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独立してるのに混ざって見える【併置加法混色】
こんばんは。グラフィックデザイナー、カラリストの藤田です。
今日は混色についてのお話。
必ず見ている混色手法
併置加法混色という混色があります。
見る人間と色の距離が離れて、色同士の境界がぼやけると、
独立しているにも関わらず、色が混ざったように見えるというものです。
名前だけ見ると、小難しい感じがしますが、なんてことはありません。
皆さん毎日、眺めています。
なんなら、この記事を読んでるということは、絶対的に眺めているわけです。
なぜなら、テレビやパソコンのモニターなどの「ディスプレイ」に使われているからです。
ディスプレイは、1つ1つを視認するのが難しいくらい、とても小さな「赤・青・緑の光の点」を順番に並べて発色させています。
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今は拡大しているので、カラフルなドアが並んでいるように見えますが、
ぐーーーーーーーっと引いていくと…
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こんな感じに、くすんだ赤に見えますね。
不思議なものです。
絵画では点描画が
この混色は、現在ではデジタルで見ることの多い手法ですが、
アナログでも使われています。
それが点描画。
ジョルジュ・スーラの《グランド・ジャット島の日曜日の午後》などが有名ですね。
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微細な点の集合で描かれていますが、鑑賞する人には、色が混ざって美しい緑の風景が広がっているように見えます。
(作品はCreativeCommonsとして、上記のサイトから高画質版がDL可能です)
よく見ると、影の部分には青が配されていたり、
緑の芝生の中にも、様々な色がひしめき合っています。
絵画におけるこの混色方法は、
実際に混ぜていないので、同じ分量で実際に混ぜた時より、
クリアな色を得やすいのも特徴。
絵具は減法混色(CMYK)で、色を重ねるとどんどん暗く濁っていくので、明るく濁りのない色を作るには、混ぜずに混色するこの方法が最適です。
混ぜた色を見るために、必ずしも混ぜる必要がないというのは面白いですよね。
人間の視覚や脳が、いかに曖昧なものなのかが分かりますね。
当たり前のように普段から目にしているのに、考え始めると不思議な体験。
そんな併置加法混色のお話でした。
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