ノープラン旅行の奇蹟
というわけで、NOTE投稿2回目のKenです。
今回のトピックは、旅行についてです。
読んでくださっている方の中には去年久々にコロナ禍以降初めて旅行に行った方やそれ以降いってないなーって方も少なくないと思います。
皆さんは旅行の際に予定を立てる派ですか、それともノープラン派ですか?
ぼくは大抵はノープラン派です。予定を立てるのが面倒だっていうのもあるんですが、自分に言い聞かせている感もありますが、これがまた楽しいという風にも感じています。
旅行に関して一番記憶に残っていることは、ぼくがアイルランドに住んでいて、引っ越したばかりの頃の話です。
当時海外に本格的に住んで間もない頃だってこともあり、まぁ語学学校入学後間もない頃だったこともあって、多少時間には余裕があったので、少ないお金でたまに興味のある歌手のコンサートに行ったりしていました。
その頃YouTubeでちょっとだけその界隈では有名な歌手がEPをリリースするってことで、コークというアイルランドの2番目に大きい街までライブを観にいきました。もんちろん、宿泊はホステル滞在です。
で、もちろんその歌手も素晴らしかったんですが、オープニングアクトのまったく名前の知らない歌手の方にすごくびっくりしたんです。
素朴な、ギターの弾き語りみたいな感じの歌手なんですが、繊細ですごい美しい歌声だったんです。
それから数週間が経って、その歌手のインスタでEPのリリースパーティーがあるっていう告知を見たんです。で、その場所を調べたらウエストポートWestportっていう当時住んでいたアイルランドの西のゴールウェイGalwayっていう町から3時間くらいバスでいかなければいけないような田舎町だったんです。
今はホステルもあるかもしれないんですが、調べても周りにホステルなんてなくて、なんなら田舎のリゾートのような場所ばかりで、ちょっとホテル代は出すのはしんどいけど、でも自分はアジア人なんでコンサート行ったら覚えてもらえるんじゃないかっていう下心というかそういう感じもあって、行く事に決めたわけです。
まぁパブが2時とかまでやってるんで、それまで飲んでそれから朝の6時のバスまでは公園やらバス停やどこかで時間を潰せばいいかっていう今考えたらちょっとめちゃくちゃなプランだったんですが、実はその数年前にニュージーランドのオークランドでそんな事を経験していたせいもあって、そのプランを決行したわけです。
会場のホテルに着いてみたら思ったよりもローカルの人しかいなさずてヤバい感じで、なんならその歌手の地元っていうこともあって、まぁ田舎の多分知り合いであろう新聞記者やらその歌手の彼氏や友人や家族親戚ばっかりで。
ライブ自体は、ギネスを呑みながら聴く美しい歌声、ライブミュージックを楽しむのには最高の環境で楽しんだことはもういうまでもないんですが。問題はこのあとです。
コンサートも終わって、この感じならちょっと機会を待って歌手の人に買ったEPにサインもらって、なんならちょっと話せるかなって思って待ってたんですが、やっぱり田舎町の知り合いしかいないコンサートに変なアジア人がひとり紛れている。だれだあれはってなるわけですよ。
待っている間に、おじさんに(これは後でその歌手のお父さんだっていうことがわかるんですが)なんで来たの?っていわれたんで、この間のコンサートのオープニングアクトを見てファンになっちゃいましたって行ったら、ちょっと待って紹介してあげるよ!っていってくださって。
で、最終的にその歌手の方に紹介してくれて、多少お話しすることまでできて(ただでさえ英語ダメなのに緊張でちょっともう何いってるんだこいつ、って感じになっていたとは思うんですが)なんなら、そのあとで打ち上げというか、みんなでパブに行くから来なよとまでいってくださったんです。
そんなわけで、パブに行って自分の持っているソーシャルスキルを全開にして失礼のないようにして。
で、2時になった頃にじゃあそろそろっていう時、このあとどーするの?って聞かれたんで、まあ外で朝のバスまで時間潰すっていう事を言ったら、みんなこのあとうちにくるから、ソファーでもよければ泊まっていきなよっていわれて。
そんな恐れ多いことできませんっていっても、全然いいよっていわれて、結局お言葉に甘える形になりました。
まぁ翌朝、ソファーで起きたらその歌手のお父さんがいらっしゃって、お礼を言って申し訳ないって伝えたら、ま、あんまりいい考えじゃないと思うけどね、って正直にいってくださって。そりゃもうそうなんですが。でもそういわれて、逆に気が楽になりました。
好きな歌手の家に泊まるってありえなくないですか?
こんな経験をできちゃったのも、まぁ当時若かったからっていうのはもちろんあると思うんですけど、これはもう予定を立てたら絶対にできない経験だと思うんです。
こんなわけで、こんな奇蹟はそれ以降一切ないんですが、こういった経験ができたというのは、まったくプランのない旅行だったからこそです。年齢を重ねたら、こういうことは起こりません。でも、だからこそ、ノープラン旅行には魅力を感じずにはいられません。
ノープランというのは、それはすなわち、動かなければ何も起こらない。柔軟に動いて逆に行動すればするほど、予想外の展開が起こるポテンシャルを秘めているということでもあります。
コロナ以降、ぼくも新しいところに旅行することがだいぶ減りました。言ったことのない場所への旅行というのは、今も広がり続けているという宇宙みたいに、自分の中に存在しなかった部分に奥行きを作る行為でもあると思っています。会ってきた人の中でたくさん旅行をしているのに面白みのない人に会ったことはありません。
やっぱり旅行をたくさんしていけば、それだけ新しい人の知らない話などがストックでき、面白みのある人間に成長できると思います。
いけばいくだけ新しい発見があり、楽しみながら人間的にも豊かになれる。「旅行」って本当に素晴らしいと思います。
ちなみにその歌手Maria Kellyっていって、2021年にはThe Sum of the in Betweenっていうすごい美しいアルバムを上梓しています。
すごい壮大な曲や歌唱力で歌い上げる感じの歌手ではないんですが、彼女の持ち味の美しい繊細な歌声を生かしたオーガニックなサウンドのアルバムになっていて、機会があればちょっと聞いてみてください。
↓はアルバムの表題曲でアイルランドの田舎の感じがわかるPVになっていて、ぼくは懐かしくてホームシックみたいな気分になっちゃいます。疲れた時に癒してくれるようなメロティーでとても素晴らしい曲です。
はい、というわけで、今回はノープラン旅行についてのお話でした。皆さんも旅行して、旅行先でちょっと動ければ、どのような形であれ、面白い人生における奇蹟に巡り会えるかもしれません。