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現代文の攻略法

突然ですが,みなさんは現代文ってお得意ですか?筆者はバリバリの理系なのですが,実は現代文がかなり得意でした.センター試験(当時の名称)模試の現代文は,毎回9割程度の得点率だったと思います.
しかし最初から得意だったわけではなく,高校2年生まではむしろ現代文が苦手で古文の方が得意なくらいでした.なんとなくセンスがないと解けない科目だと思っていた節があり,点数が伸びないことに悩んでいた記憶があります.
そんな私でしたが,高3で現代文担当の教師が変わり「あることに気づかせてもらったことで状況が一変,一気に高得点を狙うことのできる科目に変わってしまったのです.
この経験から現代文で得点を獲得するコツを紐解き,読者の皆様にノウハウとして紹介したいと思います.
※忙しい人は,タイトルと太字だけ読めばOK!


現代文を解く上で一番大事なこと

いきなりで申し訳ないが,まず最初に一番大事なことを書いておこうと思う,全てを差し置いて最初に言っておきたいことは,現代文は答えが本文中に必ず載っている科目である,ということである.これが,冒頭で述べた「あること」の正体だ.
もちろん「正しい漢字を書け」のような問題はこの例に漏れる.が,現代文という科目で最も点数の割合を占めているのは長文読解問題であり,それを指して答えが本文に載っている,と言っているわけである.この長文問題の構成は言わずもがな「長文」+「問題」であり,長文を読んで問題に答えるというスタイルなのである.そして,長文から作者の考えや登場人物の心情を拾い上げて答えていく.つまり,その拾い上げるべき答えは長文の中に必ず存在するのである.もう少し踏み込むと,現代文で得点を伸ばす上で最も優先して鍛えるべき能力は,長文の中から答えに結びつく重要な部分(文章,文節)を見つけ出す能力,ということになる.

長文から大事な部分を見つけ出す能力の鍛え方

本文中に答えがあるのはわかった.なら,その答えをどうやって探せば良いのか?という疑問が当然湧いてくるだろう.長い長文から答えに関連する部分を見つける能力アップによく効く方法を紹介しようと思う.筆者の個人的な経験から話すものであるが,筆者はこの方法を試して高校の担任から「現代文が抜群に伸びてる」と驚かれた.この方法は,高校3年生の時から現代文の担当をしてくださったテライ先生が伝授くださったものである.

この方法を試す場合に必要なのは,ある程度の量の現代文の長文問題である.河合塾などが出している問題集や,センター試験,共通試験の過去問などを買って来れば良い.そして,それを解いていく.ここで闇雲に解くのではなく,次の手順を守ってやってほしい

  1. まず長文を通して読む(同時に問題を解こうとしない)

  2. 自分が大事かもと感じた箇所に線を引きながら読む

  3. 問題を解く

  4. 答え合わせと同時に,自分が長文に引いた線がどの程度真っ当だったかを検証する

(繰り返すが)この手順を守ってほしい.このやり方は長文トレーニングのためだけのやり方というわけではなく,従って試験の本番でも解き方を変える必要はない(もちろん4の内容は試験後家でやるわけだが).以下,もう少し詳しく解説していこう.

長文問題を解く際に,まずは長文を通しで読んでほしい.その際,同時に問題を解こうとするのはNGである.それよりも,読みながら大事だと思われる箇所に線を引いていくのである.ある程度予想が立つかもしれないが,この「線を引く」作業の精度がポイントである.その後の答え合わせでは,先ほど自分が引いた線の妥当性,つまり大事だと思って線を引いた箇所が問題の正答の根拠になっているか,を気にしてほしい.まともな参考書なら,大抵は解答例の解説がついているはずである.解答例の解説が自分の引いた線ときちんと関連づいているかを確認し,もしも的外れなところに線を引いていたのなら,解答例をもとに線を引き直す.

以上のような方法で長文問題に取り組むという勉強法が,筆者がオススメする現代文のトレーニングである.やってみると,この大事だと思う箇所に線を引く作業がそこそこ難しいと感じるかもしれない.確かに最初は的外れなところに線を引くことが多いだろうが,これは当然である.たとえ的外れでも,答え合わせの際に自分の引いた線の妥当性を検証し修正するという作業を繰り返していれば,だんだんと的確な線を引けることが増えるだろう.線を引く作業の精度を上げることこそ,答えに関連する箇所を探し出す能力を鍛えることそのものなのである.
実はこれ,出題者の気持ちを察する能力のトレーニングにもなっている.出題者の側にも問題にしやすいパターンというのがある程度あり,その感覚も本手法を通して身につけることができるだろう.

文章と同時に問題を解いている人は,この方法で時間が足りなくなることを心配するかもしれない.だが少し考えてみてほしい.読みながら解けるような問題を,果たして出題者が出すだろうか?もちろんたまにはそういう問題もあるかもしれないが,そんなものはみんな解けるので,できたところで他と差がついたりはしない.重要な問題とは長文全体をある程度把握することで解けるようになっており,やはりこの方法はそういう癖をつけるという意味でも理にかなっている.ちなみに,筆者はこの手法を採用してから試験時間が足りないという経験をしたことはない

もっと読書しろ!は現代文克服に効果的か?

「現代文が苦手なんです」に対する代表的なアドバイスの一つに「もっと読書をしなさい」というものがある.読書量を増やすという言われがちな方法は,現代文の苦手克服に効果的なのか?という疑問を考えていきたい.先に筆者の答えを書いておくと,「効果はあるだろうが,受験生には紹介した方法の方が効果的」である.現代文は世の中に出ている何かしらの文章から問題が選ばれており,一般の書籍からの出題も多い.そういう意味で,普段から読書をしておくというのは対策として効果的だろう,という発想の下のアドバイスであると思われ,その流れ自体には矛盾を感じない.筆者も一時期はこれを信じ,とにかく読もうと何冊か手に取ったことがあった.その時に最後まで読み切ったのが,ダヴィンチコードである.そのほかにも,ダヴィンチコードを読み切り,さらにダヴィンチコードを読んだ.そう,筆者はたった一冊を読んで「読書量を増やす」作戦をやめてしまった.早い話,筆者は読書嫌いなのである.そういう経験もあるのだが,筆者はこの読書量を増やす方法をあまりお勧めしない

自分が読書嫌いであることを除いて,読書量を増やす方法を受験生にお勧めしない理由は大きく次の2つである:

  • 現代文が苦手な人はそもそも読書がキライ

  • 受験生の勉強時間は有限

読書量を増やすアプローチは,原理的には文章読解力,ひいては現代文の得点アップにつながるであろう.しかし,その大前提は大量の本を読破することである.おそらくであるが,そもそも現代文が苦手な時点でその人は読書そのものがキライである可能性が高い.キライなことを我慢してやり続けるのはそれなりにストレスであろうし,もっと早く点数が上がる方法があるならそっちを試す方が良い.またこれは,2つ目の理由である時間にも関連する.読書というのは本来,ある程度まとまった時間を確保してやるものだと思う.読書好きならば,趣味の時間としての読書で現代文のトレーニングを兼ねれば良いだろう.しかし読書を勉強としてやってしまうと,他の科目の勉強時間を圧迫しかねない.そういう意味でも安易に読書量を増やすという方法には飛び付かず,まずは筆者オススメの方法から試してみてはいかがだろうか.

緩話題:効果的だったけどヘンな方法を紹介

今回の記事は長くなってしまったので,内容を少しヘビーだと感じた人もいたのではないだろうか?そこで最後にお遊びとして,筆者が中3で編み出して現代文の点数を上げた,一風変わった方法を読み物的に紹介して終わろうと思う.
その方法とは,RPG(ゲーム)とその攻略本を使った勉強法である.
やり方は簡単で,

  1. しっかりしたストーリーのRPGをやり込む

  2. ストーリーの解説がしっかりのった攻略本を読む

これだけである.気づくかもしれないが,もはや勉強法ですらない.ただゲームで遊び,好きが昂じて攻略本まで手を出しているだけである.筆者の場合はFinal Fnatasy Xというゲームにハマり,攻略本であるアルティマニアΩ(オメガ)というものを買って読み込んだのである.そしてその結果,なぜか国語の成績が上がってしまった
もちろん,このゲームして国語力がアップすることにはカラクリがある.というのもこのアルティマニアΩという攻略本は,ゲームをクリアに導く普通の攻略本と違うかなり濃い内容を掲載したものだったのである.その内容は本当にマニアックで,一切レベルを上げずにラスボスまで辿り着く方法だとか,セーブポイント(死語)を一切使わずにクリアする方法だとか,誰が求めているのかも分からない内容なのである.その中でも特に力が入っていたのがキャラクターボイスの解説であり,これが筆者の国語力向上に大変役に立った.この攻略本では主要なセリフに対してその時のキャラの気持ちや状況が,ほぼストーリー全編に対して解説されているのである.これを読んだ筆者は「こんなふうに解釈すれば良いのか」と攻略本の執筆者の考え方をコピーし,そのまま国語の問題を解く際に適用したのである.そして,その効果が抜群だったわけだ(ゲームだけに).

と,遊び半分で書いているようだが,実績があるのだから侮ってはいけない.実際,このRPGを使った方法にも,先に紹介した線を引きながら長文を読む手法との共通点を見出すことができる.この場合は攻略本の執筆者であるが,物語の中で運命に翻弄されるキャラクターの心象を紐解くプロセスを体験することができるのである.このような分析力は,長文読解において重要な部分を探し線を引くような作業に求められる能力であると考えることもできるだろう.また,こじつけでも良いのでキャラの考えを推察するトレーニングにもなる.

勘違いしてほしくないが,大学受験を意識している読者に今からどっぷりゲームをやれと言っているわけではない.大事なのは,活字だけでなく映像作品に対してでも自分で考える機会を持つことで,自分の国語力を刺激することができるかもしれないということである.

ちなみに筆者の場合,このRPG勉強法で身につけた能力は高校2年生以降あまり通用しなくなった.長文読解のコツを掴むきっかけとして良いきっかけとなったことは間違い無いが,大学入試レベルの問題にゲームをやっているだけで対処できるほど世の中はちょろくできていないようである.
最後に紹介したRPG勉強法はあくまで参考にし,現代文の成績を伸ばしたい諸氏はすぐに問題集を買って,線を引きながら長文を読み始めて欲しい

K. HISAKAWA

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