まだ市場に爆弾はあるのか?-マーケット考察-2020.6.13

米国株式市場は反発。

前日は新型コロナウイルス感染拡大「第2波」への警戒感などから米株価が1800ドル超も急落しましたので、昨日は値ごろ感からの買い戻しが入り、ダウ平均は寄り付き直後に800ドル超上昇する場面も見られました。ただ、買い一巡後は上値での戻り売り圧力も強まり、ダウ平均は一時マイナスに転じる場面もみられるなど一貫性の無い動きでした。

今週は経済再開とその後の回復への期待感だけでダウ平均は3月の安値から既に50%近くも上昇しており、ナスダックに至っては1万ポイントに達成し最高値を更新していました。前日の急落のきっかけは感染第2波ですが、実体経済と株式市場との大きな乖離の中で、モメンタムだけでファンダメンタルズがない相場でしたから「調整はいつ来るのか?」という爆弾をずっと抱えていました。今週はその爆弾が爆発したのです。前日は大幅安となったものの、それでもダウ平均は3月安値から35%高い水準にあり、悲観論者からはまだ調整余地はあるとの声も出ています。

ダウ採用銘柄のボーイング社は+8.97%と相変わらず、激しい上下動しています。過去3営業日を見ても、-26% -6.2% +6%と一日の値動きにしては大きすぎる状態が継続しています。前日に大幅に売られた航空株も買い戻しが入りましたが、特段ポジティブな情報が流れた訳ではありません。

昨日は銘柄によって動きがマチマチな所謂ポジション調整に終始した1日と言って良いでしょう。

来週発表予定の経済指標は16日に5月小売売上高、鉱工業生産、設備稼働率、17日に建設許可件数、住宅着工件数、18日に新規失業保険申請件数、6月フィラデルフィア連銀 業況指数ですが、予想値は全て前月比対比大幅プラスですから、発表される数字が予想対比マイナスの場合は、市場にマイナスのインパクトを与える可能性はあります。

5月に入ってから、経済活動再開による経済回復期待感が市場を席巻し、悪化している実体経済を反映している経済指標が発表されても、市場はそれを無視するが如く動いていました。今週の大幅下落はこのモメンタムにやや冷や水を浴びせる影響を与える可能性がありますので、来週発表の経済指標に市場がどの様に反応するのかが見ものです。多くの投資家は、それを見てから投資活動の判断をするのではないかと思われます。

立沢 賢一(たつざわ けんいち)
元HSBC証券社長、京都橘大学客員教授。会社経営、投資コンサルタントとして活躍の傍ら、ゴルフティーチングプロ、書道家、米国宝石協会(GIA)会員など多彩な活動を続けている。投資家サロンで優秀な投資家を多数育成している。

・YouTube
https://www.youtube.com/channel/UCgflC7hIggSJnEZH4FMTxGQ?view_as=subscriber

投資家サロン https://www.kenichi-tatsuzawa.com/neic

いいなと思ったら応援しよう!