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Established With High Hopes

(株)SHOCHUXを立ち上げてから4年が経とうとしている。スタートアップ企業は幾つもの困難があるが、昨年は自分にとって最も苦痛な1年でした。

2022年にスタートさせたJapanese Dark Spiritsシリーズ。通称:JDS。それまでは、希継奈(Kizuna)や和深(Nagomi)といった麦焼酎や米焼酎を中心に、長期熟成と高アルコール度数にフォーカスした商品展開を行ってきており、ホワイトスピリッツとしてリリースしています。そんな中で私たちが提携する蒸留所は、もちろん長期樽熟成にも長けており、その歴史と技術が活かされた原酒を度々試してきました。SHOCHUXを運営する中で、焼酎というカテゴリーをどのように広げるかについて常に悶々と思考しており、そうした背景からこの新しいシリーズをリリースする事を決めた(詳しくは以下の記事に)

ウイスキーを筆頭に樽熟成酒の需要が世界的に高まっている中、ある程度は売れるだろうなと予想していました。シングルカスクでボトリングにより数量は限られていましたが、発売してわずか6分で完売するなど、前例のない反響があり、これまでで最も好評をいただきました。ご購入いただいた方々には心から感謝申し上げます。

2作目のフレンチオークは、自分で所有しているボトルさえないほど。

上記商品のリリースは2022年10月。それ以降も新商品の企画を進めており、本来であれば新しい商品を披露する予定でした。しかし、様々な事情により、全く公開できずにいました。(その事情は直接聞いてください…)そのようにして何も進まない2023年は、私たちにとって非常に苦しい1年となりました。「高く飛ぶためには深くしゃがむ必要がある」という言葉を信じて、この1年を過ごしてきた。
しかしいつもご愛飲いただいている皆様、そしてお取り扱いいただいている小売店飲食店の皆様の支えがあり乗り越えることができました。

JDS新商品の道のり

遡って今から3年前の2021年11月、まだJDS(Japanese Dark Spirits)シリーズおろか、「煌星」という商品をリリースしました。

この「煌星」は、SHOCHUXによる初の樽熟成酒であり、特徴的なボトルデザインや先進的な価格帯により、いままであまり焼酎を飲まなかった方々に商品を手にしていただく機会が多く、飲んでいただいた方からは「焼酎の概念を覆された」「全然焼酎ではないみたい」という感想を多数いただき、これは大変嬉しい反響でした。

しかし嬉しい反面、自分自身この「煌星」という商品は、本格焼酎の色規制内でいかに焼酎の麹由来の特徴を土台としながら、その上で樽熟成による香り/味わいの豊かさを(”焼酎”として)共存させるかというのをテーマにブレンドして造りあげました。私自身、これは焼酎の枠を超える新しい味わいだとは全く思っていませんでした。

その煌星をリリースし、商品を通して伝えたかった事と市場の反応のギャップに直面して、少しの葛藤を抱えていたその頃、ある衝撃的な原酒に出会いました。この事業も自分が、一人の焼酎ファンとして始めた事業であり、それまでも多数の焼酎や他の蒸留酒類を飲んできました。しかしこの原酒に出会って、私自身が概念を覆されました

それが2023年12月にリリースした[Nikkei2000]です。この1本は国産ウヰスキー樽で23年熟成させ、2年の期間を経て、ついに皆様にお披露目する時が来ました。

これまでにない盛り上がりをみせているジャパニーズウイスキー。そんなウイスキーもかつては、ワインや焼酎ブームに押され、今では考えられないほど不人気で、数ある工場が閉鎖を余儀なくされました。その閉鎖の際に隣町から譲り受け、ウイスキー産業の衰退の波を乗り越え翌年からこの樽で熟成を始めました。

本格焼酎のアルコール度数の規制は44度未満、そしてシングルディスティルド(1回蒸留)が特徴でもある焼酎は西洋のスピリッツのように複数回蒸留をしないため、度数がそこまで上がりません。カスクストレングスにみられるようなハイプルーフ樽熟成酒は樽由来の風味を最大限引き出します。対して本格焼酎は44度で樽詰め(カスクエントリー)せざるを得ない為に、それが難しいとされています。そして焼酎の樽熟成の歴史はウイスキーなどに比べても圧倒的に劣っており、その分野における技術の蓄積はまだ浅いと言えます。(そしてもっと業界で科学して行けば面白いなと思っています)

しかし今回のNikkeiを飲んだ時「これは!」と思わず唸りました。出会って2年経ちますが、あの衝撃は今日まで1度も忘れたことはありません。上述した焼酎の樽熟成の課題を乗り越え、新しい可能性を示しているとも思います。

ジャパニーズウイスキーは20年前からがらりと変わり、今では圧倒的不動の地位を築き上げ、世界中の熟成酒ファンを魅了しています。そんな彼らが焼酎蔵に託した、置き土産で熟成を重ねたニッケイ2000は、Japanese Dark Spiritsが世界へ飛び立つ象徴であり、わたしたちの希望そのものです。日本の熟成酒の歴史を感じていただける貴重な一本をこうして皆様にお届けできることを嬉しく思います。ぜひこの機会に、熟成業界怒涛の23年の味わいを体験いただければと思います。

上記はまるっと商品説明を引用しました。56本と、本数こそ少ないものの、(一応)焼酎でこの価格は挑戦でしたが、信じて購入してくださった方々に本当に感謝しています。

続く1月にも28年熟成のシングルカスクをリリース。

2月にはウイスキー&スピリッツフェスin横浜にも出展しました。このようなイベントに出展するのは初めてであり、自分達のターゲットである洋酒ファンに賞賛されたことはかなりの自信に繋がっています。

常に感じる劣等感

一方で大袈裟にボトラーズと自称しているのに、ただシングルカスクでボトリングしているのは、選び抜いている原酒とはいえ、誰でできてしまう。
蒸留所を自社で持たず、サプライチェーンを依存していることは、競争力としては弱い。
常に劣等感を感じているが、だからこそ焼酎と他蒸留酒に深い理解を持ち、それを基盤に他のジャンルと交差するような挑戦をしないと自分たちのやってる意味がない。
そして蒸留所を設立する目標に向かって努力をしなければならない。

前からコレクトしていた膨大な手持ちのボトルと日々重ね合わせながら、自分たちにしかできそうのない、そんなプロダクトを夏頃に披露できそう。

Established With High Hopes

ただ、自分の焼酎愛だけで始めたこの事業。4年経っても思い描いた姿には到底及んでいないが、この気持ちをいつまでも忘れずにやっていきたい。自分たちの商品、または取り組みだけでも、焼酎に興味を持ってくれる人がいたら、とても嬉しい。


3/23のSL人吉ラストランを記念して、熟成米焼酎「和深/NAGOMI」を「SL人吉スペシャルエディション」として、500本限定で先月リリースしました!まだまだ発売中なので、興味あればぜひ購入して下さいー!🚂

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