学校は何のためにあるのか?(5)
ご家族が考え方を変える
私が高校で教えていたのは、もう30年近く前のことです。
高校で教えている時に、担当している子どもの小学校時代の先生に、お話をおうかがいしました。
先生は、一人の子どもの将来をしっかりしたものにしたいからこそ、ご家族と連携して、家でも学校でも同じ取り組みをしていきたいと思っていたことをお聞かせくださいました。
しかし、「学校に学びに行かせてるんだから、そのくらいは学校でしてください。」とご家族から言われる状態だとのことでした。
そのことを思い出す出来事が、最近、ありました。
「学校は何をするところなのか?」という問いを強く思う出来事で、正直、ショックを受けました。
大阪府のある市町村の小学校で、保護者に「学校の役割と責任の明確化」という文章が発出されました。
偶然、その文章を拝見したのですが、これを発出しないといけなかった学校の先生方は、本当にご苦労されたのだと思います。
これを読ませていただき、「いくら何でもあんまりだ・・・」と思わず声に出して言ってしまいました。
そのくらい、衝撃的なことばかりでした。
いくら何でも、こんなことは、先生のお仕事ではない!と声を大にして言いたい!
こんなことまで、先生に持ち込まれていたのでは、先生方は本当に何もできません。
この文書を提案する趣旨として、「学校として最も重要な事柄に力を入れていきたい」と書かれていましたが、当然だと思います。
至極、まっとうなことだと、思います。
この文書の中で、学校側があげている「ご家庭からあった要望」というものをいくつかアップしてみます。
番号は私が便宜上つけたものです。
①夜遅くLINEが来るので相手の児童と保護者に注意してほしい
②ゲーム(スマホ)をやり過ぎたり、学校貸与の iPad で遊び過ぎたりすることで、目が悪くなったり、睡眠時間が不足したりことがあり、学校で一律に制限してほしい
③遊びから帰る時間が遅い、遊び方が悪い、コンビニでの買い食いに問題があるので学校で指導してほしい
④自転車に乗るのは○年生からにするなど、学校にルールを決めてほしい
⑤校区外に行かないルールにして、学校で指導してほしい
⑥お箸の使い方、食べる時のマナー、ご飯粒を残さない等の食事に関することを学校で指導してほしい
⑦保護者から「兄弟ゲンカをしているから止めに来てほしい」
⑧ある保護者から、別の保護者とこじれて話ができないから間に入って欲しい
こんなことを、学校の先生に依頼するということ自体が、正直に私にはわかりません。
学校は何をするところと思っているのか、お聞きしてみたいと本気で思ってしまいました。
確かに、これまでのご相談をお受けしてきたことから考えても、どれをとっても、そう言いたくなることがあるかもしれないとは思います。
ご家族だって、困ってしまってどうしたらいいのかわからず、学校の先生におっしゃっているのかもしれません。
しかし、まず、ご家庭でやらなければならない問題であり、困ったときには、学校に依頼するのではなく、どうしたらいいかをご家族が考え、自分達で解決するように行動ことが先だと思います。
そして、お子さんとも、いろいろとお話してみて、自分達で改善を図ることが何より必要だと思います。
これでは、学校で学習などの教育活動ができるとは、到底思えず、学校の先生方の努力だけでどうにかなる状況ではないと、強く感じました。
学校は何のためにあるのかを、ご家族も、もう一度、考えてみて欲しいできごとでした。