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うつ病家族の知恵袋

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家族がうつ病になると、思いがけない出来事や悩みと次々に直面します。 そんな時どうやって取り組むか、立ち向かうのか、あえて逃げるのか。 経験者+カウンセラー+精神保健福祉士がアドバ…
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記事一覧

家族が精神疾患になったら…あなたが最初にすべき3つのこと

家族の様子がいつもと違う……そんな変化に気づいたとき、どう対応すればいいのか戸惑う方は多いでしょう。 「もしかして精神疾患?」と思っても、焦って間違った行動をとると、本人の負担が増し、関係性が悪化することもあります。 本記事では、家族の異変に気づいたときの最初の対応として「観察すべきポイント」「避けるべきNG行動」「正しい最初の一歩」について解説します。 家族の健康を守るためには、正しい知識を持ち、適切な対応を心がけることが重要です。 いざというときに慌てないよう、まずはこ

ラポールがもたらす安心感:信頼関係を深める具体的アプローチ

1.ラポール構築方法―信頼と理解を深めるための実践的アプローチ①ラポールとは何か? ラポールとはフランスが元になっている用語で、「信頼関係」という意味です。 心理学やコミュニケーションの分野では、特に「お互いが心を開き、安心して本音で話し合える関係」を指します。 この状態が成立すると、相手との距離が縮まり、自然なコミュニケーションが促されます。 ラポールとは、以下のような要素が含まれます。 信頼感:お互いが相手を信頼し、安心してやり取りできる。 共感:相手の感情や立

≪全てのケアラーへ≫支える人が支えられる世界へ

1.ケアラーとは:支える人の重要な役割①ケアラーが果たす役割とその価値 ケアラー、つまり「病気や障害を持った家族を同居してケアする人」の役割とは何だと思われますか? 生活上のケア、療養の手伝いなどが代表的ですね。 これだけなら普通の家族とあまり変わらないかもしれません。 特別な病気ではなくても、家族が体調を崩せば看病をしますから。 私が考えるケアラー、特に心の病になった家族をケアするケアラーの役割とは、本人と一緒にいることだと思います。 文字通り、一緒にいること、一

一貫性がもたらす安心感—うつ病患者を支える家族の心得

1.はじめに:うつ病の家族との関わりで悩んでいませんか?①家族としてサポートしたい気持ちと難しさ 病気になった家族を支えたい、元気になって欲しい、という気持ちがある反面、ケア生活が長引くとそれによる疲労がストレス化してケア側のメンタルを圧迫します。 ストレスは余裕を食いつぶします。些細なことで昨日は良しとしていたことが「無理」と感じたりします。 家族同士は本来親しく距離が近いため、感情をストレートに表現しやすいです。 それはネガティブな感情であっても同じです。 つい、で

日常でできるポジティブフィードバックで家族を支える方法

フィードバックとは、簡単に言うと「反応」です。 そして反応も色々です。前向き・同調的だったり、ネガティブだったり、反対意見だったり、無反応という「反応」もあるでしょう。 家族関係も、ポジティブなフィードバックの割合が多いことが関係良化には効果があります。 ポジティブなフィードバックの効果、そしてすぐ取り入れられるやり方について考察します。 1.ポジティブなフィードバックとは?①ポジティブなフィードバックとは 相手が行った行動・態度・発言などに対して前向きな反応をすることで

昼夜逆転から抜け出すための小さな習慣と家族の工夫

精神疾患を抱えると、生活リズムが崩れやすくなります。 その中でも特に多い悩みが「昼夜逆転」。夜眠れず、昼間に寝てしまうサイクルが続くと、体調や気力の回復が進まず、社会復帰が遠のいてしまいます。 しかし、この状況は決して本人の怠惰が原因ではありません。 この記事では、昼夜逆転が起きる理由と、生活リズムを改善するための具体的な方法、そして家族がどのようにサポートすれば良いのかについて解説します。 少しずつできることから始めて、回復への道を一緒に歩んでいきましょう。 1.なぜ昼夜

共倒れを避けるサポートのコツ -家族を守り、自分も守る-

家族やパートナーがうつ病を患っている場合、支える側には大きな負担がかかります。 相手への思いやりから自然とサポートに徹することが多いですが、無理を重ねることで「共倒れ」のリスクが増してしまいます。 相手の苦しみに寄り添い、日々を共に乗り越えたいと感じる一方で、支える側も自分の健康を守ることが大切です。 特に情緒的・経済的な負担や、過度な共感による疲弊、そして責任感からくる自己犠牲が積み重なると、気づかないうちに心身ともに追い詰められてしまうことがあります。 本コラムでは、支

うつ病患者の希死念慮とどう向き合うか

うつ病の症状が悪化すると、無力感や絶望感が強まり、希死念慮が浮上することがあります。うつ病と希死念慮、場合によっては自殺企図は切っても切り離せません。 そして家族から「死にたい」「いなくなりたい」「消えたい」と言われた側のショックとストレスは半端ないです。 うつ病の何が怖いか、というと、自ら命を手放してしまう危険が非常に高いことです。 たいていの病気は「治ろう」というモチベーションが患者側にあります。しかしうつ病の人は生きることそのものへの意欲がごっそり抜け落ちているので、

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【11月zoomセミナー】うつ家族との円満なコミュニケーション術 5選

zoomセミナー 概要テーマ:自分も我慢しない! うつ病家族との円滑なコミュニケーションを学ぼう 形態:オンライン(zoom) 人数:1名/1回 時間:60分 当日は顔出しでお願いします(不可の場合は事前にご相談ください) 「なんて話しかけたらいいか分からない…」家族がうつ病などの精神疾患になったとき、 一緒に生活する人がまず悩んでしまうのがコミュニケーションです。 そっとしておいてあげてください、と言われても、 生活を共にする上では一切声をかけないわけにはいき

うつ病と共に歩む:離婚という選択肢をどう考えるか

うつ病(その他精神疾患)の当事者の方にとってはドキッとするテーマかもしれません。 ただ、家族側には常に心のどこかにある選択肢です。 離婚するからダメ、離婚しないからダメ。 または離婚するエライ、離婚しないからエライ。 どれも違います。 家族によって色んな選択肢があるということです。 今日は私の「うつ病ケアと離婚」についての考えをお話したいと思います。 読む方によってはご不快になられる可能性があるので、以下は有料とさせていただきます。

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うつ病ケアと無力感:自己効力感を育てるヒント

日常の中で感じる無力感。 特に、うつ病患者をケアする家族にとって、目に見えた変化がない療養生活は、忍耐を試されるものです。 家族として精一杯支えていても、目に見えない病気であるうつ病は、回復が実感しにくいもの。 毎日の変わらない生活の中で「何をしても状況が変わらないのでは」と感じる無力感が押し寄せてきます。 この無力感が蓄積すると、ケアへのモチベーションが下がり、家庭内の些細な問題が深刻に感じられるようになるのです。 この無力感への対抗策として「自己効力感」の強化をご提案し

家族の信頼と挑戦:精神疾患と向き合うときの強さと脆さ

家族の誰かが精神疾患を抱えることは、ただの病気以上に家族全体に影響を及ぼします。 日々の生活における理解不足や、社会的な偏見に直面することが、家族にとっての大きな挑戦です。 精神疾患は目に見えないため、家族でさえその特性や症状を理解するのは簡単ではありません。 しかし、家族が病気を理解しようと努力し、信頼関係を築き直すことで、共に困難を乗り越える力が生まれます。 このプロセスについて解説します。 1.家族は挑戦して強くなる自分の家族の誰かが精神疾患になった。 これはただ「

心のすれ違いを超えて:家族間の対立を乗り越える

家族間で「こうしたい」がぶつかることは少なくありません。 特にその問題に病気や障害が関わってくると、問題は複雑化します。 更にうつ病など精神疾患の場合、目に見えないために行き違いも起こりやすくなります。 ただ、一緒に生活していれば、複雑でも見えなくても向き合わざるを得ないのが辛いところです。 うつ病の家族との間で求めるものが違ったとき、どう対処したらいいか、を考えます。 1.病気本人と家族(ケアラー)の立場の違い①目的がずれる 病気の症状で辛い体験をしているのは本人です

ケアラーに最も必要なものは○○です

◆家族は病気を治せない悩みや問題が起きたとき、自分や家族を支えながらも、ポジティブに未来と向き合うことは難しいものです。 家族がうつ病などの精神疾患にかかった場合、ケアラーは孤独と負担に苦しみ、自己成長を目指すことが重要です。 しかし、家族が直接病気を治すことはできず、支えるしかありません。 その中で、自己成長を通じて家族を理解し、支えることが求められます。 この経験が、結果的に家族と自分自身を支える力となるのです。 ◆メンタルケアラーとは家族がすべきことは、治療ではな