人生の使命は、自分の限界を少しでも広げること
先日、『クセになる禅問答』(山田史生著、ダイヤモンド社)という本を読みました。本書は、禅の宗派である臨済宗の経典『臨済録』を分かりやすく解説した内容で、一般の人にも親しみやすい一冊です。この本を読んで感じたのは、人間が最もコントロールできるものは、自分自身の「主体性」なのではないかということでした。いや、もっと言えば、人間がコントロールできるのは、自分自身の「主体性」だけなのかもしれません。
明日で私も半世紀を生きたことになります。この節目を迎えるにあたり、最近強く思うのは、人間が生まれてきた使命は、自分の限界を可能な限り広げることにあるのではないかということです。そして、もしそうだとすれば、自分の限界を少しでも大きくすることだけに集中するべきではないでしょうか。
もちろん、仕事や私生活の中では、他人に働きかけたり、逆に働きかけられたりすることもあります。しかし、そのような関わりの中でさえ、私たちができるのは、自分の主体性と限界の範囲内での働きかけだけです。結局のところ、自分の枠を超えて何かを変えたり、影響を及ぼしたりすることは難しいのです。
時に、他人の限界が気になることもあります。しかし、他人の限界を自分の主体性で変えることはできません。それに、自分に限界があるように、他人にも限界があるのは当然のことです。そう考えれば、他人の限界を気にする時間やエネルギーを、自分の限界を広げることに使うべきだと感じます。
正直に言えば、私自身、これまで自分の限界を広げることに全力で集中してきたとは言えません。ですが、これからの残りの人生は、自分の限界を少しでも、ほんのわずかでも広げることに集中したいと思っています。その先にこそ、自分が果たすべき使命が見えてくるのでは、と感じるのです。