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2020年スニーカーランキング

2020年スニーカーランキングを発表いたします。

2020年にリリースされたスニーカーのなかであたらしい兆しに感じた順にピックアップしました。

しかし今年はやはり、とくに後半はリリース控えが多かったのか大きく揺るがすような大ネタは少なく、どちらかというと昨年までにリリースされていたもののエッセンスを増幅したりといったものが多かったようにおもいます。

なのでもしかしたら新鮮な部分が例年よりもすくないかもですが、それもまあ定点観察する意義でもあるので、俯瞰してたのしんでいただければとおもいます。

相変わらずコラボや別注品というよりは、その元となるプロパー商品に光を当てたいという姿勢は変わりませんのであしからず。



15. Nike Air Zoom Type

そういえばアルファフライも今年リリースだったんですよね。 ただスニーカー的観点から言うと、そのプロトタイプがベースとなったエアズームタイプ。 すごいのはアルファフライのベースとなったソールユニットももちろんなんですが、トータルで含めたプロトタイプ感をそのままキャラクターにい持ってきているところ。 でもスニーカーってこういう未完成感みたいなものがそのシズル感に繋がることがあるんですよね。 それをどストレートに実践されてしまったというか。


14. Munjoi The All Dai

コロナ禍スタート以降、いわゆる外履きと内履きをクロスオーバーできるようになったり脱ぎ履きがしやすかったりと、パンデミック下の生活様式に即した機能の靴が目立ちました。 いろいろあるなかでこのムンジョイが結構顕著だったので、代表してこれを。 外では靴、内ではスリッパ、中間地帯ではサンダルやミュールになるという、いまの生活に必要な形状がすべて詰まっている一足。


13. Nike Super Rep Go

昨年ごろからPelotonに代表される室内エクササイズブームみたいなものが北米を中心に起きていたのですが、図らずもパンデミックの状況下で一気に拡がっていった一年になりました。 このタイミングにすかさずナイキが室内トレーニング向けの一足をリリース。 これってPelotonが若干流行りはじめたくらいのタイミングからすでに仕込んでたってことなんですよね、反応良すぎでしょ。


12. Casablanca New Balance 327

今年のニューバランスは327の年でしたね。 一番最初の登場はパリファッションウィークでのカサブランカでの露出だとおもうのですが、これ見た瞬間におお!あたらしいのになつかしい感じがする!という驚きと共にシェアした記憶がありますが、以降こんなにもいろいろと出てくるとはおもいませんでした。 これミッドソールどうやってるんだろ?とおもってたら、シートの削り出しじゃなくて立体成型だったんですよね。 巧く見せるなぁ。


11. Auralee New Balance Fuel Cell Speedrift

コラボは扱わないとは言いつつ、すごく相性のいいコラボには反応してしまうわたしです。笑 今年はオーラリーとニューバランスのコラボがすばらしかったですね。 なかでもよかったのはスピードリフト。 もっとクラシカルなやつもやってましたが、こういうテクニカルな一足もオーラリー色に染められるのか?とおもってたら、まあなんてことはない、すばらしい一足に仕上がってます。


10. Moonstar Slow Factory SLアワセ01

これパッと見、それこそ個人の靴職人の方の作品かとおもったくらい繊細な出来ですばらしいなぁとおもってたら、なんとムーンスター。 アワセというのはハトメのところが内外アシンメトリーになっていて、それを着物のように合わせていることのことだとおもいますが、そここそがこのシリーズの他のものよりも際立っている特徴になってますね。 前がステッチダウンで後ろは吊り込みという作り分けも、手間かかってるなーと。 丁寧な仕事がないと成り立たない一足。


9. Moonstar 810s Marke

昨年から大注目の810sの新作。 このシリーズのポイントは元となる過去の靴の選び方だとおもうのですが、今回も見事にもともとあったこういう靴がこういう風になってたらいいのに!というのを実現していて、ほんとすばらしい。 とくにこれはさらに最近ちょっと増えているアウトドアギア感みたいなものがデザインのエッセンスに取り入れられて、なおかつグラフィックとかもガレージ雑貨感もあるという、ちょっと雑貨化のニュアンスがいい方向に作用しているとおもうのです。 一足ほしいなぁ。


8.  Adidas Adizero Adios Pro

2020年はナイキの厚底系への対抗馬が各社からいろんな形で出てましたが、そのなかでも一番違う方向へよかったのはアディダスでした。 各社カーボンプレートどう入れるかに苦心していたようにおもうのですが、アディダスは5本骨状に。 加えてごちゃごちゃしていく厚底ソール系のなかでもシンプルな方にデザインを振ったのもすばらしい。


7. Mizuno The Mizuno Energy

コンセプトをデザインで語るみたいなことがあまりなかったミズノが満を持して出したこのデザインを見て、ちょっと感動してしまって。 ああ、こういうことができるようになったんだなぁと。 もちろんそれによる良し悪しもあるとはおもうのですが、確実にひとの記憶には残りましたよね、この一足。 いやあ、この勇気に乾杯。


6. Sacai Nike Vapor Waffle

今年唯一本気でゲットしにいった一足。 いやもうかっこよすぎでしょ。 レイヤーを随所でありとあらゆる形で重ねていって、でも元々のエレメントはオーセンティックだから塊としてクラシカルに見える。 でもソールでもそのレイヤーを表現した結果、実はめちゃめちゃ冒険的な形状になっているという。 もうドキドキですよ。 はい、もちろん抽選外れまくってますよ。。。


5. Soulland Li-Ning Shadow and Wind Ranger

近年のリーニンの爆発力はもう本当に無視できないレベルになってますね。 うまくコラボをしてそのコラボから学んで、それをプロパーに落としていくみたいな感じでの底上げ感も感じる。 このソウルランドとのコラボはもうソール! 穴空いてるよ! どうなってるんだ! 上からにシャンクのようなパーツを当ててるっぽいんだけど、下はそのままなんですよね。 しかも履いてる様子見てると穴がひしゃげてて。。。 うーん、これをこの状態のまま成立させるのがすごい。。。


4. Matthew M Williams Nike Zoom MMW4

ソールに空間を空けるのが2021年辺りに流行るのかな?とおもったのはこのあたりから。 こちらはプレートをぐるりと折り曲げて輪にして、そこにソールを沿わせて上にはミッドソールが載るという仕様。 そう、キャタピラのようなかんじ。 加えて特筆したいのはスクエアトゥなんですよね。 スクエアトゥ、来年来るのかなぁ? アッパーにも金属パーツとかも付いちゃってて、すごく冒険している一足。


3. Nike Ispa Drifter Split

足袋ものってどうしてもそれだけで特徴が出てしまうから大体シンプルな方向にいってしまう、だからあたらしい表現のものはあまり出てこないかもとおもっていたら、Ispaで出てきました。 しかも鼻緒のようなテープがつま先に補強としてあって、それらの構成要素がなんか日本っぽいんですよね。 これがアメリカの企業から出てきてるのってちょっとかなしいけど、逆にそうでないとこういう誤解ベースオリエンタル感みたいな感じも出せないのかもともおもったり。


2. Puma MIT Calibraterunner

これ結構すごいとおもうんだけど、全然話題になってない。。。 靴だけみたとき、これまさか全部穴じゃないよな?とおもったら全部穴で、どうやったんだよとおもったら金型が大変なことになってたという。 ただこれはこれだけを成立させるための配合ってことだよな、とも。 現在は機能的最適解をそのまま出しちゃいましたみたいな感じになっているので、工業製品的にではなくスニーカー的にデザインを整えていったら今後すごいことになるのではないかとおもいました。


1. Nike Space Hippie Collection

響くスニーカーにはなんらかのシズル感があるとおもってます。 スニーカー文脈的シズル感、プロダクトデザイン的シズル感、産地素材的シズル感、オーガニック的シズル感などなど、それぞれがそれぞれの方向で良さがあり、それぞれにそれぞれのシズル感に反応するひとたちがいる。 で、リサイクルというのはストーリーではあったけど、その特性を生かしたシズル感自体は定義されていなかったとおもうんですよ、Space Hippieまでは。

これ、廃棄物を宇宙ゴミと表現して、リサイクル材で構成したスニーカーをスペースヒッピーと打ち出すことで、ほかのどの部分にも属さないシズル感を定義しようとしたんじゃないかとおもったのです。 で、それは結構成功しているというか、たしかに廃棄物がリサイクルされる過程ってブラックボックス的じゃないですか。 だから宇宙っぽい謎めいた感じがあるんですよね。 加えて、リサイクルした材料とかももっと綺麗にできるはずなんですが、敢えてちょっと元の素材感を残してるんですよね。 ニットもそうだし、ソールも、ソールの形にしてももっとカチッとした形にできたはずなのに、敢えて未成形感みたいなのをのこしたゆるめの形状に敢えて抑えているんですよね。

これってつまり、そういう処理で生まれる物の感じを宇宙ゴミという言葉で定義することで、あたらしいかっこいい(リサイクルにおけるシズル感)みたいなものを生み出そうとしたんじゃないかな?と、そうおもったんですよね。 そうおもうと、ものすごい意味のある冒険してるよな、と。




2019年のランキングの締めに「2019年は激動の年になりましたが、」とか書いてるんですが、それ以上の激動の年になってしまいましたね。

多くの産業が煽りを受けるなかで、スニーカーもなんらかの影響を受けてるんだろうなと感じました。 とくにコロナ禍直後はそれまでじゃなかったのですが、夏以降とかは明らかに話題が減ってましたからね。。。 いちスニーカーをたのしむ者としてもちょっとつらい年となりました。

まあでも2021年に向けて細々とあたらしいなにかが生まれそうな兆しもあるわけで、

月一のまとめはやめちゃったけど、ひきつづきスニーカーを追っていきたいとおもいます。

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足下研/スニーカー文化研究家
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