子どもらしさって何だろう?
人によって、答えは様々でしょう。
子どもらしさを大切にしたい。
子どもらしくいてほしい。
子どもらしく成長してほしい。
そもそも子どもらしさって何を指すのか。
私の中でも未だ答えが出ないのです。
もしかしたら、ずーっと答えのないものかもしれません。
これを見つけたいから、教師を続けているのかもしれません。
この「子どもらしさ」を考えるきっかけの一つに、絵本作家・かこさとしさんが、NHKのプロフェッショナルの中でおっしゃっていた
『子どもさんをあなどるな』
という言葉が何だか心にひっかかりました。
『だるまちゃん』シリーズや『からすのパンやさん』『どろぼうがっこう』、科学絵本など数多くの作品を残されました。
この言葉を聞いたとき、「子ども」ではなく「こどもさん」というところに、かこさとしさんの人柄や温かみを感じつつも、子どもに対して一人の人間として同等に敬意を払っているように感じられ、私自身、はっとさせられました。
次に挙げる言葉は、かこさとしさんの自叙伝『未来のだるまちゃんへ』という本の中の一節です。
子ども時代に「自分にはプチ善もあれば、プチ悪もあるけれど、どっちに行こう」って迷いながら悩みながら育っていくことが大切で、そういう中で、「これはいかん」という局面をなんとか乗り越えながら、一人前の大人、一人前の社会人になっていく。
子どもは、生きるエネルギーを日々、空費したり、乱費したり、浪費したりしながら成長していく。あまりにもとりとめなく、行き当たりばったりで、まったく非効率に見えるかもしれない。
はじめは考えなしにやったっていい。しくじることもあるだろう。だけど、しまったと思ったら、次は考えろ。自分でよく考えて、自分をちょっとずつ変えていけばいい。そうして、失敗を乗り越えてゆけるのが人間で、君もその一員なんだよ。
日常生活や学習場面において、子どもはいろいろなことを考えなしにやってしまうこともあるでしょう、しくじることも、間違うことも、迷うこともあるでしょう。
そんなとき教師は、丁寧に一つ一つ指示して教えてしまいたくなるのかもしれません。
けれど、そんな気持ちをぐっとこらえて、子ども自身が自分でよく考え、よく悩み、自分をちょっとずつ変えていこうと思えるような、そんなかかわりこそが学校や大人に必要なのではないでしょうか。
目の前にいる一人一人の“子どもらしさ”を真っ直ぐに見つめ、エネルギーに溢れた子どもたちと一緒に成長できる教師でありなさいと、かこさとしさんから教えられた気がしました。