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晋山式と五重相伝

宗務庁から表彰状が送られてきた。住職就任30周年の表彰状だ。早いもので、住職になって30年が過ぎていた。30年前の晋山式しんざんしき、そして半年後の五重相伝ごじゅうそうでんのことを思い出した。

晋山式では、新命住職が山門を入り、本堂で就任の儀式を行う。檀家の人たちや組内寺院に新しい住職をお披露目するのだ。早朝には花火が上がり、稚児行列と共に山門に向かう。

本堂での法要が終われば、書院式へと進む。組内の重鎮が新命住職を上座に迎え、晴れて住職就任となる。

それから半年、十分とはいいがたい準備期間を終え、五重相伝を開筵した。浄土宗の奥義を伝える五重相伝は5日間に及ぶが、受者のほとんどが5日間休まずに参加してくれた。初めての経験で、大変充実した時間を過ごした。

思えばあれから30年。あっという間に過ぎてしまった。何をしてきたかといわれれば、明確にこれといえるものは思い浮かばないが、時代の変化が加速度的に速くなり、これまで通りにできることより、変えていくことの方が多かった気がする。

久しぶりに寺を訪れると、その変貌ぶりに驚く人も多い。毎日見ている身にはあまり気づかない変化も、久しぶりだと驚くほどの変化に見えるらしい。

思えば、浄土宗も850年の歴史の中には、大きな変化が何度もあったことだろう。そうして今も生き続けているのだ。慶運寺も未来のために変化を続けていかなければならない。


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