遠又 圭佑

(株)MIMIGURI Manager / Facilitator 東川町在住

遠又 圭佑

(株)MIMIGURI Manager / Facilitator 東川町在住

最近の記事

軍事的世界観の組織で1on1の必要性を説く

以前、官公庁の人事部門で働く知人から相談を受けたことがあります。その内容は「通常業務が忙しい中で、1on1や対話をなぜ導入する必要があるのか?」という上長の問いかけに対する答え方のアドバイスが欲しいというものでした。 僕は官公庁の現場事情に詳しいわけではありませんが、「何故、1on1や対話が必要なの?」という質問をロジカルに投げかける対話的ではない(?)上司、管理職に対して、彼らのロジックに寄り添いながら、意義を伝えるのは大変さは十分に想像がつきます。 ご相談いただいた官

    • めぐる屋久島めぐる旅とその後

      5月中旬、仲間と屋久島に行ってきたのでその振り返り。 屋久島では、水が大地に染み込み、地下から湧き出し、小さな水の流れが何本も生まれ、いずれ川となり、海に注ぐ。そのめぐりを感じることができる。その一連を辿ろう、というのが旅のテーマ。 僕は水が好きで、大地から湧き出ているところを見つけた時のアガる感じも、川の流れを見て心がすすがれる爽やかな感じも、海を見て、包み込まれるような感じも、原風景にある大切な感覚。 屋久杉の森を歩きながら、水が今まさに大地から滴り落ちる瞬間の美し

      • 東川とワールドカップ

        会社の同僚、ダンが東川の考察(1万字!)を書いてくれました。東川滞在中、居酒屋りしりで、てっぺんを余裕でまわるまで、ひでさんにお付き合いいただいて美味しいお酒を飲みながら過ごした...とは言え、1泊の滞在でここまでの観察おそるべし。 サッカー熱いですね。僕の思い出のワールドカップといえば、2010年の南アフリカ大会。その年に受けた公務員試験に落ち、周りの友達が就職を決める中で、鬱々と過ごしていたタイミングでの大会でした。 友達が「ワールドカップ、家でみんなで見ようぜ!」と

        • デザインの会社がなぜ組織学習を扱うのか?

          MIMIGURIが運営しているオンラインの学びの場CULTIBASE Labで、6/18(土)、組織学習をテーマにした講座を開催しました。会員の方限定にはなりますが、アーカイブ動画も公開されています。 このnoteでは、「組織が学習するってどういうこと?」「研修と何が違うの?」「なんで、MIMIGURI(デザイン会社)が組織学習を扱うの?」という疑問を持たれた方に、講座の背景をお伝えしていきます。 組織が学習するって、どういうこと?「学習」と聞いて、まず最初に思い浮かぶの

          ハイパーコネクティッドな世界で

          社会のサステナビリティに多様な立場で関わる仲間と、毎年恒例の清里合宿に行ってきた。今年はオンラインとオフラインのハイブリッド開催。僕は清里現地で参加だったけど、赤ちゃんをあやしたり、子供の受験の送り迎えをしながらのオンラインでの参加の人もいて。お互いへの暖かい配慮に溢れる素敵な時間だった。振り返りのnoteです。 つながるとは、何か?「もっと目の前の世界と、よく繋がれないだろうか?」 仕事で、プライベートの団欒の場で、いつもこの問いが頭を巡っている。 合宿中、ある人が言

          ハイパーコネクティッドな世界で

          アジャイル型チームと進化思考

          僕の所属しているMIMIGURIでは、以前から組織のアジャイル化を志向しており、その試行錯誤の一部をCULTIBASE RADIOでもご紹介しています。 アジャイルに関して言えば、恥ずかしながら僕も以前は「ミーティングを定期的に行ってその日/その週に取り組む課題とタスクを決めることで、臨機応変なプロジェクト運営を可能にすること」程度に思っていました。その本質を学んでいくと、手法に踊らされていたことを痛感しています。 上記ラジオにて詳しく紹介されているのでお聞きいただけたら

          アジャイル型チームと進化思考

          東川町日記

          昨夜は満月。 最近は晴れの日が多いので、綺麗な月が見えるとことを期待していたが生憎の曇天。陽が沈んでから知り合いと待ち合わせて林の中に入る。 夏の間は下草に覆われ藪になる林も、雪が地面を覆う間は比較的楽に分け入っていくことができるのだ。 一方、雪があれば林に入れるといえば、そういうわけではなく。2月末までは、氷点下二ケタの寒い日が多いためそれどころではなく、少し暖かくなる3月は雪遊びをするチャンス。月明かりが照らす満月の日だと幻想的な風景が広がるそうだ。 春の空気が漂

          東川町日記

          2021年清里合宿

          毎年恒例となった清里合宿。社会の持続可能性に関わる、民間、NPO、行政など多様なフィールドで活躍する仲間と集まり、年始に一年の計を立てる欠かせない場です。 懐かしい顔に囲まれながら、1年間を振り返る。スタートのワークはGちゃん、Kさん、Kとくと。このメンバーの顔を見ると心がじわっと暖かくなる。「去年はどんな一年だった?どうせ忙しく動きか回って活躍してるんでしょ?あれ顔つき変わった?何か優しい顔になったね。みんな本当にお疲れ様!」 今回はなんだろう?ポジティブとは言い難いマ

          2021年清里合宿

          ワークショップを活用した変革プロジェクトを設計する際の3つのポイント

          都市部の緊急事態宣言の1ヶ月目処の延長が発表されました。今は、医療の第一線に立ち続けられる方に感謝しながら、多くの人が「自粛」など間接的に貢献出来ることに向き合っているのではないでしょうか。 一方、生命に関わる社会的な危機を乗り越えたあとは、これからの社会や自組織のあり方を再構築するタイミングが訪れることを、私たちは震災などから学んできました。 やがて訪れる「次のフェーズ」を構想する一つの技術として、私たちが専門としている「ワークショップとファシリテーション」があります。

          ワークショップを活用した変革プロジェクトを設計する際の3つのポイント

          「階層型の組織」「偏差値型の教育」一度は中指を立てたことがある人へ

          答えがない時代と言われて久しい。 多くの人が、その時代の到来を予感させる自由な働き方や創造的な学びの場を喝采し、その対極にある、画一的な価値観だったり、偏差値型の教育だったり、階層型の組織だったり、年功序列だったりに、中指を立てたことがあるのではないだろうか。 けど、本当に僕たちは「答えのない時代」のことを知っていたのだろうか。 ウィルスが収束の気配を見せず、心と頭に霧がかかったような状況が続いている。先が見えない不安の中で、SNSやメディアに溢れる情報に何か自分を導いて

          「階層型の組織」「偏差値型の教育」一度は中指を立てたことがある人へ

          学習設計者という仕事

          ワークショップは学習を生み出す技術の一つと位置付けるられるため、設計する際は「何を学ぶ場なのか」を精緻に考える。「学習」の定義については以前書いたが、 ゼロ学習・・全く試行錯誤がない状態 学習I・・・所定の文脈でのみ正しい条件反射の獲得 学習II・・・条件反射を生み出している文脈の深い理解 学習III・・・現在の文脈を捉え直し、新たに文脈を構築する過程 ワークショップはこれまでのやり方では上手くいかない状況を打破し、組織変革やイノベーションを起こすことを意図することが多く

          学習設計者という仕事

          「あなたは何をファシリテートしていますか?」という問いへの暫定解

          先日、あるクライアントの方々とファシリテーション研修をご一緒した。 ファシリテーションを学ぶ切り口は様々あり課題に応じてカスタマイズして提供している。この研修では「ファシリテーションのノウハウを学ぶのは勿論重要だが、その前提となる『私たちは何をファシリテートしたいのか』という問いを大事にしませんか?」と最初に呼び掛けた。 ともすると、ファシリテーションは、客観的にクールに場をまとめる役割を担う人だと思われがちだ。しかし、ファシリテーター自身が情熱を持って向き合いたい問いが

          「あなたは何をファシリテートしていますか?」という問いへの暫定解

          「北欧の教育は創造的である」を少し科学する

          僕は人並み以上に「学習」という言葉と向き合っているが、ワークショップを通して学習と変化の場に携わる中で「学習とは何か」が分からなくなり、オフィスにある本を読み漁ったり、ボスを捕まえてあれこれ聞いていた。 ある研究者によると、学習は、いくつかの類型に分かれる、という整理がある。 詳しくは割愛するが、「ゼロ学習:全く試行錯誤がない状態」「学習I:所定の文脈でのみ正しい条件反射の獲得」「学習II:条件反射を生み出している文脈の深い理解」「学習III:現在の文脈を捉え直し、新たに

          「北欧の教育は創造的である」を少し科学する

          システムは変えられることを学ぶ

          仲間や奥さんが企画したイベントが土曜日にあり、その様子を翌日、朝食を食べながら家で聞いていた。昨年12月、オランダやデンマークの教育現場の視察に行き、そのメンバーが共同で主宰。ツアーの報告が行われた。サイボウズさんの日本橋のオフィスに集まった参加者は200名にも上り、大盛況だったとのこと。 日曜朝の寝ぼけた頭をコーヒーで覚ましながらの理解だが、イベントの中心には「教育は何のために存在するのか?」という問いがあるようだった。 日本で教育のあり方について語られる時、多く場合は

          システムは変えられることを学ぶ

          努力の遺伝子

          高校時代からの知人と久々に呑みに行った。 カレンダーを見返すと、最後に会ったのが2017年10月。2年ぶり。 彼はローススクールを卒業し司法試験に一発合格、法律事務所で働いたのち、今は中央省庁で法律のバックグラウンドを活かして働いている。そんな彼から嬉しい報告があった。今年の夏からの留学が決まり、おそらくロンドンの大学院に行くとのこと。 高校時代から彼は努力家だった。 僕たちの高校は大学の付属校。大学受験がない代わりに進学先の学部は、高校の定期試験の成績により決まる。

          努力の遺伝子

          2020清里合宿

          恒例の年始の清里合宿。いつもの仲間たちと、昨年度を振り返り、一年の計を立てる。 清里は、その年を占うような風景を見せ、学ばせてくれることがある。その備忘録。 3日目の最終日、個人での内省の時間。 ゆったりと歩きながら、今の現実、ビジョン、ビジョンに向け動き出すことを止める本能の声に耳を傾ける。毎年豊かな気付きをくれる大事な時間。 そのはずだったのだが、今年は勝手が違う。 きっかけは携帯電話の行方不明。気付いたら手元になかった。 致し方なく、自由に使えるこの個人の時

          2020清里合宿