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Blue: 「経験」の〇〇デビュー

最近、芸能人やら大学生やら、やたらと大麻所持で御用になるニュースを耳にする。


昔々。
私がアメリカに留学して最初の2ヶ月間、語学学校に通っていた。

その時代は戦後の第二次ベビーブーマー世代が、社会に出ていく時代。大学受験も人で溢れ、「就職氷河期」という言葉まで生まれ、何をするにも超難関の90年代後半。バブル後、行き場を失った多くの若者が海外に出ていた。

「猫も杓子も留学」時代、私が通っていた語学学校の生徒は80%が日本人留学生、そのうちの三割ほどはアメリカに遊びに来たような学生だった。

もっというならば、日本人留学生の半分以上は「経験だから」といってマリファナパーティーに行っていた。学業はさておき、新しい経験を求めて楽しんでいた学生が多く存在した。

そもそもその「経験」てのは必要なんだろうか。実際、顔見知りだった、ごく普通の日本人留学生の女の子は「経験」パーティーでどうかなってしまったらしい。昼時、学校のカフェテリアでよく見かけていた彼女を数ヶ月後には全く見ることは無くなった。後々になってから聞いた噂では、学校を辞めて悪い仲間とつるんで、留学生相手に商売をしていたとか。そのとんでもない変貌ぶりも、「経験」の一つであろうか?

良くも悪くも私は日本人留学生の友達が多くはなかったので、パーティーに誘われることがなかった。大抵の留学生は同じ語学学校に通っていてすでに友達の輪ができてたし、私が履修していたプログラムはアカデミックだったので、まず同じ教室に留学生がいることが稀だった。

違法だった時代でも、マリファナはどこにでもあった。学生パーティーはもちろん、住宅街のベランダ、一般家庭の親のバスルームのmedicine cabinet、ホームレス街。大統領だって使用経験があるか聞かれる。

例えば、クリントン元大統領は候補者の時、記者からの質問に対し、過去のマリファナ使用を認めた。大学生のパーティーで破茶滅茶に楽み、地元アーカンソーのど田舎でちゃんとやることはやってきた生粋のやんちゃ小僧だったとしても、多くの人が彼を信頼できると思ったのだろう。アメリカ史上、初めて大麻使用を認めた大統領となった。

見た目で判断してると言われれば返答に戸惑うが、ジョージWブッシュ元大統領が真面目な顔で、マリファナを見たことがないと言った時は少し笑った。

ちなみに、オバマさんだって、ちゃんと告白した。まぁ、民主党(マリファナ合法化賛成派)だったからかな。若気の至りを擁護する気はないが、後で聞かれた時に笑って答えることができる器だけは尊重したいところ。

私がカリフォルニアで学生だった頃、大学の講義ではマリファナを合法化するかしないかの論争で火花を散らしていた。大多数の学生が合法化に賛成だった。

ちょうどその頃、何の巡り合わせか、Los Angeles timesで、ロンドンにある17世紀に火事で燃えたシェイクスピアの劇場を再現する際の記事があった。その地下室にはマリファナを栽培していた痕跡が見つかった。さらにその後、家の庭にも大麻、パイプの残骸も発見されている。偉大な劇作家または文豪のシェイクスピアもゴリゴリの状態でロミオとジュリエットを書いていたことが証明され、大麻合法化には追い風のニュースだった。

私のほとんどのカリフォルニアの友達はマリファナには賛成だが、自分の子供たちの使用については反対だ。なんだが少し、矛盾している気がする。
彼らの言い分としては、ある程度大人になってから(自分たちの責任範囲で無くなったら)ならOKらしい。そもそも、身体に影響はない(と信じている)から大丈夫だと言う人もいる。それでも次の日、頭痛に襲われている人もいたし、記憶を失う人もいた。

まぁ、考えてみれば私の飲酒だって、飲み過ぎれば二日酔いがあるのでそれと同じだと言われれば頷ける。

アメリカ社会ではマリファナ如きそんなもの、どこにでもある。今や、カリフォルニアは合法だ。

最近ではマリファナを合法化している国も増えた。ただし、ほとんどの国が医療目的の使用のみであるので、お間違い無く。旅行で行った先での使用は邦人として罰せられるので、ご注意願いたい。中毒性は無いと言いう人もいるが、持ってたところを見つかれば、日本では御用です。

私はオタクではないが、ビビリが本当の理由、羨ましいとも、面白そうだな、とも思わなかった。中には私が未経験者だと知ると、鼻で笑う留学生すらいた。でも私は勘違いお嬢さん育ちのせいで、そんなもの育ちの悪い人間がやることだと本気で思っていた。多分、根がクソ真面目なんだろう。

英語がまともに話せるようになってからでも、fratやsororのパーティーですら、遠慮した。マリファナにあまり良いイメージを持っていなかったから。ビビりだろうが、クソ真面目だろうが、大切なのは自分の意思を主張できること。上手にその場から抜け出したり、それでも”No, I’m cool”と言える勇気があった自分を称賛したい。

そう考えると、コロナのワクチンをなんの陰謀論かわからないが拒否する人もいるのに、マリファナを拒否するとカッコ悪いだなんで、矛盾している。もとい、ワクチンを打たない人を責めているわけではない。「マリファナは経験、ワクチンはNG」と言っている人ね。

どんな時でも、ちゃんと意思を保つことが大切。
嫌ならイヤ、と言える勇気。そんなの経験しなくたって恥ずかしくない。ワクチン打たなくたって人間、お酒を飲まなくたって、人間なのだから。

あなたはあなた。

唯一無二なの。

あなたが納得いかない案件には、頷かなくて良いの。つまらないものに負けないで。


Love,
Kelly


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