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ディズニーは魔法を取り戻せるのか

4月5日の日本経済新聞の記事「ディズニー、総会委任状争奪に勝利 アクティビスト対策に5000億円 構造改革遅れ、重い代償」は、ディズニーの経営者のあり方に疑問を感じてしまう内容でした。
 
ディズニーは動画配信や映画事業が赤字であるため、アクティビスト(物言う株主)から新しい取締役候補の提案を受けたのです。それに対して会社側も取締役候補を提案したため、株主総会で争われることとありました。
 
この争いのなかでは、アクティビスト側が「ネガティブキャンペーン」を行ったこともありますが、ディズニーも負けずにアクティビスト側を攻撃する広告に4000万ドル(約61億円)を費やしたのです。
また、株主の支持を取り付けるため、2023年11月には復配を、24年2月には30億ドルの自社株買いも決めています。株主対策に費やした総額は5000億円以上にものぼっています。
このような株主対策が功を奏したのか、アメリカの議決権行使助言会社がアクティビスト側に賛同したにも関わらず、会社側が勝利し、会社提案の取締役候補が選任されたのです。
 
そこまでして守りたいものは何なのでしょうか。アクティビストの主張を精査していないため、その提案が正当かどうかは評価できませんが、ディズニーの構造改革が遅れているという評価は事実です。アクティビストの提案が否決されたのち、「アクティビストからの業績改善圧力が後退してしまう」とディズニーの株価は3%下落しました。
 
ここからは想像の世界ですが、現経営陣が自己の保身のためにアクティビストの攻撃を行ったり、復配、自社株買いを進めかかったか、ということを考えてしまいます。
現在のディズニーのCEOボブ・アイガー氏は2005年から15年間CEOを務めたのち、後任の後継者が反発を受けたため、また22年からCEOに復帰しています。恐らくディズニー社内での権力は絶大であることが想定され、その地位を守るために取れる手は取る可能性はあります。
なお、ボブ・アイガー氏の23年度の報酬は、赤字によるリストラなどに着手しているにも関わらず、3160万ドル(47億円)でした。このような巨額報酬も企業のガバナンス(統治)に問題を生じかねません。
 
今回のアクティビストは取締役候補を提案するにあたり、「魔法を取り戻す」と言っていました。会社提案の体制のなかで、ディズニーは魔法を取り戻せるのか、今後も注視したいものです。
 

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