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行き過ぎた効率化が「魚離れ」を加速している

先週は「魚ビジネスThe FISH BUSINESS」(ながさき一生著)を読んでみました。魚ビジネスに多角的に関わる著者が、日本の魚ビジネスの現状や問題・課題をできるだけ網羅的に分かりやすく書かれたものでした。
 
本書を読むなかで、なぜ「魚離れ」が進んでいるのかについて考えさせれました。
その理由として、一般的に考えられているような食の多様化(特に肉食化)や、料理の簡素化が志向されるなかで、調理の手間がかかる魚が避けられることはあると思います。
 
しかし、本書を読んでいるなかで、決してそれだけではないのではないかと思いました。
それは、販売者の行き過ぎた効率化が「魚離れ」を加速しているのではないか、ということです。
 
魚は種類が豊富であり、また作り方、食べ方にも色々注意が必要ですが、なかなか素人の消費者ではそれらのことが分かりません。そのため、昔は街の魚屋さんが魚のこと、作り方、食べ方のことを教えてくれたのです。そのおかげでお客さんは安心して魚を買っていました。
 
しかし、スーパーマーケットが増え、街の魚屋さんが少なくなるなかで、売り方が変わりました。売場の効率優先のスーパーマーケットでは、魚について説明する店員もいません。その結果、消費者は種類も少なく、作り方、食べ方も迷わない食肉やその他の食材に移っていきました。これが「魚離れ」を加速させているのです。
 
こうした売場効率よりも店内での説明や調理に人手をかけている魚屋さんは、現在でも消費者の支持を受けています。その代表例が角上魚類さんです。元々新潟の魚屋さんでしたが、現在関東をはじめとして店舗を拡大しています。この角上魚類さんがいかに人手をかけて店内対応を充実させているかは本書でも紹介されています。結果、各店舗にはたくさんのお客さんが来店し、業績も向上しています。
 
魚の販売に限った話しではなく、お客様が求めているものについて原価や経費を削減すると、お客様が商品そのものを買ってくれなくなり、結果として売上自体が減少するのです。ここでは販売に関わる効率化について紹介しましたが、商品そのものの原価を下げてお客さんの支持を失うようなことも同じことです。
 
まずはお客さんが何を求めているのか。それに対応する人手や手間はどれくらいが適正かを考える。この順番を間違えてはいけないと改めて感じます。

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