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「どうする家康」の参考となった源頼朝

今年の大河ドラマ「どうする家康」をみていると、時々、松潤が「吾妻鏡(あづまのかがみ)」を読んでいるシーンがあります。
 
「吾妻鏡」。平安時代の末から鎌倉時代中頃までについて書かれた歴史の本です。西暦でいうと1180年から1266年を対象としていますので、今から850年前ころの本になります。
 
松潤演じる徳川家康は、史実においても「吾妻鏡」を愛読していたようですが、とくに鎌倉幕府を開き、鎌倉時代をはじめた源頼朝を尊敬していたといいます。「吾妻鏡」は現代でも頼朝を深く理解しようと思ったら欠かせない本ですから、家康も何度も頼朝について読んだのかもしれません。
 
武士の棟梁、つまり武士のトップであり、武士の時代を切りひらいた頼朝にあこがれがあったのかもしれません。そういえば、徳川家や家康の時代から源氏(源の姓をもつもの)を名乗るようになります。
 
私は、憧れに加えて、家康には頼朝と自分を重ねあわせる面もあったのではないかと感じます。
家康は幼いころから人質として苦労していましたが、頼朝も幼いころに父が戦で敗れ、長いこと流罪として流されていました。
 
頼朝は、流罪の身から一転として関東武士のトップになっていくわけですが、それも関東武士達が京都の政権に反発していたから頼朝に従ってくれただけです。その心をつなぎ留め続けるのは、大変な気苦労だったと思います。
 
家康も、累代の家臣もいるとは言え、時には反乱を起こされたりして、家臣には気苦労が多かったはずです。そんな中で、「吾妻鏡」の頼朝を読むと、「おれと同じような苦労をされたんだな」と感じ、自分と重ね合わせていたのではないでしょうか。そして、「吾妻鏡」から見える頼朝の振る舞いは、家康の人生にも影響を与えたはずです。
 
歴史を通して、自分と同じような境遇や悩みを抱えている人がいないかを探し、その人がどのように過ごしたかを知り、自分の人生の参考とする。これも歴史の醍醐味だと感じます。
 

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