血を吐くほどに自分を磨いた中国皇帝
日本ではそこまで知名度が高くありませんが、中国の長い王朝史のなかで屈指の名君と評価が高いのが清王朝(1644年~1912年)の康熙帝(こうきてい、1654年~1722年)です。中国では近年、長編歴史ドラマの主題となるなど、改めて注目が集まっています。
先週は執筆のなかで康熙帝について調べ、書いてみました。元々、世界史のなかでも尊敬する人物ではあったのですが、改めて偉大さを感じました。
中央集権化を目指した内乱の鎮圧、人材の登用、黄河の治水工事、宮廷経費の大幅縮小、そして大型減税による人口増加。。。在位60年の間はまさに「賢王」政治と評価できるものです。
そして、このような政治を支えたのが、康熙帝の猛烈な自己研鑽です。激務の間にも朝早くから夜遅くまで読書を欠かさず、そのために血を吐くほどだったとか。その学問の幅も儒教にとどまらず、天文学や数学などのヨーロッパの自然科学まで及んでいます。優れていると思うものは何でも学びました。
このような自己研鑽が、賢人政治につながったのです。
康熙帝が好んだ言葉に、「鞠躬尽瘁(きくきゅうじんすい)」という言葉がありました。これは諸葛孔明の言葉で、「身心を労苦して国事に尽くす」という意味です。
これは臣下が使う言葉だと指摘した臣下に対して、康熙帝は「自分は天の僕(しもべ)である」と答えたとか。どこまでも謙虚な人格を感じる答えです。
歴史に学んでも、すぐにその人物のようになれるわけでは当然ありません。しかし、歴史に学ぶことにより、かつて高みを目指して努力した人物を知ることは、自分自身もその境地にわずかでも近づけるように努力するきっかけになるのでは、と思うのです。