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もし愛犬が「疥癬の野生動物」に触れてしまったら? “獣医師で猟師” からのアドバイス

本稿は『けもの道 2018秋号』(2018年9月刊)に掲載されたものを note 向けに編集したものです。掲載内容は刊行当時のものとなっております。あらかじめご了承ください。


著者|遠藤貴壽
グリーンピース動物病院(兵庫県)院長・獣医師・猪猟師

はじめに

私は動物病院を開業して犬猫の病気を治療予防することを仕事にしており、その中で、野生の動物から飼い犬に疥癬かいせんが感染した事例があります。

郊外の住宅地で、疥癬に罹患したと思われる皮膚病の狐が棲息していたことがあり、その狐が毎日移動している経路のすぐそばの家で飼われている飼い犬が次々と皮膚が痒くなり脱毛が生じたというもので、今でも鮮明に覚えています。

ちなみに、自分の使役している猪猟犬が疥癬に罹患している狸や猪と接触したことはありますが、その結果疥癬を発症したという経験はありません。

しかし、野生の狸・狐・猪から狩猟犬に疥癬が感染するということは十分に考えられることであり、そんな話を伝え聞いたことも何回かあります。

まずはよく観察。素人判断は厳禁

自分の飼っている犬が明らかに疥癬に感染している野生動物と接触した場合に飼い主がすべきことは、接触後数日以内に犬が皮膚を痒そうにしていないかどうか、よく観察することです。

皮膚を搔いたり咬んだりする動作が見られた場合には、動物病院に犬を連れて行って、疥癬に感染している野生動物と接触した旨を獣医師に伝えてください。

疥癬による脱毛が生じるのは痒みが生じてからさらに数日後になります。「痒いだけだから大丈夫だ」といって放置していると、徐々に患部の毛が抜け始めます。

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