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仕切り直しで交通整理しよう

仕切り直しとは、一旦中断して、時間を取って再度執り行うこと。
イメージしやすいのは相撲ですよね。
両者離れて、再度立ち合いからやり直す。
ヒートアップしていた場が一気にクールダウンして、もう一度やり直す。

ただ時間を置けばいい、と言うわけでもないでしょう。
仕切り直しで時間を空けている間、その時間をどう使うか、で、再試行後の結果も変わってきます。


1.思考を柔らかくする

仕切り直しを必要とする場面とは、何らかの想定外の要素や事態によって続行できなくなった、ということです。
予定の変更が必要になるため、他の方面にも影響が出ます。
自然と、気持ちは厳しい方向へ向かっていくでしょう。

  • もっと〇〇しておけばよかった

  • あの時〇〇に決めれば…

  • 相手が〇〇を譲歩してくれたら

反省材料としては有効ですが、気持ちが自罰的になる思考が硬直化し、結局再度同じことを繰り返してしまいかねません。

仕切り直す目的を思い出し、「〇〇がダメだった」よりも「〇〇を△△にしてみたらどうだろうか?」のような、前向きな連想ゲームをして発想を広げましょう。

2.仕切り直しを提案する勇気

事態が進まなくなると、色んなプランを追加しがちです。
やらないよりやったほうがいいのはその通りなのですが、やみくもに手を広げ過ぎると、収集がつかなくなり、作業量は増え、余計に余裕がなくなってしまいかねません。

上記と真逆の動きともいえる仕切り直し=中断を提案するには、勇気がいるでしょう。
プロジェクトは動き出すとどんどん進んでいくほうへ向かう力が増していきます。
更に、「納期」を考えると、仕切り直しているヒマすら惜しい、と考える人も多いでしょう。

それでも、取り返しがつかなくなるよりは、一旦止めて、開始時の計画通り進めることが正しいのかどうか、を見直すほうがむしろ近道になる場合もあります。

口に出さないだけで心の中で仕切り直しや見直しを検討している人もメンバー内にいる可能性もあります。
誰か1人が提案すると、同調してくれる人もいます。
誰もいないなら、それはそれで意見を引っ込めればいいだけです。
その時は受け容れられなくても、「仕切り直す」という選択肢がある、ということは、メンバーの脳内に記録されるはずです。

3.無理に変える必要はない

せっかく仕切り直しの時間を取ったのだから、と、「勿体ない精神」で何か新しいことをしなければ、と思うかもしれませんが、それも必要ないと思います。
むしろ、そうした考えこそが不要なのではないでしょうか。
仕切り直しを行ったのは、新しい何かを考えるため、ではなく、混乱した状況から一旦離れて冷静になって見つめ直すためです。
渦中にいると分からないものはたくさんあります。そこから離れて、何が問題だったのか、何が不要で何が必要なのか、に気づくための時間です。

夢中で突き進む中で、当初の目的を忘れていることもあるでしょう。
当初の方法や計画、スタンス、役割、作業内容は、続ける中で変更していっていいものです。
しかし、目的は、余程のことがない限り変更してはいけないし、ましてや忘れていいものでもありません。
目的を変更するなら、それこそすべてを見直す、進行中の計画は中止すべきです。

目的を果たすために必要かどうか、が、新しい何かを取り入れるための基準です。「もったいないから」で取り入れるものではありません。

4.仕切り直しの手順

まずは一度、全て止めてその状況から離れましょう。

関取が土俵から降りるイメージです。
降りて、呼吸を整えてから、土俵全体、相手、周囲、自分自身を見渡します。
もしかしたら最初の取り組みで身体のどこかを痛めたかもしれない。
相手はイライラしているだろうか、自分はもう一度取り組む体力は残っているだろうか。
次は立ち合い直後にどうすればいいだろうか。
離れて、呼吸と思考を通常モードに戻すことで、見えてくるものがあるはずです。

次は、仕切り直し後のイメージトレーニングです。

仕切り直しは、1回しか出来ないわけではありません。
時間的な余裕など状況にもよりますが、何度してもいいはずです。
しかし「これがラストチャンスだ」と決めつけてしまっていないでしょうか。
「後がない」状況は、余程精神的にタフだったり経験をたくさん積んでいる熟練者以外は、プレッシャーと足枷にしかなりません。
仕切り直し=ラストチャンスではなく、試行2回目、というだけです。
しかもまったくのゼロ地点だった前回よりは少しは進んでいるし、具体性が増しているはずです。
より未来をイメージしやすくなっていることでしょう。

ここまでを自分の中で行ったら、次はメンバーとの共有です。

同じ計画に取り組んでいたとしても、人それぞれ問題意識も今後の展望も違います。
それぞれが違うことを考えている、ということを知っておきましょう。
すり合わせが出来れば尚良しですが、「違う」ことを知らないで再開することが一番危険です。
そして、違う、ということは、それぞれ独自の視点を持っている、ということ。
360度カメラで物事を見ているようなものです。
むしろそのほうがもしもの時心強いですよね。


仕事視点で書いておりますが、同じことが家族の中でも言えるでしょう。
家族とは、生活そのものです。
仕事は〇時~〇時、土日休、のような区切りがありますが、生活にはありません。
だからこそ尚更仕切り直しは難しく、そして時に有効です。

何か違う、上手く行っていない気がする、という時は、一旦全てを止めて仕切り直ししましょう。
それはサボりでも逃げでもありません。
より良く変えていくための手段の一つなのです。


うつケアライフカウンセラー 惠然庵
うつケアライフカウンセラー 惠然庵

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