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見守り当番活動

朝の通学時見守り当番が回って来ました。
一週間、黄色い腕章をつけて通学路に立ちます。
娘の学校は徒歩3分。
地域班毎の活動なので、自ずと学校に近い場所に立つことになるのですが、指定された場所は校門の目の前、路地から幹線道路に出る曲がり角で、幹線道路を渡る歩道橋まで安全に登校できるよう目を配る仕事でした。


さて、我が家では問題が発生しました。

娘は一切親の世話にはならん!と、絶賛一人暮らし実施中でしたから。

幸い、強行突破の一人暮らしを改め、両親とシェアハウスをすると言うスタイルに落ち着いていたので、各々に支度した夕食のテーブルを囲みながら、相談があると持ちかけました。


ツムギ、相談があるんだけど、意見を聞かせてもらえる?明日からの見守り当番、私は、親の役目もやってくれるな!とツムギに言われているのに、これだけはやるって何でだろう?って思うんだけど、どう思う?

「親なんだから、やるに決まってるじゃん!」

ん?
ツムギは私たちが親として言っていることを何で聞かなきゃいけないんだって言っているんだよね?
そりゃあ、普通のお家だったらやるのは当たり前だと思うけど、今この家は状況が違うよね?
これをやらないことで、学校のみんなに迷惑がかかるのは嫌だけど、私は学校のみんなより、ツムギとの約束を優先したいな。どうしたらいいと思う?

「迷惑かかるのが嫌ならやればいいじゃん!」

ん?
私が決めることなのかな?
ツムギがいるから、このお仕事があるんだよ?
私たちはツムギの保護者で、学校からはこの見守り当番だけじゃなくて、規則正しい生活をさせてください。とか、栄養バランスを考えた食事を用意してください。とか、保護者としていろいろなことをお願いされているの。ツムギが、寝る時間なんて何時だって勝手じゃん!とか、何で嫌いな物も食べなきゃいけないんだよ!とか、それが嫌で一人で生きられる!って言うなら、これも自分で解決して欲しいなぁ。
私たちは、こう言うことが起きるから、最初からツムギが一人で生きるなんて無理だと思っていたよ。
それでもツムギがやる!って言うから、その気持ちを尊重しているの。
見守り当番をやらなくて、学校から怒られたら、娘の挑戦を見守っています。って説明するわ。
そうしたらきっと、この親にツムギは任せられないって言って、児童相談所の人にツムギと引き離されてしまうかもね。
どうしたらいいと思う?

「見守り当番、やってください!」

一人暮らしはやめるの?

「うん、やめる」

私たちが言いたいことわかった?

「なんとなく」

うん、なんとなくでいいよ。
私だってうまく説明できていないし。

私たちは最初から、そんなこと言うなら勝手に生きていけ!なんて、思っていないんだから。
ちゃんと保護者として、ツムギを守ってあげたいと思っているんだから。


こうして、親と子のシェアハウス生活は計画通り、一瞬で終焉を迎えたのでした。


なんとなくしかわからなかった娘は、今朝もベッドから出るのにてこずらせ、登校終了時刻の30分前に家を出る私を貞子のごとく、パジャマのまま(正確には、昨晩着替えずに寝たサッカー練習着のまま)、部屋から頭だけ覗かせて見送ってくれました。

間もなく見守りの時間が終わろうとする頃、娘がランドセルを背負ってこちらに向かって来ました。家から曲がり角までの間に歩道橋があるので、ツムギからも私が見えます。
私は大きく手を振りました。
歩道橋を昇る前も、道路の反対側を歩いているときも。

娘が正門に入ったのはキッカリ8:20。教室に入って朝の会の準備を始めることになっている時刻。路地を振り返ると、もう小学生はひとりも歩いていませんでした。

おーい、ツムギ、遅刻回数もダントツじゃないかー。(本人曰く、朝の会には間に合っているらしいので、4年時の遅刻は1回だけでしたけれど)


それにしても、朝からたくさんの小学生(と、隣り合わせの校舎に通う中学生)と挨拶を交わしながら見送ることの清々しいこと。
私は経験できなかったけれど、黄色い帽子とランドセルカバーをした新入生を心配そうに付き添うお父さんお母さんにも出会え、いい時期に見守り当番が回って来たなぁと嬉しく思ったり。

昨日はあんなやり取りだったので、ツムギの見守り当番のために私は仕事を調整しなくちゃいけないのよ?なんて恩着せがましい言い方をしてしまったけれど、ツムギがいなければやらなくていい仕事ではなく、ツムギがいたから経験させてもらえた仕事だよ。って、ありがとうって、言おう。

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