プラス思考で行こう!解決志向の実践ガイド
プラス思考になろう、と強引に意思の力で変えようとしてもなかなか上手くいきません。
そもそもプラス思考って何?って思いませんか?
プラス思考とは、具体的な行動へつながる思考と前向きなモチベーションを意図的に喚起できることです。
今回は「解決志向」をベースに、困難な状況でプラス思考に転換する方法をご案内します。
1.プラス思考への手がかりになる「解決志向」
①解決志向とは
ソリューション・フォーカスト・アプローチとも呼びます。ソリューションとは「解決」や、解決するための「方法」という意味です。
大抵何か問題が起きれば、「なぜそうなったのか」と問題に焦点をあてます。しかし解決志向とは、問題よりも「現状を良くするには何が出来るか?」という視点で取り組みます。
おおざっぱに分類すると、「なぜそうなったか」の原因に焦点をあてるのは過去と向き合う姿勢、「現状を良くするために何が出来るか?」を考えるのは未来へ目を向けた姿勢です。
②上手くいっているやり方は変えない
「現状を良くするには何が出来るか?」を考えるとき、まずやることは「今の状態でも上手くいっているやり方は何か?」を確認することです。
現状を改善しようとするとき、何もかも見直しと称して変えてしまうことがあります。しかしせっかく上手くいっていることまで変える必要があるでしょうか。
他の理由、例えば関係者がいなくなるとか道具を使えなくなるとか、そうした外的な要素によって「変えざるを得ない」場合は別として、今上手くいっているやり方は変えないようにしましょう。
③躓いたり違和感があるやり方はやめる
プラス思考で現状を良くする方法の2つ目は「上手く回ってないやり方はやめる」です。
職場にしろ家庭にしろ、場合によっては自分個人のやり方でも「ずっとこれでやって来たから」という理由だけで継続しているルールや習慣は少なくありません。
今まではそのやり方で上手く回って来たから続けてきたのかもしれませんが、状況が変化したり自分が変化・成長したことでそのやり方が合わなくなり、以前のような効果が出なかったり、場合によっては悪影響をもたらすこともあり得ます。
「最近上手くいかないな」という状況やタスクがあれば、そのやり方はやめて別のやり方に変更しましょう。
④改善の内容は何でもOK
解決志向においての「改善」は非常にシンプルです。何でもいいから変える、です。
今までのやり方が逆効果なら止めましょう、とお話しました。では止めた代わりに何をしたらいいか、何を変えたらいいか。
そこで深く考えすぎると次に進めません。また別の悩みが生まれるだけです。
変える内容は何でもいいです。
例えば「毎週月曜日にやっている定例ミーティングで、いいアイデアが出ない。どうしたらいいだろう」と悩んでいるなら、火曜日に変更しましょう。それで一定期間やってみて、以前月曜日にやっていた時同様に良いアイデアが出ないなら、また時間帯や実施日を変更しましょう。またはミーティングする場所を変更するのもいいと思います。
どんな小さなことでも、一見関係なさそうな内容でもいい、とにかく何か変えてみることが大事です。
2.プラス思考をキープするための3視点
①振り返りと再現性
プラス思考とは「これから何をすればいいだろう」と未来へ向けての行動を考え続けることが出来る姿勢です。
何かに取り組んでいる間は集中力が高まって自分でもやりがいを感じることが出来ます。ただ、頑張るほどいつかその取り組みは完了します。その次にどうすればいいか、が分からないと、せっかく高まった集中力もそこで終わってしまいます。
プラス思考で取り組めている状態をキープするために、定期的に振り返りを行いましょう。
振り返り、というと「ダメ出し」と思う方がいますが違います。もちろん不足や修正点に気づく効果もありますが、想定通り出来ていること・効果を出せていることもあります。それをさらにブラッシュアップすることで、モチベーションをキープ出来ます。
この「想定通り出来ている・効果を出せている」ことを他のケースや方法に応用していくことを「再現性」といいます。
振り返りをして、出来ているパターンに気づいて、それを他に応用することで、「これから何をすればいいだろうか」のヒントになります。
②リフレーミング
私のコラムでも度々登場するリフレーミングですが、プラス思考のためには非常に有効です。
リフレーミングとは「捉え直し」です。今までダメだと思っていたことを違う視点から再検証することで違う意味や価値を見出すことが出来ます。
リフレーミングを説明するときよく使われる例え話に「コップに1/3水が入っている状態」をどう捉えるか、というものがあります。
✅1/3しか残っていない
✅1/3は残っている
どちらが良いか、ということですが、後者が良い考えで前者の捉え方がダメ、ということではありません。同じ事実でも2つの見方がある、という点に気づくことがリフレーミングです。
当初は想定しなかった状況になった場合、すぐに「良い悪い」を判断するのではなく、色んな視点から検証してみましょう。勿論無理に良い点を見出す必要はありません。一つの事実が色んな意味を持つことに気づけると、次何をしたらいいか、を考えるときに思考が柔軟になります。
③バタフライエフェクト
バタフライエフェクトとは、とても小さな現象が巡り巡って大きな影響力を持つことです。蝶の羽ばたきがいつか嵐を呼び起こす、という例えです。
この考え方は、解決志向の「上手くいっていない時は何か一つ変える」というアプローチに活用できます。
何かを変える、と考えると、誰の目から見ても「おお!」と思えるくらい大きく変更しなければ、と考えるかもしれません。それが職場だと尚更です。
しかし大きく変えるのは効果が期待できる反面反動も大きいです。反動への対処をしてから、と考えるとすぐに取り組むことが出来ません。実際に行動出来るまでの間の時間がもったいないし、そこまで準備したところで想定通りに効果があるとは限りません。
嵐のような大きな影響を期待していても、初手は小さな変化でOKです。
朝起きて会社へ行くのが辛い時。女性なら口紅の色を変えてみるだけでもいいでしょう。乗る電車の車両を変えるというのもいいですね。
すぐ出来る小さな変化の繰り返しが、いつか大きな変化に繋がります。
3.プラス思考を生み出す行動ルール 3選
①リソース(資源)を探す
プラス思考に切り替えられないとき、思考を占めているのは「マイナス思考」ですね。
あれが出来なかった、こうすれば良かった、もっと○○を準備しておけばよかった、自分には無理なのだ、などなど。
それも反省点の一つではありますが、事実の全てではありません。
具体的な行動を生み続けるプラス思考へつなげるためには、自分が出来たこと、出来ること、持っているもの・スキルも蔑ろにせず評価する必要があります。
冷静に振り返ればマイナス面ばかりではありません。ちゃんと出来ていたことがあります。
そして出来ていたことは、今後も活用できる資源(リソース)です。
②例外を見つける
真面目な人ほど自分の不足や失敗を重視します。
出来るだけミスを減らそう、失敗しないようにしよう、と考えすぎて、数回ミスが続いただけで「自分はいつもミスをする、同じ失敗をする」と、自分をネガティブに決めつけてしまいます。
この「いつも」が怖いです。多分いつもではないのに、事実ではなく印象で「自分はいつも・常に・どう頑張ってもミスをする」と思い込んでしまうのです。
しかしこれも落ち着いて振り返りをしてみましょう。
多少状況の違いはあっても、いつも・常に・絶対ミスをしているでしょうか。多分違います。上手くいっている時もあるのです。
この「上手くいっている時」が「例外」です。
例外を探す意味は、そこに自分の成功パターンが隠れている可能性があるからです。
上手くいったときはいつ・どこで・誰と・何を・どんな必要性から実施したときでしょうか。
そこで自分の成功パターンに気づけると、モチベーションを維持することが出来ます。
③ミラクル・クエスチョン
これはソリューション・フォーカスト・アプローチの用語です。言葉の通り「奇跡の質問」です。
この悩み・問題さえなければあれもこれも出来るのに……、と考えているとしたら、問題や悩み事は自分の行動や思考を限定してしまっている、といえます。
その枷が無くなった状態を想像し、その時やりたいこと、出来ることを具体的に想像します。
例えば『明日朝起きたら夫が普通に会社に出勤した』とします。
ではあなたはどうするでしょうか。自分も普段通り出勤します。1日仕事をして家に帰り、夫と夕食を取って夜になれば眠るでしょう。
今とあまり変わらないですよね。「この悩み・問題さえなければ」と思っていますが、今も同じことが出来ているのです。
枷だと思っていることは、実は枷でも何でもないことに気づくことが出来ます。
4.プラス思考のキモは「意図的行動」
①自分が想定・選択・決定する
状況に対してプラス思考になるためには、そこに自分の意思が働いていることを実感する必要があります。
何か良い結果を迎えることが出来たとしても、それが「○○さんがいてくれたから」とか「天気が良かったから」のように自分以外の要素を勝因としてしまうと、次に自分の力で同じ結果を生み出すことは出来ません。
先ほどお話した「再現性」を高めるためには、自分が結果を想定し、それに沿って選択・決定する必要があります。
②想定通りの結果は成功体験
何かに取り組むときは、やり方や道具を揃えます。関係者に声かけをすることもあるでしょう。そのためには「これがあれば上手くいく」という、自分なりの想定が出来ているはずです。
自分が成功への筋道を立てて、その通り実行し、そして想定通りの結果が得られれば、それが成功体験です。
成功するためには、自分が「こうすれば上手くいく」と想定することが前提条件です。他の人の言いなりでは先ほどと同様「たまたまだ」と考えてしまい、自分の力で再現することは出来ません。
③自分なりの根拠を持って想定する
成功するための想定をするためには、何かしらの根拠が必要です。その根拠も「自分なりの根拠」である必要があります。
「どちらにしようかな 天の神様の 言う通り」で決めて成功しても、一瞬は嬉しいかもしれませんがプラス思考の持続には役立ちません。
「前回はこうしたから失敗した。だから今回は○○を変えてやってみれば成功するだろう」のように、自分なりの考えをベースに想定を立てましょう。
5.今日から出来るプラス思考対策 3選
①今まで頑張り続けた自分を200%褒める
未来へ向かって行動し続けるためには、自分の努力を正当に評価することが大事です。
すぐにできることは「自分で自分を褒める」ことです。
これが出来ていない人が非常に多いです。
日本は謙虚さが美徳です。時代は変わってもやはりどこかでそれは残っています。
他者に対して自分を控えめに評価するのはいいでしょう。
でも自分の心の中でまで控えめになる必要はありません。
✅すごく頑張った!よくやった!
✅大変だったけどやり遂げた!すごいね!
✅本当にお疲れ様! これだけ頑張ったんだから今日は休もう
親友や家族が何かを達成したときを想定して、200%褒めて労わりましょう。
②取り組むタスクは具体的×小規模
再現性や成功体験を実感するためには、短いスパンでモチベーションが持続している間に完了出来るタスクが有効です。
1年後に控えた難関の資格試験だけを目指すよりも、今週中に1回以上誰かから「ありがとう」と感謝されるほうがプラス思考には効果があったりします。
そして具体的に「今日何をすればいいか」のToDoへ落とし込むことも大事です。自分が行動出来ることによってプラス思考は継続できます。
③自分のモチベーションが上がるフレーズを使う
「自分を200%褒める」とも繋がります。
自分が「これからも頑張ろう」と思えるためのフレーズを普段から用意しておいて、自分に対して使いましょう。
✅自分のペースで進んで大丈夫
✅何事も最初の一歩から始まる
✅毎日少しずつ成長している
✅未来は自分の手の中にある
✅前向きなエネルギーが周りにも伝わる
人によってどんな言葉がプラス思考に効果があるのか異なります。
映画やドラマ、アニメ、小説のセリフや、普段人から言われて元気になれた言葉などからメモしておきましょう。
6.解決志向の反対は「原因探し」
①原因と結果は必ずしも関連しない
問題が起きた時にやりがちな「原因追及」ですが、あまりお勧めできません。
後から考える「原因探し」は必ずしも問題と直結して居るとは限りません。ネガティブな結果に関係がありそうな要素を洗い出しているだけです。たまたま思いついた「原因」を次回取り除いたとしても、それが次の「成功」に繋がるとは限りません。
②原因探しは終わらない
原因探しはやり始めるときりがありません。ずっと続きます。
原因探しをして、それに対処することで「今後の対策」にしよう、と考えると、終わらない原因探しでどんどん日が過ぎてしまい、いつまで経っても「今後の対策」を考えることが出来ません。
もしやるなら、期限を決めて取り組みましょう。
③原因探しは犯人捜しになる
原因を探し続けると、どこかで「○○さんが…」と人に帰結するようになってしまいます。つまり原因ではなく「誰が悪いのか」という犯人捜しになってしまうのです。
犯人は第三者とは限りません。というより多くは自分を犯人にしてしまい、自信を失い自己嫌悪を高めるだけで少しもメリットがありません。
原因を探すなら、
✅期限を決める
✅人に結び付けない
✅状況が好転してから取り組む
ようにしましょう。
7.まとめ
プラス思考とは、悪いことやネガティブな気分を見て見ぬふりをして「から元気を振りまく」ことではありません。
現状を冷静に多角的な目線で受け入れて、「未来のために自分が今すぐ出来ることは何か」を具体化して考えられるようになることです。
気持ちだけで自分を無理やり上向かせようとしても後から反動が来ます。行動力に助けてもらいましょう。