納得感のあるOKRを作りたいという方がいらっしゃれば、この方法を使っていただきたいと思っています。
まずオブジェクティブの作り方には、五つのステップがあります。
一つ目にブレストを使って書き出すことです。
お手元に付箋をご用意いただいて、3ヶ月・半年で自分のなりたい姿を複数書き出しましょう。
またチームでOKRを作る場合には、チームとしてのありたい姿を書き出していきましょう。
制約や、粒度が違うといったことを考えずに、とりあえずバンバン書き出していくことが大事になってきます。
その後は、KJ法でまとめていきます。
具体的には、ブレストで出したものをグルーピングして整理していきます。例えばスライドでは、トップセールス系、効率化系、エンゲージメント系といった形で、グルーピングとキーワードづけをしています。
グループごとにキーワードを付けています。
そうして整理されたグループの中から、特に優先したいものを選んでいきます。
例えば今回はエンゲージメント系をやめて、手前の二つを残しています。
そうして優先順位を考えて、選択できたら、最後に、グループのキーワードを参考に、オブジェクティブを文章で考えていきまとめていきます。
これで完成です。
KRの作り方もおおむね同じです。
設定したオブジェクティブを踏まえて、達成したと判定できる要素は何かをまずブレストしていただく。
例えば、売上が必要そうだなぁ、提案件数、受注率もあるかなぁ、営業フロー、工数削減も、という形で制約を設けず、思いついたものをバンバン上げていただき、このタイミングでは金額や数値は決めないようにしていくと良いでしょう。
その上で、出したものから今回はグルーピングせずに、必要なものを選んでいきましょう。
絞り込み方は、例えば売上金額や提案件数、受注率は同じような要素だと思うので、最終結果になるものを、基本的には選択していただくっていうのが望ましいかなと思います。
あとはそれ以外に、特に営業をやった方がいいとか、DX導入やっていった方がいいなど、今季、特にやった方がいい、オブジェクティブ達成のためにインパクトが強そうな要素を選んでいただき、三つから五つぐらいに絞り込むと良いと思います。
その上で、最後にそれぞれの数値や測定方法を決めていきます。
例えば、売上はMRR1000万以上という形で数値で測定ができるようにしたり、営業フローやDXツール導入であれば、それぞれの目標を進捗で測定できるようにし、マイルストーンを決めていくイメージです。
これで一通り完成すると思います。
ただし、これで終わらせないことが重要です。
作り終わった後に、振り返りとしてブラッシュアップの観点を見ていただくと良いと考えています。
例えば、
本当にわくわくした内容になっていますか?
目標はシンプルになってますか?
とか、
KRはちゃんとSMARTに則っていますか?
チャレンジングなものになっていますか?
など、こういった観点で見ていただいて、引っかかる項目があれば直していくと、完成に近づくと思っています。
あと、もし1人で作った場合には、ブラッシュアップ後にチームメンバーにも共有してチームでも納得感があるかという点を、確認していただいた方がいいと思っています。
上司の期待や、経営からの期待が含まれてない可能性もあると思いますので、ちゃんとそこの期待も含まれているか確認して、最後に固めていくのが良いと思います。これを、一般的な流れの一つとして、ぜひ参考にしていただければと思います。
通常業務が多い職種の設定ポイント
OKR設定については以上ですが、最後に参考として少しだけお話しさせてください。定常業務が多く、設定が悩ましいと思われる職種での設定のポイントについてです。
例えば、コーポレート部門やエンジニア、カスタマーサポート、こういった職種の方は悩ましいことが多いと思います。
OKRの対象から外すべきですか?というご質問も結構いただくんですが、我々としては外すべきではなく、むしろ定常業務が多い職種こそ設定すべきだと思っています。
定常業務外の内容を設定していくと、チームのモチベーション向上や、各自の成長が狙いやすくなっていきますのでぜひ、設定した方がいいかなと思っております。
その上でポイントが大きく二つあり、一つは今お伝えした内容ですが、設定する内容は定常業務ではなく定常業務外のプラスアルファの内容を設定するのがいいと思っています。
これには理由があり、定常業務を設定してしまうと、毎回同じ目標になってしまい、正直面白くなく、わくわく感が損なわれてしまったり、習熟していくとそもそも目標じゃなくなってしまうので、定常業務は基本的な目標設定から外す方がいいと思っています。
ただ、完全に外してプラスアルファの目標にすると、場合によっては全く達成できないことがあり得ると思いますので、評価のときには、定常業務を考慮してあげる形がいいと思います。
例えば、定常業務がちゃんと完璧にできていれば、5段階評価の真ん中までは取れますよと。
さらにOKRを達成することで、5段階の一番上だったりとか、2番目にも到達できますよみたいな形で定常業務が多い職種の方にコミュニケーションしていくというような形など、評価は少し工夫する必要があると思っています。
前回もご紹介しましたが、OKRを導入されてる会社ではデジタルな達成率だけでなく、期待通りの成果を出したかどうかを判定をして評価しているケースが増えているので、期待通りは、定常業務ができてれば期待通り、期待を大きく回るのは、定常業務以外のOKRを達成したことだという形に置き換えていただくのが良いと思っております。
あとは、指標も数値を置かなきゃいけないと思ってしまう方が多いんですが、ここも、手前でお話しした通り、数字を無理に置かず、マイルストーン形式を積極的に活用していただきながら、正しい結果を測定していくやり方で、ワークすると思いますのでぜひ参考にしていただければと思います。
というわけで、本日は以上となります。
お時間いただきありがとうございました。
また次回もよろしくお願いいたします。
(第3回に続きます)
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ハイマネージャー
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