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カスタマーサクセスを加速させた3つのオンボーディング戦略

テラドローンで入社時からカスタマーサクセスの立ち上げ組織の拡大を行ってきました可部(@ke___k8)と申します!

クライアントが製品やサービスを最大限に活用して、その価値を最大化するためのサポートをするカスタマーサクセス(CS)。購入後のサポートに加え、購入前の提案やトレーニング、マーケティング支援、顧客の要望に合わせたカスタマイズなど業務は多岐にわたります。

CSはコンサルティングファーム経験者や、事業会社での営業経験者などのネクストキャリアとして注目度が高まっておりますが、本コンテンツでは、テラドローンにおけるドローンレーザー「Terra Lidar」というハードウェアを起点とするCSの組織の立ち上げや組織の拡大について私が実践したことを2回にわたり、詳しくお話しすることで、CS業務がどのようなものなのか知るきっかけやCS業務に携わる方の参考に少しでもなればと思っております!

私の経歴

まず私がテラドローンにCSとして入社するまでの経緯についてお話します。東京大学を卒業後、外資系のコンサルティングファームで働き、その後テラドローンに未経験でCSのマネジャーとして転職しました。

特に立ち上がったばかりのCSであったため、担当する業務は幅広くありました。顧客のプロダクトの活用のための支援はもちろん、広義のプロダクト活用支援としてプロダクト戦略の策定や事業開発のようなところまで実施しておりました。

カスタマーサクセスの重要性

もう言うまでもないかもですが、カスタマーサクセスは、顧客満足度や継続利用率を高めるために不可欠な要素であり、その先でスタートアップの成長に大きく貢献することができます。
『カスタマーサクセス実行戦略』の著者であるSanSanの山田ひさのり氏によると、カスタマーサクセスの本質は、問題が発生してからそれに対処する「待ち」の姿勢ではなく、そもそも問題を発生させない「攻め」の姿勢と言います
カスタマーサクセスは、顧客の期待を超えるサービスを提供する過程で、競合他社への優位性が生み出し、持続的な成長を達成することができます。

カスタマーサポートとカスタマーサクセスの比較 出典:Sansan株式会社

重視したのは、オンボーディングによる顧客満足度の向上

テラドローンにCS組織ができたのは、2020年の4月です。
土木や建設業界ではドローンに搭載したレーザーを使った測量をする企業が目立ち始め、弊社からも「Terra Lidar」というドローンに搭載するレーザーを販売しておりましたが、その一方で、ドローンレーザーのメーカーは海外のメーカーが主流でした。

ドローン×レーザーの新技術は現場への導入のハードルが高い一方で、海外メーカーが主流となっている環境の中、国内向けのサポート体制は不十分であり、ドローン×レーザーの普及が妨げられておりました。
そこでドローン×レーザーという新技術領域だからこそ、顧客のサポート体制を充実させ、顧客が困ったときに頼ることができる状態が、プロダクトとして価値があり、競合に対する大きな優位性となると思いました

CSの具体的な目標としては、最初はとにかくオンボーディング(導入時サポート)の成功率の向上に集中しました。LTV(顧客最大価値)を最大化するうえで、解約率の引き下げが直接的には数字に響きますが、ドローン×レーザーの新技術領域では、特に導入初期に問題なく使用できるようになるかが解約率に明確に響きます。
立ち上げ期のチームとして限られたリソースを集中させて結果を出すためにも、とにかくオンボーディングの成功率という目標にフォーカスしました

カスタマーサクセスのプロセス 出典:GE Digitalプレゼンテーション「How to Build an End-toEnd Process for Defining and Delivering on Outcomes」
https://dx.goo.ne.jp/marketing-column/customer-success/

オンボーディングの成功率にフォーカスした結果、最終的には定めていた期間でのオンボーディングの成功率は倍近くになり、その結果、解約率も半分以下になりました。

弊社のオンボーディングへの取り組みについて、詳しく説明していきます。
弊社では、顧客単独でドローンによる測量業務を実施した時点をオンボーディングの成功と定めております。
まずオンボーディングで意識したことは下記3つです。

1.基本的なオンボーディングフローの定型化
2.顧客専用のポータルサイトや動画コンテンツの整備による非同期型サポートの充実
3.事業開発視点での顧客のプロダクト活用の拡張

1.基本的なオンボーディングフローの定型化

立ち上がりのCSチームでは、顧客数に対してリソースが限られていることに加え、顧客のフォロー方法が属人化しているという課題がありました。
そのため、導入時の講習実施から顧客の測量業務の受注まで、顧客のフローを分解し、それに合わせて、フォローのタイミングや内容を定型化していきました。
これにより、各人が余計なリソースをかけずに、かつ安定したフォロー内容を提供することができるようになり、少数のメンバーでオンボーディングの成功率を引き上げることができるようになりました。

オンボーディングフローイメージ

2. 顧客専用のポータルサイトや動画コンテンツの整備による非同期型サポートの充実

顧客の増加に対応して、単純にCSの人数も増やせればいいですが、事業上健全とは言えません。限られたリソースでより多くの顧客をオンボーディングさせるために活用しているのが、専用サイトや動画コンテンツです。
測量業務で使用するドローンレーザーは、オンボーディングが完了するまで、長期間を要します。その間、CSメンバーがつきっきりでフォローすることは困難ですし、顧客目線でも顧客のタイムラインに合わせてプロダクトに触れられるのが理想かと思います。
そのため、専用のポータルサイトや動画コンテンツを拡充することで、顧客自身が各自のタイムラインや習熟度に合わせて、プロダクトを活用いただけるように仕組化しております。

サポートサイトのマニュアルページ

3.事業開発視点での顧客のプロダクト活用の拡張

弊社のドローンレーザー「Terra Lidar」というプロダクトの特徴として、測量業務で使用するツールであるため、顧客が測量業務を受注しなければ実際に計測に活用する機会が得られないという点がございます。
その点、「Terra Lidar」のCSは、社内ツールとして導入するSaaSプロダクトのCSとはまた違った難しさがあります。

顧客にドローンレーザーの活用を広げてもらうことを目指す弊社のCSとしては、顧客のドローンレーザーの利用促進の一貫として、顧客がドローンでの測量の案件を受注することの支援も一部しております。
もう少し具体的に説明しますと、顧客が測量案件を受注する際に、現在でも発注者からドローンのレーザーの使用を前提に発注されるケースは、多くはありません。
そのため、ドローンレーザーで測量するためには、ドローンレーザーを使うメリットやドローンを使用する際のルール、必要な作業等を発注者に提案、説明する必要があります。テラドローンのCSでは顧客がそういった提案、説明をする時の支援もしております。

また、広義の利用促進の一環として、市場調査などを通してドローンレーザーの活用余地のある新しい業界を開拓したりもしております。そういった意味では、弊社のCSには、事業開発の要素も含まれているかもしれません。事業開発の領域も手掛けているCSは珍しいのではないでしょうか。

カスタマーサクセスの立ち上げはリソースが限られる一方で、「やった方が良いこと」が色々目に付くと思います。
そのような中でも、オンボーディングの達成率といった注力するKPIを明確にしたうえで、そこに即した「やるべきこと」に絞って取り組むことが重要かと思っております。

最後に

テラドローンのCSは、真の顧客価値を踏まえて事業開発を含め、広く顧客を支援していくチームとなっており、絶賛メンバー募集中です!
現場に入り込み、顧客価値に向き合い、裁量を持ってどんどん挑戦したい方、その先に世の中の景色を変えるような仕事をしたい方、是非一度お話しさせていただきたいです!

次回は立ち上げたCSの組織をどのように拡大していったかを詳しくお話します。



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