恐怖!ファントムジジイ
夕方ごろ、国道で原付を走らせていた。
前には紅葉マークの車。ジジイである。
ジジイドライバーは何をするかが読めなくて怖い、などと考えながら後ろを走っていた。
しかし、このジジイ、かなりの安全運転である。
そこではたと気が付いた。
このジジイは従順なジジイである。
己が老衰に自覚的なジジイである。
ここまで自覚的なジジイであれば、より耄碌すれば自らの運転の権利を進んで手放すであろう。
紅葉マークを掲げ、周囲にジジイを声高に宣伝して回る、ジジイの選挙カー。
だがそれが従順なジジイである。
真に恐怖と成り得るのは
ジジイであることを自覚せず運転を続ける、そう
幻影爺である。
ジジイであることを宣伝するジジイは従順なジジイであり、
ジジイであることを自覚していないジジイの方がより危険なジジイである。
紅葉マークの存在意義は、ファントムジジイの存在によって侵される。
我々はむしろ、紅葉マークの無いファントムジジイにこそ、注意を払わねばならないのである。
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