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0→1で立ち上げた新規事業がユビーの主力事業へ成長した話し
お久しぶりです。Ubie(以下、ユビー)でプロダクトデザイナーをしている小松(@kekenken)です。
noteは数年振りに書いたのですが、その何年かの間のハイライトとして、新規事業で「ユビー病気のQ&A」というサービスを立ち上げて主力事業のひとつに成長したので、今回はそのあたりのストーリーについて書いてみました。
ちなみに記事を書くスキルは決して高くはないので、ChatGPTにお手伝いしてもらいました。
ぼくには思いつかないような表現でうまーーく書いてくれて助かりました。良い時代ですね。笑
この記事ではデザイナーの職能にはとくに言及していません。主に新規事業や事業開発に関心のある方や携わっている方に少しでも有益だとうれしいです。
そして、あわよくばユビーの事業開発に興味を持ってエントリーまで繋がると本望です。よろしくお願いします。笑
1. はじめに
新規事業をゼロから立ち上げ、結果を出すのは容易ではありません。特に限られたリソースで始まるプロジェクトは、何度も試行錯誤を重ねる必要があります。今回は、たった3人のチームからスタートし、今では月間600万人(2024年12月時点)にご利用いただけるまでに成長した新規事業のストーリーをご紹介します。
2. 3人ではじめた新規事業
チームのスタートはたった3人。医師(プロダクトオーナー)、デザイナー、そしてエンジニア。プロジェクトの起点となったのは、医師であるプロダクトオーナー(以下、PO)が抱いていた課題感でした。
「医療現場で必要な情報を探すのが手間で、欲しい情報も論文の深いところにあって分かりにくい。これを解決すれば、多くの医師が助かるはずだ。」
その言葉を元に、チームは医療情報をまとめたウェブサイトを立ち上げます。しかし、リリースしてみると、結果は「無風」。誰にも響かず、誰の課題も解決できていませんでした。この段階で直面したのは、「ターゲット(=医師)のニーズを正しく理解できていない」という根本的な課題でした。
3. 失敗から見えた次の一手
リリースの失敗を経て、チームはまず目線を揃えることから始めました。医師というターゲットの思考や行動を深く理解するため、ユーザーインタビューを開始。結果、医師の所属先や環境によって課題感が異なることが判明しつつ、共通点も見えました。
情報を探すのが面倒である
必要な情報に迅速にたどり着きたい
この共通項を受けて、チームは新たなアプローチを模索。課題を解決するプロダクトの形として、次の2つのアイデアを試すことにしました。
高血圧などの数値を入力して答えにたどり着ける「入力型サービス」
短文で質問と回答を整理する「Q&A形式のサービス」
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4. ピボットの決断
検証の結果、入力型サービスは一部で好評だったものの、適用できるシーンが限定的で開発コストが高いという課題が発覚。一方、Q&A形式は簡潔で作成しやすく、患者に見せるシーンにも適していることが分かりました。
しかし、この段階でPOが抱いていた「本当に解決したい課題」が見えてきます。それは、医師向けのサービス開発ではなく、「患者さんにとって最適な治療ができる仕組みを作りたい」という思いでした。
ここで、大きなピボットを決断します。ターゲットを医師から患者に変更し、患者さんが知りたい情報に迅速にアクセスできるQ&A形式のサービスを立ち上げる方向へ舵を切りました。
5. 患者さん向けサービスへ
ステルスでの検証期間を経て、ついに2022年7月にユビー病気のQ&Aとして正式に公開しました。患者さん向けに方向転換したことで、次のような大きな利点が見えてきました。
日本全国を対象にした大規模なターゲットが得られる
健康や病気に関する検索クエリは無限に存在する
SEOに必要な専門性・信頼性が担保できるコンテンツを制作可能
短文のQ&A形式により、コンテンツ作成のハードルが低い
ユビーのドメインパワーの恩恵を存分に受けることができる
これにより、コンテンツを大量に制作し、SEOで効果的に届けるという戦略が明確になりました。指標としては「月間アクティブユーザー(MAU)」「検索順位」「月次コンテンツ作成数」を設定し、PDCAを回しながらサービスを成長させていきます。
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\病気のQ&Aサイト「ユビー病気のQ&A」を公開しました/
— ユビー病気のQ&A (@ubie_byoki_qa) July 29, 2022
病気や症状のよくある疑問や悩みについて、現役医師がQ&A形式で分かりやすくご紹介しています。
正しい知識を付けることで、みなさんの予防や治療のお役に立てると嬉しいです🧑⚕️#ユビー #病気のQAhttps://t.co/33rN78VJqJ
6. プロセスの型化とスケール
次に行ったのは、コンテンツ制作のプロセスを型化することです。主に以下のツールやフローで効率化を図りました。
Googleスプレッドシートでのコンテンツ作成
Notionカンバンで進捗を見える化
Slackチャンネルで役割ごとにコミュニケーションを分けて運用
定例の会議体の設置による課題抽出の型化
GASなどを利用した生産効率化
さらに、業務委託やインターンを積極的に採用し、短期間で大量のコンテンツを生み出す体制を構築。作成プロセスを以下のように分業化しました。
Qの選定:検索ボリュームやユーザーインサイトを基に質問を作成
回答の作成:医師が監修し、正確性を担保
校正と公開:一般ユーザーにも分かりやすい形で記事化
この型化によって、コンテンツ制作のスピードと質が両立され、MAUはついに100万を突破し、あっという間に200万、300万と伸びていきました。
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7. グロースと社内認知の拡大
型化されたプロセスを元に、チームはさらに成長を続けます。Q&Aサービス単独で価値を生み出すだけでなく、他のサービスと連携して送客する仕組みも構築しました。
これにより、事業全体としての価値がさらに明確になり、社内での認知も広がり、ついには2023年9月の全社オフサイトで社内アワードを受賞(Giant Leap賞:非連続な未来を実装しようの意味)するに至りました。
そして、ユビー病気のQ&Aは、プロダクト横断的な開発に進む新たなフェーズへと突入しました。
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8. 新規事業の成功とさらなる挑戦
新規事業は、試行錯誤と柔軟な意思決定の連続です。しかし、その過程で得られた学びや型化されたプロセスは、事業を継続的に成長させる大きな原動力となりました。
去年末から今年にかけては、社内の優秀なメンバーたちも多く合流し、チームも拡大し、2024年12月時点でユビー病気のQ&Aは月間600万MAUという規模にまで成長しました。
その成功は単に規模を拡大することに留まらず、事業全体の方向性を支える柱となり、社内外からの信頼と注目を集めています。
現在も様々な方のご協力をいただきながら、他のプロダクトやチームとも連携し、さらに大きな付加価値を生むための展開を進めています。(立ち上げ時に協力いただいた業務委託やインターンの皆さんも本当にありがとうございます!)
このプロダクトの成長の軌跡は、ただの成果物ではなく、いかに新規事業を形にしていくかの良い事例になったのではないでしょうか。
9. おわりに
この新規事業の成功を支えた秘訣は、以下の5点に集約されます。
① 柔軟なピボット
初期の失敗を学びに変え、ターゲットや課題解決の方向性を見直した柔軟性が、事業を成功へ導きました。
② プロセスの型化と効率化
コンテンツ制作の分業や型化を進めることで、短期間で質と量を両立する仕組みを作り上げました。
③ 課題感への執着と持続性
ユーザーの課題を解決するという本質に立ち返る姿勢と、長期的な視野で継続的に改善を進める粘り強さがありました。
④ 継続的に成果を示す
新規事業は金食い虫になりがちで、成果が見えないと簡単に終了してしまいます。可能性を示し続けることで、火種を消すことなく、大きく成長させることができました。
⑤ 大通りを見定める
スケールするためには奥の細道ではなく、大通りで事業を作ることが重要です。大通りを見つけることができたおかげで、事業成長に繋げることができました。
新規事業の立ち上げには、明確な成功パターンがないため、多くの場合、試行錯誤を繰り返すことになります。しかし、重要なのはその過程で得た学びを活かし、方向性を明確化し、結果を出すための仕組みを作ることです。
ユビー病気のQ&Aは600万MAUという規模に成長したプロダクトですが、これは決してゴールではありません。また、生成AIの登場により、ユーザーの検索行動も加速度的に変わっていく可能性もあるので、今のままで良いということは決してなく、世の中の流れに合わせてプロダクトの在り方もアップデートし続ける必要があるでしょう。
今後もさらに課題を深掘りし、医療や患者さんにとって価値あるソリューションを提供し続けていきます。この成功体験が、新規事業に挑む人たちにとって、少しでも参考になれば幸いです。
今年の取り組みや今後の展望など、こちらの記事もお読みいただけるとより理解が深まると思いますので、ぜひ合わせてご覧ください。
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