お客様第一のためには仕入先も第一であるべきでは
先月29日の日経新聞に「価格交渉拒否は独禁法違反 公取委が指針 中小の賃上げ促す」という記事がありました。公取委が企業が取引先(仕入先など)との交渉に応じず価格を据え置けば独占禁止法に違反するとの指針を出したとの記事でした。
特に中小企業が大企業に対して製品を供給する場合などにおいて、力関係から大企業が製品値上げの交渉自体に入らないことがあります。このような事が少なくないため、公取委がこのような指針を出したのでしょう。
この記事を読んだ時に感じたのは、「企業がお客様によい商品・サービスを提供できるのは、『その商品・サービスの基となるよい商品・サービスを提供する企業があるから』、という意識が希薄な経営者が少なくないのではないか」ということでした。
実際、企業経営に関わる討議の中で、「お客様」や「社員」のことはよく出てきます。商品・サービスを作り、提供する「社員」、そして商品・サービスを買ってくれる「お客様」のことはフォーカスがあたるのです。
このこと自体に問題があるわけではありません。企業経営に関わる課題に「お客様」が出ない企業は存続しないでしょう。
一方で、商品・サービスの基となるものを提供する「仕入先」などについてフォーカスがあたることは少ないように感じます。仕入先の高齢化などにより廃業しないかなどの心配を聞くことはありますが、それ以外のものは多くないです。
しかし、仕入先がよい商品・サービスを提供してくれるからこそ、企業もお客様によい商品・サービスを提供することができるのです。もし、仕入先がよい商品・サービスを提供できなくなったら、企業もお客様によい商品・サービスを提供できないのです。
そうであるならば、企業経営者はもっと仕入先の存続や、仕入先がもっとよい商品・サービスを提供できることに関心をもつべきではないかと思うのです。
「お客様第一のためには仕入先も第一」という意識がもっと企業経営者にあれば、公取委の指針のような「交渉に応じず価格を据え置き」ということにならないのではないでしょうか。