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介護保険のつぶやき
8月1日から新LIFEが稼働を開始し、厚生労働省による支援サイトも開設されました。制度が始まって3年が経過し、情報の精度も以前に比べて向上しているように感じられます。
一方で、アウトカムを意識した加算要件が増える中で、 該当しない加算が廃止される可能性も一部で聞かれます。これにより、今後在宅サービス事業者にとっては事業継続のためにアウトカムに関係する加算を取得することが必須であることが予想されます。
財務省の資料によれば、ケアマネジャーの利用者負担の有無については2027年までに結論が出る見込みで、次回の改正には、これに加えて居宅のLIFE活用にも変更が加わる可能性があり、貸与事業者様にも影響が出ることが懸念されています。また、令和7年2月から「介護事業財務情報データベースシステム(仮称)」が導入される予定です。この仕組みにより、介護サービス事業者の質の向上のみならず経営情報の公表が進むことで、公費の使い方が透明化され、働き手にとって理解しやすくなる一方、経営側にはさらに無駄のない運営が求められることが予想されます。
個人的な見解ですが、今後、LIFEやマイナンバー連携による介護情報基盤の整備が進むことで、医療分野同様、根拠に基づく介護が促進されると考えています。
さらに、介護財務情報の公開が進むにつれ、働き手はより良い環境を求め、特定の介護事業者に人材が集中する可能性もあります。 こうした状況に対応し、競争力を維持するためには、ICT機器やシステムの導入に加え、書類の電磁的保存を実現し、迅速かつ効果的な情報共有とデータの利活用ができる仕組みを整備することも重要と考えます。先般、閣議決定された「2024骨太方針」の実施が進む中で、これらの変化に対応できる事業体制を整えるためには、次回の介護保険改正までの期間を戦略的な準備期間と位置づけ、これらの取り組みを進めることが一層求められると思います。
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新LIFEシステムの稼働:
新しいLIFEシステムが令和6年8月1日から本格稼働を開始しました。このシステムは、介護業界における科学的介護の推進を目的としています。
LIFEシステムは、介護関連データの収集・分析を行い、その成果を現場にフィードバックすることで、科学的な裏付けに基づいた介護の実践を促進します。
2. 介護報酬の改定とトリプル改定の準備:
令和6年度の介護報酬改定では、診療報酬、介護報酬、障害福祉サービス等報酬の「トリプル改定」が実施されました。これは2040年を見据えた大変革に向けた準備の一環です。
改定の目標は、健康寿命の延伸、医療・福祉サービスの改革、そして給付と負担の見直しによる社会保障の持続可能性の確保です。
3. 科学的介護の推進:
科学的介護とは、エビデンスに基づいた介護の実践を目指すものであり、介護分野においても医療分野で広く行われている「根拠に基づく医療」を参考にしています。
LIFEシステムを活用することで、介護現場でのPDCAサイクル(計画・実行・評価・改善)を推進し、ケアの質の向上を図ります。
4. 社会保障改革と2040年への展望:
2040年に向けて、高齢者人口の増加と現役世代の減少に対応するため、多様な就労・社会参加の環境整備や健康寿命の延伸、医療・福祉サービスの改革が求められています。
給付と負担の見直しを通じて、社会保障の持続可能性を確保しつつ、持続可能な経済社会の実現を目指しています。
5. 介護業界における改革の重要性:
介護現場では、認知症対応力の強化や医療・地域連携の推進、軽度者改革への対応などが求められており、これらに対応するための準備が重要です。
また、働き方改革やDX(デジタルトランスフォーメーション)による業務改善が推奨されており、これにより職員の業務負担が軽減され、生産性が向上します。