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写真講師になってから、初めて生徒が卒業した日

2020年の11月から、とある通信制高校で写真の授業を始めました。
そして本日の授業をもって、最初の生徒が卒業していきました。

僕にとっても大事な節目なため、下記の項目で今までを振り返りたいと思います。

- 先生になるまで -

きっかけは、以前働いていた会社でお世話になっていた上司からの紹介。
勿論、学生相手に指導をした事などありません。
更に生徒さんは、会話が得意ではない子が多いだろうとの話でした。

そもそも1フォトグラファーとして独り立ちもできていない僕が何故選ばれたのか。他のカメラマンが携わった方が、学生さんも知識を理解しやすいのではないか。と、先生になる自信は全くありませんでした。

ですが、僕だからこそな点が1つあったのです。

昔いじめなどを通じて会話する事が嫌になり通信制高校に転校、その後写真によって人を接する事が好きになった過去がある事です。

そうなのです。昔引きこもっていた時期がありました。
ですが勇気を出して自分の思いを写真に落とし込んだ結果、気付いたら人と会話ができるようになっていました。

自分自身が写真という表現方法によって、自己開示をし、他者とコミュニケーションを行う楽しさを理解していったように。
生徒さんが勇気を出して自分の言葉で表現できるようになるために寄り添っていきたい

そのように決意した日から、僕は講師になりました。

- 共にして学んだこと -

生徒と接する内に、「自分に不足しているが大事である」と気付いた事がありました。

それは「信頼して待つこと」です。

最初は、こちらが投げかけた質問に対して静かなままの生徒を見て、ちゃんと考えてるのか思考放棄しているのか分からず、解答を早く提示してしまっていました。

次第にその指導方法に自信が持てなくなった僕は、同じアート系である美術の先生がどのように生徒とコミュニケーションをとっているが探る事に。

すると彼は、生徒さんが黙ったままなの質問に対して考えていると信頼して、ペースを合わせてじっと待っていたのです。

この時、なんて自分本位な指導をしてしまったのだろうと反省しました。
自分の考えを写真を通して他者に伝えるようになるための授業にも関わらず、先生がそれを阻害してしまっていたのです。

そのため僕も、信頼して待つを実行してみました。
すると自信がないのか小さい声ではありましたが、自分の意見を伝えてくれるようになったのです。

この学びをきっかけに、生徒さんとの心の距離が縮まる事ができました。

- 活動内容と最後の授業 -

僕の授業の理念は「写真を通して自らの考えを言語化し、他の人に伝えられるようになる事」です。

そのため、最初の1年間で主に下記2点の活動を行いました。

【同じ授業を受ける仲間や僕に伝える】
・フィールドワーク→写真講評&技術指導
【知っている人に伝える】
・ミニフォトブック制作→担任の先生に作品を伝える

そして2021年の夏に、最後の授業で行う内容が決まりました。
それは、「オンライン写真展の実施」です。

フィールドワークからミニフォトブックと徐々にステップアップしてきた授業の集大成として、知らない人に自分の言葉と写真で伝える事にチャレンジしました。

そこからはひたすら撮影→セレクト→言語化を繰り返しました。
時が経つにつれ、生徒自身の作品に対する考えが変化していくのを肌で感じながら、隣で見守ってきました。

作品制作の様子。本当に素敵な思い出です。

作品ができた後も、どのような形式でオンライン写真展を行うのか、どういった内容のトークセッションを行うかなどをアイデアを出し、本番へ向けて共に走っていきました。

先週には卒業式もあり、1,2年生が3年生のハレの姿を撮影したりもしました。(生徒の代表挨拶にて写真の授業にも触れてて涙でました)

そして今日の13時、オンライン写真展を行いました。
学校の先生やご家族以外にも、生徒さんが知らない人もいる中、作品を伝え、質疑応答にも真摯に答える姿に胸が熱くなりました。

素敵な写真展が終了した後、3年生とはこれで最後か…としんみりしていると、生徒さんが一言。
「卒業してもまた遊びにくるので、さよならを言うのはやめときますね」

という事なので、これからも続くこの関係を大事にしていこうと思います。

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