バロック時代のヴァイオリン奏法における一般
ヴァイオリンの奏法を考える上で、バロック時代(17世紀から18世紀前半)はその開始点にあたる。前提としてヴァイオリンをはじめ楽器の演奏様式というものは最終的に個々の奏者の個性に由来するものであり、ゆえに時代ごとの演奏様式を定義することは非常に困難である。例えば仮に特定の具体的な演奏方法を想定した楽曲が書かれていたところで、それが必ずしも後世の私たちにとって都合よく、その時代の演奏様式を指し示していると考えることはできない。ロマン派・近代のヴァイオリニスト兼作曲家であるパガニー