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足さばきを褒められた件

4月、5月の中央審査直後の話だ。日頃一緒に稽古している人たちの懇親会が開催された。なんと、六段に2名、七段に3名が合格したこともあり、近年まれに見る、おめでたい席となった。

ここ数年、合格者なし……という状況が続いていたので、突然のフィーバータイムに衝撃が走る。

「えっ?六段とか七段って、簡単に合格できるの?」

と、錯覚する者も居たとか居ないとか。いやいやいや、決してそのようなことはないと思われる。たぶん。

懇親会の後、「ちょっとラーメンでも食べませんか?」と誘われて4人で近くのラーメン屋さんへ入った時のこと。

私はお酒を飲んでいなかったが、嬉しさのあまり千鳥足になってしまった。ジャッキー・チェンの『酔拳』を観て衝撃を受けたことを思い出す。

千鳥足も武道の足さばきの一つなのだろうか……

耳にタコができているかもしれないが、やっぱり剣道は足だ!!

強い道場は足さばきの稽古に時間を割いているように思われる。足さばきの稽古はベルマークの仕分けと同じくらい地味な稽古だが、地道な努力こそが、後々実を結ぶのだろう。ベルマークも地道に貯めればグランドピアノが貰えるらしい。

YouTubeで足さばきに関する動画を検索すると、多くの稽古方法を学べる。なんて便利な時代なのだろうか。

参考に、爆速になれるらしい『楓凛舘鹿角道場動画』の動画を見てみよう。楓凛舘鹿角道場では日々の稽古で26種類もの足さばきを取り入れているようだ。

26種類❓アルファベットの「A to Z」ではないか。手取り足取り学べるに違いない。

この動画の見どころは、習熟度合いが一目で見てわかるところだろう。
「続けていればこんな風になれるのか!」
と自信にもつながる素晴らしい動画だ。

動画内の足さばきを自分用のメモとして書き出してみた。(間違っているかもしれないので、参考程度に見てほしい)

①構えの確認
 いつでも打てる「体勢」と「心構え」を確認する
②歩み足(ゆっくり)
 相手にゆっくりプレッシャーをかけるイメージで進む
③歩み足(速く)
 上半身が大きく動かないように速く
④送り足(鋭く速く 一歩ずつ)
⑤送り足(鋭く速く 連動)
 引き技で下がる相手にプレッシャーをかけるイメージ
⑥乗る捌き(真ん中まで来たら面打ち)
 勝負の間合いに入った瞬間に上から制する稽古
 上からのるイメージで取り組む
⑦下攻め(真ん中まで来たら面打ち)
 相手の鍔元を攻めるイメージ
 足は右→右→左と使い、工夫して一足一刀の間合いへ詰める
⑧体重移動
 竹刀を腰にあててた状態で右足の膝から始動させる
 床を這うように踏み込み、腰の入った体重移動を心がける
 上半身は背中を弓なりにさせるように意識する
⑨体重移動(気剣体一致)
 構えた状態から面打ち(2本ほど)
 手足を一致させ、有効打突につなげる
⑩身体を使った大きい面
 身体全体を大きく動かし、伸びのある面打ちを心がける
⑪一足一刀
 ⑩の打突を生かし、足から始動する一挙動の面打ち
⑫二足一刀
 手元を上げず、スピード重視で二足一刀の面打ち
⑬引き面
 肩を大きく動かして基本通りの大きい引き面
 打突後の一歩目を大きく、速い打突を心がける
⑭引き面(その場打ち)
 両足のスタンスを広げて足を継がずに打突する
⑮横の捌き(二人一組もしくは元立ちに対して)
 相手と息を合わせ、逃さないイメージで真横に動く
 真ん中で切り返す(3歩ほど)戻る
 最後に相面を打つ
⑯横の捌き(反対)
⑰ジグザグ(前進)
 右斜め前からスタート
 音の変化で切り返し、ジグザグに前進する
 進行方向に爪先をまっすぐに向けて素速く切り返す
⑱ジグザグ(後退)
 右斜め前からスタート
 音の変化で切り返し、ジグザグに前進する
 鍔迫り合いの崩しをイメージ
⑲円を描いて引き面
 前進・後退・左右・斜めの動きをなめらかに動かす
 最後に引き面を打つ
⑳逆回転から引き小手
 円の回転を逆にして最後に引き小手を打つ
㉑左足ケンケン
 重心が後ろにならないように意識する
㉒飛距離の長い小手面
 ケンケンに右足をつけて長い距離で小手面を打つ
㉓飛距離の短い小手面
 飛距離を短くして踏み込み足で小手面を連続で打つ
㉔長くから短く小手面
 飛距離の長い小手面→真ん中で飛距離の短い小手面に切り替える
 切り替えを大切にする
㉕短くから長く小手面
 ㉔の逆
 大きく変わる瞬間に「思い切る」ことを心がける
㉖小手・面・胴・左面・右面
 連打のおさらい
 足運びに左右面を付け加えて速い打突を心がける

楓凛舘鹿角道場動画『足裁き26選』

動画を見てから、さっそく稽古メニューに「ジグザグ」の足さばきを取り入れてみた。動画では簡単そうに思えるが、実際にやってみると頭が混乱するようで、意外と難しいらしい。

しかし、毎日こつこつ実践すれば、足さばきは爆速になるだろう。残念ながら、こつこつ続けるしかないのだ。剣道の足さばきは特殊なものが多いため、すぐにできるものばかりではない。

ちなみに、私は太鼓の達人を目指しているため、一度も実践していない(笑)「カッ!」の音に酔いしれてしまった。

太鼓の達人だドン!

恐らく、素早い足さばきや踏み込みは中学生に負けるだろう。とくに、打突後の足さばきは真面目過ぎる性格が災いし、スピード感に欠けてしまう。もっとびゅ~~~~んっと進みたいものだ。

冒頭では「足さばきを褒められた」と述べた。しかし、私の足さばきは、残念ながら動画に掲載されている足さばきとは異質なものだ。どうやら、爆速を褒められたのではないらしい。


「応じ技とかできないんですよね」

と、七段挑戦中のH氏は言う。私の足さばきを褒めていたのも、H氏だった。どうやら、彼の言う「足さばき」と「応じ技」には深い関係があるようだ。

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