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🔲 雨夜の品定 会議の方法「帚木の巻」2

「帚木」の巻は、二つの話から構成されています。前半は、有名な「雨夜の品定」といわれる女性論、恋愛論。後半は、源氏と受領の北の方(空蝉)との恋物語となっています。

「雨夜の品定」は、説明するまでもなく、長雨に降りこめられて退屈な夜、親友の頭中将・左馬頭・藤式部丞が宮中の源氏の部屋で女性についてあれこれと品定めをするという物語です。することもなく暇な時間を持て余す若い男が集まれば、女性の話になることは自然の流れでしょう。

音頭をとるのは、好奇心旺盛な頭中将。補佐役は左馬頭。聞き手は、源氏と藤式部丞。役割分担も何となくできているようで、話は、深夜にまで及んでいくのでした。

この若い貴公子たちの女性論、勿論、女性にとっては聞くに堪えられないような具体的な話もあるのですが、結論に向かって整然と論理的に協力的に行われています。

現在、日本の国会や党首会談のように論理のすれ違いや、黙り作戦やごはん論法などはありません。まして、話し合い拒否などという論外なこともありません。「記憶にありません。」などという不逞な言葉など発せられる心配は全くないのです。

頭中将が、提案者となり、「欠点のない女を見つけるのはとても難しい」と結論から話を始めるのです。現状・具体例が語られて、「中の品の女性の中から選ぶのがよかろう。」との提案がなされます。

すると即座に源氏から質問が飛び出します。質疑です。「中の品ってどう決めるの?」

即座に、左馬頭が、少し年配の経験者らしく頭中将の中将の提案を補足して「受領の娘で大切に育てられた難のない女こそ恋愛の対象にすべし。」といった解説が付けられます。

そこで源氏がヤジを飛ばします。「経済力のある女がいいのかい?おかしいぞ!!」

左馬頭が、さらに解説を続けてゆきます。頭中将は、うっとりしながら聞き入っています。源氏は余裕のある様子で聞き入っています。藤式部丞も経験談をする羽目になり、学者の娘との滑稽な話をして、笑われてしまいます。

こうして、私的な仲間内の話しではありますが、一つのルールに法ったような見事な話し合いをしているのです。会議の方法をそれぞれが考えているようです。

日本人は、論理的でないといわれていますが、「雨夜の品定」を読んでいると全くそんなことを受け入れることはでなくなります。論理的でないのは、論理的にしたくないという魂胆があったり、話を分かってもらおうという努力をしないかではなかろうかと思われるのです。
紫式部が、2023年の国会議員となったらと想像するとなぜか楽しい気持ちになってしまいます。(ちょっとおふざけですが・・・)


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