けん玉ワールドカップ2021を終えて
残暑も社会情勢も厳しい夏ですが、けん玉フリークの夏の風物詩
「けん玉ワールドカップ 」
が今年も開催されました。
「こんな時にイベントなんて?!」
と思われるかもしれませんが、昨年からzoomを使ったオンライン中継による方式になっています。
今年は少し違う
2020年にもオンラインで開催されたイベントでした。
昨年も参加し、Youtubeで観戦もしましたが、その時の全体的な感想としては
決勝グループのチャレンジは見応えがあったものの、そのほか、特に大多数の選手が参加した予選(大会1日目)の映像に、少し寂しさを感じる。
というのが正直なところでした。
広島県廿日市市でのリアル参加なら、会場では多くの予選待ちの選手が見守り、競技終了後にはハイタッチで選手同士が称え合う姿があたりまえのようにありました。
東京オリンピックのスケートボード競技の様子をご覧になった人はわかると思いますが、「あの」雰囲気です。
勝ち負けよりも、チャレンジを称える、時にはライバルを慰めることを優先する空気感が、一般参加の選手たちにもあるのが「けん玉ワールドカップ 」なのです。
その空気感は日本で醸成されたものではなく、海外選手のたち振る舞いに感化されたものです。それもスケートボードと同様ですね。
私はその様子を見るたびに「けん玉は素晴らしい」と伝えたくなる衝動に駆られたのです。
それが2020年は、画面越しの挑戦者の姿からは見ることはできませんでした。
主催のGLOKEN(グローバルけん玉ネットワーク)さんも、それはわかったようで、新たな方式を用意していました。
提携リモート会場
zoomによるリモート開催は早々に決定していた2021年の大会ですが、ひとりぼっちの画像が流れる大会ではなく、少しでも、情勢が許す限り、1人でも多くの笑顔が見れるようにと
各地で小規模に参集してzoomで繋ぐ
という方式を採用しました。もちろん、前年同様自宅からのzoom参加も可能な大会となりました。
開いてみたら
2021年8月21日、大会1日目の予選が行われました。それまでに緊急事態宣言により準備していた半数ちかくのリモート会場は中止となったものの、各自参加に変更するなどして大会予選は実施されました。
大会の様子はYoutubeで生配信され、各地のリモート参戦している映像は昨年よりも明らかに笑顔が華やかで、司会のNOBさんや通訳のMAXも、スムーズに面白く進行していたと思います。
そして何より、参加人数が昨年の400名弱から700名超えと激増し、うれしい悲鳴状態だったと思います。
これもリモート会場効果だったのかなと思います。
翌日の決勝も、昨年以上に白熱するチャレンジが繰り広げられ、千葉県の11歳、ヤスくんが最年少・初優勝を飾りました。
あるリモート会場の記録
ここからは、私の「けん玉ワールドカップ 」の話になります。
2021年春、ふとしたことで
オンライン開催になるなら、日テレの「24時間テレビ」のような、地方局をつなぐ映像があれば、もっと盛り上がると思う。
と恐れ多くもGLOKENさんに投げかけたのです。これはふとしたはずみで、クレームでも何でもなく、言わば「夢」を語っただけでした。
リモート会場案が正式にリリースされ、提携会場募集の記事をFacebookで見た時には、飛びつきました。
人の集客や、町おこしなど、「地方でワールドカップを開催する」メリットは計り知れません。
すぐさま日頃活動している茨城県つくば市と、地元の利根町のけん玉サークルに声をかけ、会場を確保し、何とか会場ごとに通信機器操作やお客様対応をしてくださる人材を確保し、ポスターを貼り、会場に見学に来てもらえるように地元のスポーツクラブや大学にアピールしていた矢先、県独自のまん延防止策が発令されました。
利根町はその時点で行政施設の貸し出しが禁止となり、実質、集客を伴う大会運営は不可能となり、中止の判断をしました。
大会直前の17日には緊急事態宣言が県下に発令され、つくば市会場も集客は不可能となり実質中止となりました。
参加者は利根町10人。つくば市4人です。町おこしイベントとしては断念しましたが、両会場の参加者は万全な対策のもと参集し、大会に参加することになりました。会場に見立てた宴会場には、長時間留まることのないようルールを決め、ひとりぼっちではない程度の応援をできる距離を確保しました。
21日午前9時、zoomに接続すると、映し出された画面には、私の夢見ていた映像がありました。
各々間隔をとりながら体育座りをして手を振る子供達、画用紙にメッセージを描いてアピールする笑顔。そう、笑顔が確実に増えていました。
私は最初から泣きそうになっていました。
何気なく言った夢が、現実になっている。本当に嬉しかった。
言ったきり何もしていない私が、なんて贅沢なのだろうと。
大会1日目は参加者の笑顔に包まれながら終了し、Youtubeの中継が続く中、片付けをして自宅に戻りシャワーを浴びました。
大会の予選結果を発表する司会のNOBさんを風呂場で見ていたところ、唐突に、私の名前が呼ばれ、名前が画面に表示されました。
それは翌日の大会2日目、セミファイナル進出者の発表だったのです。50歳代1位のワイルドカード枠によるものでした。
「決勝進出者の声を聞きたい」
というNOBさんの問いかけに応えるべく、慌てて持っていたスマホを掴んでパンツとTシャツを身につけると同時にzoomリンクを探し出してパスワードを入力する、という今考えると自分でも信じられないような早ワザで、中継につながりました。
しかし、残念。風呂に入ろうとしていたので、Bluetoothのスピーカーに接続されたままでした。それは後に気づいたのですが。NOBさんの声かけには音声では答えられず、そしてパンツ姿を見切らせる失態を犯しつつ、そのまま中継は終了しました。。
私のワールドカップは終わっていなかった。
という喜びとともに、そこから3分で10技を成功させる練習をしなければなりませんでした。
予選は3分で5技(それを2セット)でしたので倍です。
決勝進出は夢にも思っていませんでしたから、慌ててルールを読み直し
・できなかった技1つにつき−100点
・ブザービータールール(カウント0までにスタートした技はオーバータイムでも成功すれば成功としてカウントする)
等を確認し、技もレベルを落として
10技全部成功で200点超え
のセットリストを組んだのです。
翌日。9技までは成功できましたが、最後の技は間に合いませんでした。
しかし、50歳過ぎの選手が初めてけん玉ワールドカップ のセミファイナルに進出したというだけで、もう満足でした。
リアル大会だったら、この出場枠は実現しません。今回は出場国が少なかった故に、ワイルドカード枠が空いていたのです。時差のこともあり、泣く泣くセミファイナル進出を断念した国の出場者もいたことでしょう。
記録も他の予選参加者に比べたら、貧相なものです。予選順位は702人中119位でした。
それでも今回は利根町とつくば市の仲間に讃えられました。これも今までの大会なら無かったことでした。
本当は出場するのもやめて、運営に専念しようとも考えていたのです。言い出しっぺがいちばんオイシイところを持っていったようで、恥ずかしかったのですが、皆さんの励ましや讃える言葉に今は
感謝しかない
それだけです。
今後のけん玉の大会は
まだ目下の情勢は続くと思います。少なくとも来春までは。
であれば、zoomでオンライン中継し、Youtubeなどで観覧してもらうこの方式を大会ではとることになろうと思います。そんな条件下で、笑顔を増やし、躍動と興奮をよりリアルに伝える方法を、また考えねばならないでしょう。
改めまして、大会に参加された全世界の皆様、提携会場の運営にご協力して下さった皆様、スポンサーの皆様に感謝申し上げる共に、挑戦し続けるGLOKENの皆様には最大級の敬意と感謝を申し上げます。