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何を目的とするかで、同じお題目でもやるべきことは違ってくる

野中郁次郎先生らによるベストセラー『失敗の本質』は、多くの方に読まれている名著ですが、実はその続編や姉妹本として位置づけられる書籍がいくつかあります。その中の一冊に、私の愛読書でもある『戦略の本質』があります。
 
この本も『失敗の本質』と同様、戦史から現代のビジネスにつながる本質を抽出しようとしています。本書の重要なテーマの一つは、「目的が何であるか」を常に確認することの重要性です。戦略であれ、戦術であれ、目的が異なれば取り組むべき内容も変わってくる、という点を強調しています。
 
私も企業様のご支援をする際に、「目的が何であるか」を常に問いかけ、確認することを大切にしています。例えば、多能工化を進める場合、一見同じ取り組みに思える多能工化でも、目的によってやるべきことは大きく異なります。
 
「社員の稼働率を高めたい」という目的であれば、業務間の繁閑のタイミングを確認し、閑散期の業務を忙しい業務で補えるように多能工化を進めるべきです。この場合、特定の業務に絞るのではなく、幅広い業務をカバーできる体制が求められます。
 
「特定工程がボトルネックとなり、出荷が遅れている」という場合には、その特定工程を担える人を増やし、ボトルネックを解消することが重要です。この場合、目的に応じて特定工程に特化した多能工化が必要です。
 
「お客様接点の業務が手薄で、お客様に迷惑をかけている」という場合は、お客様接点の業務を担える人を増やし、顧客満足度を高めることが目標になります。この場合は、顧客対応に特化したスキルを持つ人材の育成が鍵となります。
 
一言で「多能工化」と言っても、目的によってやるべきことはここまで異なります。目的を明確にせずに多能工化を進めてしまうと、「期待していた効果が得られない」という結果に陥りかねません。
 
何かに取り組む際には、「これはどういう目的で、何を実現したいのか」を常に自問自答することが重要です。この問いを持ち続けることで、取り組みが具体性を持ち、成果を得やすくなるでしょう。

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