全盲の人が内覧に来た/シェアハウス「リバ邸」の面白い住人
この日は内見の人が20時からシェアハウスに直接来る予定だった。
ピンポーン
20時丁度にインターホンが鳴る
ドアを開けると
全盲の男性が立っていた。
一瞬、何が起こったか分からなかったがドアを開けてすぐに男性は
男)ここはリバ邸ですか?内見の者です。
と言った。
俺は、え?いや、え?
あ、内見??
え??内見??
と思いながらも
俺)どうぞ。
と言って家にあげた。
一年間シェアハウスを続けてきたが
初めて目の見えない人に家を案内する。
当然、俺の肩に手をかけて壁を触りながら
家の間取りを認識していく男性。
驚いた事に一度リビングを回ると
どこに何があるかすぐに覚えていた。
いや、どうしよ、
いや、どうしよ、
と俺の頭はフル回転していたが
まぁ、答えは決まってる。
内見の後に面談をする事に……
俺)あの、なんでここに来たんですか??
男)はい、会社を辞めまして転職を機に家を探しておりましてこちらを見つけました。
いや、目が見えないのにどうやって??
とゆうか、俺が聞きたいのはそういう理由ではなく
正直バリアフリーでも何でもないシェアハウスをなぜ選んだか聞きたかった……
さらに話を続けていくうちに
俺)あ、そうなんですね。なんで会社を辞めたんですか?
男)あの、ちょっと深い話がありまして……私両親と仲がよくなく…というのも施設に預けられまして……
俺)ちょっちょ!!ちょっ待って、あんためちゃくちゃ普通やん!!笑、親との仲とかじゃないやろ!!
男)え?
俺)いや、笑、もっとこう、目の見えない事について俺は聞きたいよ!!現実にここで暮らせるのかとかね!!
男)あ、それは大丈夫です。
俺)いや、大丈夫って。そんな……笑、てゆかメールしてきたよね??あれはどうやったと??
男)え?iPhoneから普通に……
俺)普通じゃないけん!!笑、ちょ今メールしてみて!!
男)いいですよ。
iPhoneを取り出す男性
すると、
iPhoneの画面は真っ黒だった。
俺)なんで画面真っ黒と??
男)あ、こっちの方がバッテリーが抑えられるんで。
俺)いや、そういう理由??笑
(てゆうか、バッテリーのメモリー見えんやろ!!笑)
そして、iPhoneを操作する男性
どうやら音声読み上げ機能があるらしく
iPhoneを操作する度に音声が聞こえてきたのだけど
ペロペロ、ペロペロ、ペロペロ、
としか俺の耳には聞こえなかった。
どうやら普段から音を頼りにしている彼には
通常の速度ではなく
3倍速くらいで音声を読み上げさせてるらしい。
もうね、めちゃくちゃ面白かった笑
なんかね、
彼は全盲の人というよりも
俺にとってはエンターテイナー
に近い感覚だった。
最後にこれだけは確認しておこうと思い
俺)住んでくれるのは全然構わんっちゃけど、その代わり何もこっちはサポートせんし出来んよ??
男)はい。もちろんです。
俺)そっか……じゃあここは、バリアフリーは難しいけどハートフリーな空間ではあるけん楽しんでよ。
男)宜しくお願いします。
こうして、彼は4月25日からシェアハウスに住む事になった。
彼のあだ名はロッキー
それを聞いた瞬間
殴られたあとの??
と言おうと思ったが止めた笑
もう頭の中は彼の事ばかり。早く一緒に暮らしたい。
これって恋??だとしたら、恋は盲目だぜ!!
ベイビー♪