【練習録音の話 第2報】レコーダーについて
オーケストラや吹奏楽団での、練習の録音に関する話です。
オーディオの世界も(値段的にも)上が見えない世界であることが知られていると思うけど、それは録音の世界も同じ様子。財布の紐を緩めると、いくらでもお金が出て行く世界。
そのような中で、練習録音を始めようとする際は、自制心を持って(w)、必要十分なラインを見極めることはとても大事だと思います。
今回は、これから練習録音を始めようとする方向けに、レコーダーについて、私なりに必要となる機能を考えて、必要十分なラインを見極めて、該当する機種を紹介できればと思います。
なお、録音に関して、私は録音のプロでもなく、また専門的な教育を受けた訳でもないので、もし、間違った解釈をしているところとか、なにかお気付きの点があったら、遠慮なくご指摘下さい(^-^
また技術や機材などは、この記事を書いている2024年8月現在の情報となっています。
1. レコーダーへの要求仕様
1.1 レコーダーの種類
レコーダーは歴史的にも様々な種類があります。私もカセットテープに始まり、MDにDATと色々と使って来ました。で、今、気軽に練習録音を始めるとしたら、リニアPCMレコーダーを選択するということについては、多くの人の同意が得られると思います。
リニアPCMレコーダーというのは、音を圧縮することなく、いわゆる.wav形式で、SDカードや内蔵メモリなどに記録してくれるレコーダーのこと。
録音したあとは、簡単にデータをパソコンにコピーすることができ、編集も容易にできます。
このリニアPCMレコーダーには、主に大きさや機能の違いで、以下のような種類があります。
ポータブル・レコーダー/ハンディ・レコーダー
手持ちでの使用が考えられた、マイクが搭載された小型のリニアPCMレコーダー。比較的安価で、一番お手軽。フィールド・レコーダー
屋外で肩からかけて使用することが考えられた少し大きめのリニアPCMレコーダー。マイクは別に準備する必要があり、少しコストはかかる。(据え置き式の)マルチトラック・レコーダー
ホールやステージなどで据え置きしての使用するリニアPCMレコーダー。上記2つよりは高価なものが多く、こちらもマイクは別に準備する必要があり、コストがかかる。
屋内で録音するという練習録音のシチュエーションを考えると、(据え置き式の)マルチトラック・レコーダーが適していそうてすが、ここは必要十分なラインを見極め、セッティングの手間と財布との相談(大切)で、現在、私はポータブル・レコーダーを使っています。
リニアPCMレコーダーの他にも、DAW(デジタル・オーディオ・ワークステーション)と呼ばれる、直接、パソコンに音を記録する方法もありますが、セッティングや撤収の手間や、荷物の量を考え、現在はこの手段は選択していません。
1.2 32bitフロート録音
32bitフロート録音機能は、今まさに各社から次々と対応機種が出つつある最新の機能となります。
一般的に、録音をするときは、録音開始前(=練習開始前)に、オーケストラや吹奏楽団に大きな音を出してもらい、録音レベル(録音をする音量)をセッティングする必要があります。
この録音レベルのセッティングをしないと、大きな音が割れて録音されてしまったり、あとで調整が難しいレベルでとても小さく録音されてしまったりします。
このようなトラブルを防げるのが、一部のリニアPCMレコーダーが備えている32bitフロート録音という機能です。
万が一、録音レベルのセッティングが適切でなく、通常だと割れて録音されてしまうケースでも、32bitフロート録音機能があれば、大音量側が補完されて、通常通りの音を得ることができます。
私は、普段の練習では、楽団に音を出してもらい録音レベルを合わせることはせず、録音レベルをこれまでの練習録音に基づき固定として、あとは32bitフロート録音機能を活用することにしています。これで気合いの入った打楽器のffもバッチリ(^-^)
1.3 Bluetooth対応
マイクのセッティングについては、また後日、述べますが、ポータブルレコーダーをマイクスタンドで上げた場合、手が届かなくなりポータブルレコーダーの操作ができなくなります(^^;)
またもしフィールドレコーダーを使用していたとしても、手の届く範囲にフィールドレコーダーを設置してないと、練習中に自分の席から録音を開始したり止めたりすることができません。
そんなときに便利なのが、Bluetooth対応機能です。
Bluetoothで繋げたスマホやタブレットから操作可能になる上に、録音レベルの確認も可能。録音開始と停止の操作の他、練習の合間合間に、正常に動作していることを確認しています。こうすることで安心感が違います(^-^)
1.4 バッテリー対応
練習場所によっては、容易に電源を確保できない場合も。そういうときに、バッテリー駆動に対応したリニアPCMレコーダーだと安心です。
ポータブル・レコーダー/ハンディ・レコーダーや、フィールドレコーダーはバッテリー対応となっていますが、一部の(据え置き式の)マルチトラック・レコーダーもバッテリー対応のものがあります。
2. これらの要求仕様を満たすレコーダーの例
上記の要求仕様を満たすレコーダーのうち、比較的安価で導入しやすいポータブルレコーダー/ハンディレコーダーを紹介したいと思います。
2.1 TASCAM Portacapture X8、X6
いち早く32bitフロート録音機能を搭載したリニアPCMポータブルレコーダーです。
X8の方が上位機種となり画面が大きく操作性に優れる他、X8の方がサンプリング周波数の最大値が大きく、また外部マイク入力端子であるXLR/TRS コンボジャックが、X8で4つ、X6は2つと異なります。
なお、現在、私が使っているのは、TASCAM Portacapture X6となります。X6を選択した背景は………。
私がリニアPCMポータブルレコーダーを購入したのは、昨年のこと。現在、所属している楽団に、入団したときになります。まず当時、32bitフロート録音に対応しているポータブルレコーダーは、TASCAMのこの2機種しかありませんでした。
一方、私が入った楽団は、元々、練習を録音する文化がなく、録音すること自体が受け入れられるかどうかもわからない状態でした。その結果………日和って安い方のTASCAM Portacapture X6を購入したのでした(^^;)
使い始めて1年が経ちましたが、機能面、音質面で不満はなく、使い勝手も良く、満足して使っています(^-^)
2.2 ZOOM H1essential、H4essential、H6essential
TASCAMに続いて、32bitフロート録音に対応したリニアPCMハンディレコーダーです。
これら3機種の差は、主にマイク入力端子の数の差で、H1はステレオミニジャック1つ、H4はXLR/TRS コンボジャックで2つ、H6はXLR/TRS コンボジャックが4つとなります。
マイク入力端子が必要かどうかは、外部マイクを使うかどうかによります。ポータブルレコーダー/ハンディレコーダーのみでも録音はできますが、将来的に外部マイクを使う可能性があるなら、XLR/TRS コンボジャックを持つものの方が拡張性は高いと言えます。
なお、私が本番の録音録画をしたとき、3点吊りマイクをメインとして音声信号を回してもらい、サブ(予備)でポータブルレコーダー搭載マイクで録音をしたことがあり、その際は、ポータブルレコーダーのXLR/TRS コンボジャックに3点吊りマイクから来ているXLRケーブルを接続した、という使い方をしました。
まぁ、XLR/TRS コンボジャックは、あればあったで安心ということで^^
少しでも興味を持って頂きましたら、スキやコメントを頂けると嬉しいです(^-^)