国債の保有者
発行された国債は、誰が持っているのでしょうか。正しい事実を理解しましょう。
主要国債保有者の変遷
下図は、2009年末時点の日本国債保有者内訳です。
ここで注目してほしいのは、民間銀行と日本銀行それぞれの保有率です。
民間銀行(青色):37.0%
日本銀行(黄色):7.8%
2009年末時点では、まだ民間銀行が最も多く国債を持っており、次いで生命損害保険会社、社会保障基金でした。
2024年末時点では、内訳は以下です。
民間銀行等の預金取扱機関(水色):8.6%
日本銀行(白色):53.8%
最大保有者は日本銀行、次いで保険・年金基金、民間銀行等の預金取扱機関、と変わっています。
2009年末から2024年末の間に、民間銀行(預金取扱機関)の保有率は4割から1割に激減し、日銀が半分以上を持つようになりました。これは一体どういうことでしょうか。なぜ日銀は、国債を大量に保有するようになったのでしょうか?
日本銀行による国債買い占め
それは、アベノミクスで日銀が打ち出した「異次元の金融緩和」によるものです。
金融緩和とは、金利を引き下げることです。日銀は、金利をゼロにまで引き下げることを目標としました。金利を引き下げるため、日銀は国債を大量に買い取る必要があります。銀行が保有している国債を、日銀が高めの値段=低利回りで買うことで、金利が下がるのです。銀行からすると、高い値段で買ってくれるのでお得です。
日銀は国債を買い取る際に、日銀当座預金を発行します。つまり自ら貨幣を発行し、国債と交換するのです。以下がその証拠です。
マネタリーベースとは、以下の3種類の貨幣(お金)のことです。
日本銀行券(=現金紙幣、橙色)/日銀発行
貨幣*(=500円玉等の硬貨、赤色)/政府発行
日銀当座預金(青色)/日銀発行
*注)日銀は、銀行券を紙幣、硬貨(コイン)を貨幣と呼びます。
異次元の金融緩和を発動した2013年3月以降、日銀は国債を買いあさり、日銀当座預金がこれほど増えたのです。最初の7年間で約400兆円、その後コロナ禍の経済対策等でさらに約150兆円増えました。
いずれまた触れますが、次のポイントだけはおさえておいてください。
国債の半分以上は、日本銀行が買い占めた
一点、補足します。法律により、日銀は政府から直接国債(新発債)を買うことはできません。しかし、民間銀行等が購入したもの(既発債)を買うことは禁止されていません。だから日銀も国債を保有できているのです。