[無料]登山をはじめたら本を読みましょう
登山で大事なのはなにか?体力?技術?根性?どれも大事ですが、最も重要なのは知識、情報です。知識があれば無用なリスクを避けられますし、体力が少ないのなら少ないなりのコースを選べます。
体力も知識もないのに難しい山や長いコースを選んで、天気など条件が悪いのに突っ込んでしまうから遭難するのです。
なんてことない様に見える登山道でも、知識の有無で見えるリスクが違います。知らないということは、見えないということです。
知識を得る方法はいろいろありますが、最も効率よく信頼性の高い情報を得られる媒体は、本です。信頼できる出版社が出版した本をたくさん読みましょう。
なぜ本を読むのが大事なのか?
登山は、無知でやっていい遊びではありません。
いいですか?あなたが観光の延長気分で高尾山や富士山に登ったとしても、一歩山に入ったらもうそれは登山です。あなたの気分や意識に関わらず、山はあなたを「登山者」として平等に扱います。知識や装備を持っていなくても大目に見てはくれません。山は誰にも平等で無慈悲です。
標高が低い山なら遭難しないと思ってませんか?そんな事ありません。3,000m峰と1,000m以下の低山ではリスクの種類が違うだけです。低い山でも危険な箇所はあり、かなり険しい300m峰なんてザラにあります(千葉の山は低いけど意外と険しい)。北アルプスでも、里の低山でも急斜面から10m落ちれば死ぬリスクがあります。
里山や低山は登山をしない人や初心者からは甘く見られがちですが、意外なほどに遭難が多いのです。下記の記事を読んでください。
無知で登山をやっていればいずれ事故が起こります。なぜならリスクが見えてないから。山を舐める舐めない以前に、山を知らずに入っている人がいます。例えば普段着で1,500m峰に登っちゃうとか、午後から登山を開始するとか、5月の山に雪は無いと思ってる人とか。そういう人は山を舐めてるのではなく、そもそもなんも知らないのです。自分がやっていることが登山だと思ってないんですね。散歩や観光、ピクニック程度の認識です。
軽い事故なら勉強になりますが、初見の事故で死んでしまうこともあります。死んだら失敗から学ぶことも出来ません。
かくいう私も、登山初心者の頃は登山について勘違いしていた事がありました。幸い大きな怪我もせず登山を続けてこられましたが、運が悪ければ初見の罠で怪我をしたり死んでいた可能性もあります。
知識があれば事故を未然に防げるかも知れません。だから登山初心者の方が死なない様に、私のおすすめ登山本を紹介します。本なら比較的安価に正しい情報を得ることが出来ます。
全部読めとは言いません。興味があるものを手に取ってみてください。
まずは山と渓谷を1年間購読しましょう
山と渓谷社の回し者ではありませんが、いくつかある登山雑誌の中で内容が信用出来て読みやすいのは山と渓谷だと思います。バランスが良い。
1年間読めばだいたい特集が一巡します。春山、日本アルプス、岩稜、読図や気象、ロープワーク、テント泊、単独行、秋山、冬山などが定番です。
隅々まで1年間読んだら、以降は気になる特集の号だけ買えばよいでしょう。私も毎号は買っていません。
ヤマケイ登山学校シリーズは良いぞ
また山と渓谷社の本になってしまいますが、ヤマケイ登山学校シリーズは秀逸です。写真や図解が多く読みやすいし、実は内容がけっこう高度です。
登山初心者の方は、まず『登山入門』と『山のリスクマネジメント』を購入して、頭から全部読んでください。安全に登山をするための情報が詰まっています。
これを、3年に1回くらい読み返すと、おそらく読むたびに理解の仕方が変わると思います。是非買って何度も読んでください。
『フリークライミング』や『雪山登山』など、より高度な内容の本もあります。長年やっている人も知識をアップデートするために読むと良いでしょう。内容は、どれもとても良いです。
こちらの『登山ボディ』も良い本です。単に「登山のために体力をつける」と言っても、どのようにトレーニングしたらいいのか分からなければ鍛えるのは難しい。間違った方法では体力が付かないだけでなく身体を壊してしまいます。正しい理論と方法で、登山のための体力作りをしましょう。
入門書をいろいろ読みましょう
登山の入門書は上記ヤマケイ登山学校シリーズ以外にもいろいろ出版されています。一冊読んで終わりという訳にはいかないので、様々な本を読むことが大事です。
歩き方を学ぶならコチラ。膝が痛くなってしまう人や下りが苦手な人は特に読んでください。
上の本を書いた野中ガイドの2冊目。『バテない』にフォーカスした一冊です。歩き方から始まって装備、正しい装備の使い方、山で快適に過ごす(体力を回復させる)ためのノウハウ、登山のためのトレーニングなどについて、非常に上手く言語化されています。登山初心者からリーダーまで全登山者におすすめします。
漫画ですが、『山を渡る』は登山を始めた大学生が徐々に成長していく姿を描いており、入門書としても役立ちます。漫画自体もとても面白い。
読図も大事
読図も漫画から入るととっつきやすいです。
スマホのアプリを使いながら読図を学ぶ本も出ています。
私、この本で紹介されているジオグラフィカというアプリの開発者です。
ドキュメント遭難シリーズも読んでください
遭難しないためには、遭難についてよく知ることが大事です。そこで読むべきなのは『ドキュメント遭難シリーズ』です。遭難した当事者から聞き取り調査をして、各遭難について詳しくまとめられたシリーズで、多くは羽根田治さんの著作です。
全部読みましたが、どの遭難も他人ごとではなく、自分にも起こり得ることと考えてください。自分ならどうするか?どうしたら遭難せずに済んだのか?を考えながら読むことが大事です。
遭難を防止するための知識として、『ガチで考える山岳遭難の防止』も是非読んでください。こちらの本も実践的な内容となっており、登山道で気を付ける場所や行動の注意点などを学べます。500円は安すぎる!
他人の失敗から学ぶという点で、こちらのヤマケイ新書もおすすめ。ドキュメント遭難シリーズほど深刻な失敗ではない、けど山に登っているとありがちな失敗例と対策がまとめられています。登山初心者から、人を連れて山に行くような人も読んでください。
大全シリーズも最高ですがボリュームがすごい
更に深い知識を求めるのなら、『大全シリーズ』。読図ナヴィゲーションと山岳気象の2冊が出ています。両方持ってますが読み応えありますよ。
正直、全部は読んでません😅。摘まみ読みでも相当勉強になります。
国立登山研究所の「新・高みへのステップ」が優良図書すぎる
メールアドレスを登録すると、国立登山研究所が作った教科書を無料で読めます。コスパ良すぎ!PDFでもダウンロード出来るので、紙で読みたい方はダウンロードして両面印刷(または小冊子印刷)して自家製本して読みましょう。
第1部は基本で、大事なことが一通り書かれてる感じ。第2部は登山の歴史や地学、動植物、天文学、気象など。第3部は第1部の基本編から先に進んだ詳細な内容。まず第1部を読むといいんじゃないかと思います。第2部も面白い!第3部はとても勉強になります。すげぇ。
ちょっとボリュームがありすぎますが、是非お読みください。
登山文学の金字塔
ベタすぎますか?ガストン・レビュファの星と嵐です。
伝説的ガイド、ガストン・レビュファがヨーロッパアルプスでの登攀や友情について綴った名著です。私は実用書ばかり読んできて、登山文学は数冊しか読んでないのですが、この星と嵐には痺れました。是非。
まとめ
山と渓谷を1年間購読しましょう。
ヤマケイ登山学校シリーズは良いぞ。
ドキュメント遭難シリーズは片っ端から読みましょう。
大全シリーズも良いけど、まずは上記の本を読んでから。
国立登山研究所の「新・高みへのステップ」が凄すぎる。
登山に関する知識は本を読むと効率よく入手できます。私のnoteでもいろいろ書いていますが、効率がいいのは本です😅。本を読みましょう。
で、本が効率は良いと言っても実地で登山を習うことも必要です。山岳団体の講習やガイドさんによる講習、山岳会への参加なども検討してみてください。独学では超えられない壁を超えるには、どうしたって人から習う必要があります。その先には、今まで見えてなかった山の姿が待っていますよ…。
わぁい、サポート、あかりサポートだい好きー。