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Nº105 イタリア語検定の”特色”について、自分なりに裏どりしてみました

 今回は、イタリア語検定の正式名称である「実用イタリア語検定」に関するお話です


 私は前から実用と名乗る理由を知りたいなと思っていたんですが、実は話はシンプルで、イタリア語検定協会のHPに公表してある「セルフチェックシート」のなかに書いてあったんですよ

 みなさんは、読んだことありますか?
 セルフチェックシート

 そのシートの項番13が「検定試験の概要」という見出しになっており、そのなかに答えがありました

実用イタリア語検定の特色

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”実用”イタリア語検定を標榜しているため、各レベルともリスニング分野の配点比重が高いのが当検定の特色である。
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とあります

 ということで、それに対する賛否は一旦傍に置くならば、主催者としての認識はそうなんだ、ということがわかりました

リスニングの配点比重:実用イタリア語検定

 これを数字で見てみると、2022年秋に行われた実用イタリア語検定1級のリスニングは

試験全体の満点 119点
うち、リスニングの配点 22点
配点の比重 約18.5%

という比重を占めています

 これだけだと「18.5」が高いか低いかわからないので、ひとまず英検と比べることにします

リスニングの配点比重:実用英語技能検定

 英検の準1級を例に取ると、

試験全体の満点 3000点(CSEスコアの場合)
うち、リスニングの配点 750点
配点の比重 25%

 英検は、準1級以外でも配点比率自体は同じなので、他の級を見ても配点の比重は変わりません
 ということで、英検の方が実用イタリア語検定よりもリスニングの配点比重は高く、よって英検の方が「より実用的である」と言えることになります(イタリア語検定協会の基準をそのままあてはめた)

リスニングの配点比重:CILS

 次に、イタリア語試験の一つ、CILSを見てみると

試験全体の満点 100点
うち、リスニングの配点 20点
配点の比重 20%

 ご覧の通り、英検よりも低いものの、実用イタリア語検定よりはリスニングの配点比重が高いですので、CILSの方が「より実用的である」と言えます

リスニングの配点比重(?):ドイツ語技能検定

 最後に、ドイツ語技能検定試験を見てみます
 日本国内で行われる外国語の検定試験で、かつ英語ほどメジャーではない言語の試験、ということで選びました

 通称 "独検" は、準1級を見ていきます
 英検準1級もそうなのですが、CEFRとの紐付けでB2とそれぞれのHPで発表されているためです(もっとも、独検では”あくまでも参考”という点が強調されているので、正式ではないということなのでしょう)

 その独検準1級ですが、困ったことに試験問題の中に4技能が揃ってないんです
 さらには、2次試験のスピーキングの配点もわからない(HP上で不見当です)

 そこで、苦肉の策ですが、一次試験を対象に解答数ベースで数値を出すことにしました
 その結果、一応こうなりました

一次試験の解答数 45問
うち、リスニングの解答数 8問
リスニングの占める割合 17.8%

 少なからず2次試験の分が分母に上乗せされることを考えれば、17.8%未満というべきでしょう

 実用イタリア語検定の 18.5% との比較は、算出の背景が違いすぎてほぼ無意味ですが、一応言うならば、実用イタリア語検定の方が「より実用的である」と言える結果になりました

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まとめ

 実際には、実用的かどうかを測るうえで、リスニングの配点が高いか低いかだけでは判断できないと思います
 ですが、今回は一旦その基準を受け入れた上で、他の語学試験と比較を行ってみました

 その結果、私が思うのは、イタリア語検定の特色は少なくとも「リスニング分野の配点比重が高い」ではない、ということです

 みなさんはみなさんで、お一人お一人がそのあたりを判断されるといいかなと思っております

 なお、これに続いて、リスニングの配点比率以外の面でもちょっと追加的に調べてみたいと思い、次のテーマを設定しました
 それは、リスニング問題で「どれくらいの量を聞き取り、理解する必要があるか」と「どれくらいの速度で音声が流れるのか」の2点です

 まぁ、実際にはすでにデータとか揃っているので、あとは記事にまとめるだけなんですけどね
 知っておいて損はない内容なので、次の記事もぜひ読んでみてほしいです

 今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました

 

 
 
 

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Ken,
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