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過労死が疑われるほど働いた中国皇帝

中国5千年に限らず、世界の歴史の中でも君主、とりわけ皇帝が働き過ぎの過労死が疑われた例は、私の知る限りでは聞いたことがありません、一人の例外を除いて。
その一人の例外とは、中国は清王朝の第三代皇帝である雍正帝(1678年-1735年)です。
 
私は、雍正帝が中国史上で最も勤勉な皇帝であったことから、以前から興味をもっていました。
ただ、中国史に多少詳しい人でも、この雍正帝の前の康熙帝(父親)、またその後の乾隆帝(子供)は知っていても、雍正帝は知らないという人がいる位、知名度が低い人である為、なかなか関連書籍がありませんでした。
 
そうしたところ、中国史の権威であられた故宮崎市定先生の本に「雍正帝 中国の独裁君主」という本があった為、アマゾンで取り寄せ、今週読んでみました。
感想を一言で言えば、雍正帝の政治に対するひた向きさが感じられる内容でした。
 
元々支配者である満州族は少数民族であり、加えてこの雍正帝は想定外に後継になったこともとあり、
ライバルの追い落としや反体制派の弾圧というようなことも多々やっており、本書でもその辺は生生しく書かれています。
 
しかしながら、この雍正帝は支配者として預かった中国やその人民をよくしていきたいという思いが大きな君主であったことも間違いなかったようです。官僚や地方官から上がってくる国政・地方の問題に対して一つ一つ丁寧に取組み、報告書に対して細かく赤字を入れて返していったのです。
その為、朝は4時から夜中まで、起きている間中はずっと仕事をしていたといいます。その為、その死因については過労死も疑われているほどです。
 
そんな勤勉な皇帝は部下である官僚に対しても厳しく、その赤字の内容を読んでいると、今ならパワハラと言われてもおかしくないものもあります。また、官僚世界はお互いの交際を大事にしていたのですが、雍正帝は「官吏が本当に政治を真面目にやろうと思えば、おたがいの交際などに費やす時間も費用もでるはずがないはずだ。」とまで断罪しています。
 
私が本書で一番感動的だったのは、この雍正帝の居室の入り口に掲げられていたという以下の文章です(原文から翻訳したものだけです)。
 
「君主たるは難しいかな。
天下が治まるか治まらぬかは、われ一人の責任である。
われ一人のために天下を苦労させることはしたくない。」
 
もう、これ以上の言葉はありません。
 

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