バットにボールが当たらない
バットにボールが当たらない人生がある。
私はそういうふうに生きてきた。
小学校のある日、体育の授業で突然バットとボールが用意されてルールもそこそこに試合が始まった。
クラスメイトには素質のある子もたくさんいて、そういう子は最初こそ空振りもあるけれど次第にボールが当たるようになって体育館の隅にまでボールを飛ばすようになった。もちろんボールを投げる側の忖度もあったけれど1時間もしないうちにみるみる上達した。
順番が私に回ってきてひどく緊張した。こういうのは成功した事が無いから。