夫婦の情緒交流
夫婦って不思議な関係だとつくづく思います。
いつも一緒にいて、法的・対外的には一心同体と見做されている。
でも元々は全くの他人で、当然考えていることも性格も違います。
その他人同士が夫婦という独特な関係性を築いて維持し続けるために、情緒交流が重要な役割を果たします。
1.情緒とは
情緒とは、『折に触れて怒る様々な思い』です。
異国情緒、みたいに使うことが多いですが、「らしさ」を感じて「いいな」「これだ」と感じることでしょうか。
情緒を交流する、なら、自分が感じた情緒を誰かに伝えること、といえます。
夫婦間なら、妻に、夫に。
何に対しての情緒でしょうか。子ども、ペット、TVやニュース、昼間起きた出来事への思いなどなら、会話する機会があれば交わせるかもしれません。
2.お互いへの情緒
しかし、情緒の対象本人に伝える、としたら、どうでしょうか。
情緒、というのは、全てがプラスな内容とは限りません。
悲しい、寂しい、腹立たしい、理解しがたい、のようなネガティブな要素を含んでいることもあるでしょう。
相手(夫・妻)に対してそうした要素を含んだ情緒を伝えるのは簡単ではないことは明白です。
上述したように情緒は「思い」です。感情、意見、見解、と言うほど確固としたものではありません。何となく感じて心が動かされた事象ですから、ふんわりとしています。
3.言う必要、ある?
何となく思った・感じた程度のことを相手にわざわざ言う必要があるのだろうか?
と考えて口をつぐんでしまう、一人で飲み込んでしまう。
または前に同じようなことを話して反応がなかった、興味なさげだったから言わない、というケースもあるでしょう。
一番身近な夫・妻に言わない代わりに、SNSで短文や写真で自己表現する人もいるかもしれません。
「言う必要」を考えてしまう時点で、夫婦の情緒交流が生まれず、代わりに遠慮が生まれている、とも言えます。
4.コミュニケーション不全の予防
しかし、情緒のレベルを超えて、もっと強く確固とした考えを伝えなければいけない時があります。
相手にも一緒に考えてもらわなきゃいけない、何か意見が欲しい、一緒に行動してもらわなきゃいけないような問題です。
日常的なお互いへの情緒の交流が乏しいままだと、重要な問題を持ちかけるときにより一層億劫さと壁を感じてしまわないでしょうか。
言う必要はあるけど言いづらい。そうこうしているうちに気を逸して手遅れになりかけたり、遅くなってから切り出したり、相手が聞ける状態じゃない時に強行したり。
そして本当のコミュニケーション不全が起きてしまうのです。
5.情緒交流は心理的安全性の素
また、夫婦は、ずっといつも一緒にいる近さや気安さが裏目に出て、「分かってくれなきゃおかしい」「そんな反応するなんて間違ってる」「○○(妻/夫)らしくない」のように、伝える前に強すぎる思い込みで相手の反応を予想してしまう傾向も否定できません。
一方の思い込みによって反応をおしつければ、交流は失敗し、場合によっては関係性にまで影響してしまいます。
情緒交流とは何ぞや、という定義はとても難しいです。
しいて言えばふとした時に感じたことを、感じたまま相手に伝える、そして相手からの発信を受け取る、それに対して反射的な拒絶以外の反応を返すこと、ではないでしょうか。
その積み重ねが相手を理解し自分を理解してもらうことにつながります。
大事な局面において躊躇せず必要なコミュニケーションを図るために重要な「心理的安全性」を構築するための土台となるのが、夫婦にとっては「情緒の交流」ではないでしょうか。
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