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【オケ再生の話 4年目】 新しい指揮者と充実したトレーナー陣
(3年目からの続き)
オーケストラの再生に向けて、物ごとを決めて実行できるように、規約改正を実施。新たな規約に基づき、私も運営委員長に選出された。
1 それまでの状況
それまでも指揮は、プロの指揮者の先生を依頼していた。
しかし、あまりに低い参加率、そして楽譜をさらわないまま合奏へ参加するなど、それまでのオーケストラの状況が酷かったこともあり、指揮者の先生のモチベーションも低く、練習のドタキャンなどが続いた。そして私たちのオーケストラとの関係を清算したいと考えておられていることがヒシヒシと感じられていた。
指揮者の先生からオーケストラが見捨てられた形だったが、新体制になったところで、新しい指揮者の先生を探すこととした。
2 拾う神あり
そこでトレーナーに付いてもらっていた先生にも相談を持ちかけた。どなたか酷い状態のオケでも、振って頂ける方はいないかと。
すると、金管トレーナーを依頼していた若手の先生からお話が。
「自分のライフワークとして、アマチュアオーケストラに関わりたいと考えています。そのため、もしオケの方が了承してくれれば、指揮者を引き受けます!」
その先生は、プロオーケストラのプレイヤー。所属していたプロオケを、仮にイニシャルで表すと………N響だな。
3 トレーナー陣
その先生からは、さらに素晴らしい提案が。なんとトレーナー陣を、N響から連れてきてくれるというのである。
東京には、様々な特徴を持つ数多くのアマチュアオーケストラがあり、空席のないクラリネットなんかを除けば、アマチュア奏者には多くの選択肢がある。その中から、自分たちのオーケストラを選んでもらえるかどうか、団員を増やせるかどうか、というのが、オーケストラを盛り上げるポイントのひとつとなる。
現状、オーケストラはまだまだ酷い状態だが、N響の方に棒を振って頂き、かつN響の方々にトレーナーに付いて頂けるとなると、それはこれまでにない魅力となり、オケ再生に向けた取り組みが加速するのは間違いない。
ただし………と指揮者に立候補してくれた先生は続ける。
「練習で欠けるパートがないこと。練習をやむを得ずお休みするときは、練習エキストラの手配も視野に、必ず代吹きを準備すること」
それまで、本番前になるまで、歯抜けの状態でしか練習ができていなかったオーケストラには、なかなか厳しい条件である。
これについてオーケストラ側で議論を重ねた結果、代吹きに関する条件に対応することとして、指揮をお願いすることになった。
これら議論をして、決めて、実行するにあたり、改正した規約が、とても効果的に働いていたことは言うまでもない。
こうして、日本でもまれに見る、N響所属の指揮者と、N響所属のトレーナー陣を中心としたアマチュアオーケストラが生まれることになった。
4 新体制での4年目
新体制で迎えた4年目のシーズンは、新たに指揮者に就任してくれた先生からの希望で、メインはシベリウスの交響曲第1番に。
クラリネットのSoloから始まるこの曲。またしても他のメンバーから荷が重いという話があり、私がメイントップを吹くことに。
私自身は、メイントップや美味しいSoloがある曲は、基本的に等しくチャンスを分かち合うべきだと考えている方なんだけど、この時期は転勤やら結婚やらで団員の出入りが多かったことに加え、2ndを吹く方が好みという団員が複数いたことの合わせ技で、結果的に私がメイントップを吹かせてもらうことが多かった。
そして、今回の演奏会でも、一際、大きな拍手を頂くことができて、4年目のシーズンは大成功のうちに終了となった。
(5年目へと続く)