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「意識して取り組む」は思考停止ワード

企業の皆さまから、目指す姿を実現するための実行計画を作成いただく機会があります。その中でよく見かけるのが、「意識して取り組む」という言葉を末尾に含んだ文章です。
 
例えば、次のような表現です。
「お客様のニーズの背景にあることを把握するように”意識して取り組む”」
「お客様のニーズに沿った商品・サービスを提供できるように”意識して取り組む”」
「部下の声をくみ取れるように”意識して取り組む”」
正直、このように書かれていても、具体的に何を実行すればよいのかが分かりません。この施策を受け取った社員の立場に立つと、さらに戸惑うのではないでしょうか。
 
そもそも、「意識して取り組む」とは、何かしらの施策を実行した結果として生まれるものです。
例えば、「お客様のニーズの背景にあることを把握するように意識して取り組む」という目標がある場合、次のような施策を実施すれば、社員は自ずと「意識して取り組む」状態になるはずです。
 
✅「お客様のニーズの背景を聞き出せるように、トークスクリプトを作成し、ロールプレイを実施する」
✅「営業報告書に『お客様のニーズの背景』を記載する項目を設け、記入を必須とする」
 
このような具体的な施策が提示されないまま、「意識して取り組む」とだけ言われても、社員は何をすればよいのか分かりません。結果として、「意識して取り組む」という言葉自体が思考停止ワードとなり、無意識のうちに具体的な施策を考えることを放棄してしまうリスクがあります。
 
自社や自組織の計画や施策の中に「意識して取り組む」が氾濫していないか、一度見直してみるのもよいかもしれません。

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