小学校の習字は、問題解決になりうるのか。
教師は、ちょっとのんびりできる時間?
子どもは、書きたいだけ書くだけの時間?
教師も子どもも一息つく時間になっているのではないでしょうか。
そこで、あえて「習字は問題解決の時間だ」と言いたいのです。
私も若いころは、水書板に手本を書いて、個別に声をかけ、子どもが満足するまでかかせてあげるのが習字の時間だと思っていました。
子どもはさらさらと何枚も書き続け、時間が来たときには、それらしい完成のものを出して終了となっていました。ただ、自分の感覚でうまく書けたと思われる作品を提出しているだけでした。
では、どうすれば問題解決の授業になりうるのでしょうか。
私はこのように考えます。
①まずは、お手本を見て、その時間の字のポイントになるところを確認。
②それから、1枚目を書いてみる
③ペアで見合って、良いところとアドバイスをそれぞれ3つ以上話し合う
④これを何度か繰り返す
このときに必要なことは、半紙は5枚だけだと制限をかけること。なので、5枚ともすべてが本番になります。よって、1枚目から名前まで書いていきます。一度も失敗できないとの思いから、必然的に丁寧に書くことにつながります。「きれいに書きなさい」という投げかけは必要なくなります。そして、すべてが大事な作品になるのです。「先生失敗した~」と言われても、「丁寧にかいた5枚のうちの1枚なのだから、素晴らしい作品だよ」と言ってあげられます。
さて、1枚目を書いてみると、最初からうまく書けるわけがありません。それが、子どもの課題と直結していきます。
「お手本と比べるとどこがうまくいかなかったのか」「このバランスがいまひとつだった」「はねるところがだめだった」などと、自分の課題をいくつも見つけることができます。
さらにペアで見合うことで、よりその課題がクリアになっていきます。また、良かったところも言い合うので、2枚目への意欲とつながります。
2枚目、3枚目、4枚目とペアを変えていくことで、クラスの様々な友達とかかわることができ、その良さにたくさん触れることができます。同じ年齢の友達のよいものを見ることがが自分の刺激になります。いくらテレビに映るお手本を見ても、それはプロが書いたもので、なんのリアリティもない。けれど、目の前の友達の文字は、そこの存在するもので、生で見ることができる。だからこそ、「こう書けばよいのか」「自分もこう書きたい」という気持ちにつながっていくだと思います。
枚数を重ねるうちに、どんどん課題が見つかり、その都度課題を解決しようと取り組むことができる。
短時間で課題解決をできる習字の時間をもっと大切にしてほしいなと思っています。