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何故カウンセリングを受けるのか

カウンセリングとは何でしょうか。
と、カウンセラー自身が言うのもおかしく思われるかもしれませんが。
こちら側が提供できるものと、ご相談者側が感じるメリットは微妙に違うと思っています。

病院のように薬や注射があるわけでもない、医療保険が使える場も限られていて、1回で1万円近くかかる場合もある。
それでも、カウンセリングには特有のメリットがあります。


メリット① カウンセリングを受けるまでの過程

ほとんどの人は、何か辛いことがあったり悩みがある時は、まずは自分の中で解決しようとします。
過去の経験を思い出したり、好きなことで気分を紛らわせたり不快な感情を軽減したり。
それでも消えないときは、家族や友人など周囲にいる人に愚痴をこぼしたり相談したりしますね。
問題解決に役立ちそうな本を読んだりするかもしれません。

色んな方法を試して、上手く行ったり失敗したり、長続きしなくて落ち込んだりする過程は中々にしんどいです。頑張っているけど思うような成果が出ない。ダイエットなどと同じです。

思いつく限りの対処法や解決法を自分なりに試しつくして、それでも気になって苦しくなる問題を根本解決しよう!と決意したとき、候補に挙がるのがカウンセリングです。

そこまで右往左往した過程に、大きな意味と成長があります。
悩み始めた当初のことはほとんど思い出せないかもしれませんが、比較できるとしたら、その時には知らなかった知識が増え、出来なかったことが出来るようになり、新しい相談相手が出来ているはずです。

メリット② カウンセリングを受ける決断

一人ではもう限界だ、と悟ってカウンセリングを受けようと決断すること自体も、すでにセラピーの一環です。
カウンセラーを探し、選び、予約して当日を迎える心の準備をするステップの中で、それまで自分の中だけに抱え込んできた悩み急速に具体化していきます。

一人で悩んでいるだけなら、理論的に整理する必要はありません。触れれば苦しいですからあえて見ないようにしている部分もあるでしょう。
しかしカウンセリングを受けるなら、ある程度は具体的に説明できるようにしておく必要があります。

予約日が近づくにつれて、無意識のうちに棚卸が始まります。
恐らく「カウンセリングを受けるぞ」と決意する以前よりも、解決への方向性が見えてきているのではないでしょうか。

メリット③ カウンセラーに話すことで起きる心の変化

カウンセラーは、当たり前ですが「人」です。相談者に共感し受容する立場とはいえ、カウンセラーにも人格があります。
別の人格を持つ人間に対して自分の胸の内を吐き出す行為そのものが、大きな安心感と解放感を生みます。

そこは当然ながらカウンセラーが責任をもつ場面です。
一番は「心理的安全性」を確保し、それを言葉で説明するだけでなく相談者自身が感じ取れるようにしなければいけません。
心が安全ではないかもしれない場所で、悩みなんて相談出来ません。どこかで嘘をついてしまいます。それは嘘をついて自分を防御する相談者が悪いのではありません。そうせざるを得ないような雰囲気や話し方、配慮をしてしまったカウンセラー側の責任です。

人間対人間ですから、必ずしも100%安心感を得てもらえるか、という保証はないでしょう。
それでも可能な範囲で配慮しようとしている姿勢は伝わるはずです。

相談に来た方は、「この人(カウンセラー)になら話せる」と思えた時点で悩みを打ち明けてください。
それが出来たら、相談者の悩みは相談者一人だけで対処しなければいけないものではなくなります。
カウンセラーが相談者と同じように一緒になって取り組み始めます。

メリット④ 話すことで起きるカタルシス

カタルシスとは「精神の浄化作用」のことです。
悩みを抱えたとしても、それをそのまま外へ表現することは難しいです。
周囲への影響もあれば、自分への影響、恥ずかしさなども関わってきます。
そうして抑え込まれ続けた思考や感情が、カウンセリングの場で表現することが出来ます。
それによって解放感が得られ、心が浄化されます。

更に、カウンセラーに気持ちを理解してもらい問題解決方法を一緒に考えてもらうためには、どんなことが起きて何を感じて自分がどう行動したか、を言葉で説明する必要があります。
ここで、それまで行ってこなかった「言語化」がおきます。
言語化することで、不安定で不明瞭だった自分の思考や感情が形を取り始めます。
カウンセリング予約を取ったところから始まっていた棚卸の効果が発揮されるのです。

そして話し終わり、カウンセラーの反応自分の中に取り込むことで、また新しい思考や感情が生まれます。

このやり取りが、長らく蓋をし続けてきた悩みを解決へ導くのです。

≪まとめ≫カウンセラーは「杖」

一人で思いついて出来ることはやりつくした、でも駄目だった、スッキリしない、というときに出てくる選択肢がカウンセリングです。

であれば、カウンセラーの役割は、相談者が一人では歩いていけない道のりを、歩けるようになるまで添えられる「杖」のような存在ではないでしょうか。
不要になれば手放せばいいし、後でまた必要になれば出してくればいい。

家族や友人とカウンセラーの違いは、

  • 実生活上では利害関係が無い完全な第三者であること

  • 秘密厳守が職業倫理になっていること

  • 専門的な知識やスキルで相談者に寄り添うこと

です。
変な言い方ですが、いつでも切り離せるからこそ、大事な悩みを打ち明けられるのです。

カウンセリングはいつか卒業することが目的です。
そして学校の怖い先生のように、叱ったり命令したり押し付けたりはしません。
辛い時に支えになる杖だと思ってもらえると幸いです。


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