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卒業の歌、友達の歌。/19〜その後の物語〜
今の僕
そんな僕は今、洋風ツインハンバーグを食べている。
33歳となった今、僕はルーティン化された昼時を過ごしている。
週一で通うこのファミレスでの昼食を、何も変わりない日常の小さな幸せだと噛み締めながら、ライスをおかわりするか迷っているのである。
2人でランチしたファミレス
洋風ツインハンバーグを食べながら、iPhone11Proを点けた時に胸騒ぎがした。
18年前、付き合っていた彼女と行ったファミレスを。
確か、その時はファミレスなのに、君はハンバーガーセットを頼んでいた。
「なんでハンバーガーなんだよ」
「だってセットに付いてくるポテトが好きなんだもん」
「ハンバーガーはどうすんだよ」
「ケンジにあげる」
「なんだよそれ」
少し大食いの僕ではあるが、彼女のそんな勝手気ままな性格が、なぜか心地よかった。
あれから、彼女を思い出したことがないと言えば嘘にはなるが、なぜか今日は、カンナに削られる木材のような、どんどんどんどんと、彼女との思い出が押し寄せてきた。
とてつもなく、そして強烈な、フラッシュバックというものだろうか‥‥
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あれから
彼女の訃報を聞いたのは、5年前のことだ。
若くして、彼女は癌に蝕まれてた。
誰とでも繋がるこの時代に、なぜ僕と繋がろうとしなかったのかを悟った。
彼女の、ある言葉を鮮明に覚えている。
「今、もし松岡充が目の前に現れても、迷うことなくケンジを選ぶ!」
この言葉が、僕の誇りであったし、自慢だった。
訃報を聞いた時、真っ先にこの言葉が頭を過った。
あの時は、「いやいや松岡充を選ぶやろ‥」と思ってたけど、彼女の決意を18年後に分かった気がした。
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ありがとう
今日は彼女が天国へ旅行した日であった。
18年前、僕が校舎の影で君を待ち、帰り道に寄った公園のブランコに乗って、進路の話やヤキモチを妬いていたあの頃。
全てが宝物だ。
本当にありがとう。
今日は、あの公園のブランコに座って、君を待ってみるよ。