考えるヒント19 「心を平安にする」というスキル
「シリコンバレー重要思想家ナヴァル・ラヴィント」を読みました。オリジナルのタイトルは、The Almanack of Naval Ravikant 、直訳すればナヴァル・ラヴィントの生活日誌なので、ずいぶん、盛ったタイトルだなぁ笑、というのが最初の印象でしたが、読んでいるうちに印象が変わってきました。
何というか考えて、考えて思考の深いところを深く掘り進めて、そこから出てきた湧水をくみ上げるというイメージです。自分が愛読する安岡正篤先生の著作にも似た古今東西の事象をもとに、深く掘り下げています。
まず、思想家としての彼の考え方について、彼はその考えを「合理的仏教」と呼んでいます。「合理的」の部分は、科学や進化論をベースにロジックで検証するところ(p273)で、「前世の業を背負う」といった、「自分の目で見たわけじゃない、前世のことなんて1つも覚えてない、だから、信じるわけにはいかない」、ロジックで説明できることが前提の合理主義者でもあります。
一方、「仏教」のエッセンスは、「自分をより幸福に、よりよくして、今この瞬間をより味わい、感情をよりコントロールできるように、よりよい人間になるために、仏教が教える心の動きを理解すること」(p274)と。まあ、人間生きていれば、嫌なこと、もしくは、衝動に走ってしまうこと、いろいろあります。そうした感情をできるだけ上手くコントロールする手段、それが仏教の教えにあると指摘します。
ただ、これだとまるで仏教の解説ですが、自分の興味は、なぜ、彼がこういう話に辿り着いたのか?という点です。もともと、ナヴァル氏はシリコンバレーの投資家でツイッター、ウーバー、ヤマー、オープンDNSなどの投資で成功して、今も200社の企業に投資しているそうで、ビジネスサイドの出身です。
で、これは自分の想像ですが、ビジネスサイドだろうが、やはり、スキルを磨いて、考えて、考えた結果、感情をコントロールする仏教的な考え方に至ったのではないかと思いました。実際、この本は、2部構成で、第1部は富、いわゆる、ビジネスサクセス的な話で、ビジネスサイド出身の彼の本領でもある富を生み出すスキルセットの話です、まあ、たしかになぁ、とうなずく部分は多いです。
ただ、むしろ、本書のテーマは第2部の幸福と思いました。なので、カバーには「2022年最強の「お金の本」とありますが、お金の話ではないかと。富を生み出して、お金が増えたけど、それが幸せかといえば、そうでもない人もいますよね。むしろ、お金に関係なく、心に「平安」を取り戻すこと=幸福な状態であり、これも富を生み出すと同様に誰もが学ぶことができるスキルといいます。
で、我々は彼から何を学ぶべきか?おそらく、彼と同じようなことはできないと思います。ただ、富を増やす、心に平安をもたらす、いずれも才能、運ではなく「スキル」と考えれば、試行錯誤してスキルアップしようと思えるのではないでしょうか、少なくとも自分はスキルアップしようと思いました。
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