見出し画像

色の並びがもやもやする -前編-

こんばんは。グラフィックデザイナー、カラリストの藤田です。
今日はもやもやしてることを、ちょっと考えてみようかと。
長くなりそうなので、前後編に分けます。

もらった色鉛筆の「怪」

以前、友達にプレゼントしてもらった色鉛筆。
Shuttle Artという初耳のメーカーさんのもので、以前記事にも書きました。

で、この色鉛筆についてる色見本のシート。
「自分で塗って完成させてね」というもので、頑張って塗りつぶしたわけですが……。

1色10秒で塗ったとしても、約30分かかります。半分ずつで塗り分けたので、倍はかかってるはず。

仕上がったものを眺めての感想は「不思議な色の並び方だなぁ」。
色相もトーンも自由気まますぎます。
「気持ちよく並んでいる」のが好きな色彩マニアとしては、
あまりにも気になり過ぎて、夜しか寝れない状態なので、
何が起こってるのかちょっと検証しようと思います。

今日は上半分の4列を。

にじみ出る不可思議さ

スタートから奇天烈

ここでの注目ポイントは、スタートが緑系だということ。
そして逆順に回ろうとしているところ。
当初は、これに関して「オストワルト色相環」的な感じなのかな、とか考えていました。

オストワルト色相環は、「黄緑」から始まり、「黄色→赤」と通常の色相環とは逆方向に回って、「緑→黄緑」へ戻ってくる表色系です。
(他にも特徴はあるのですが、今回は色相だけピックアップ)

では、実際の1列目を見て行きましょう。

すみません。紙が反り返りました……。

1色目の色名を見てみると「Dark Bluish Green」。
緑青やないかーい!しかも、ダークトーンからスタートって。

続いて、3色めに暗い黄緑「148 Kiwi Green」が唐突に挿入。
「148 Kiwi Green」と「076 Bottle Green」は逆で良かったのでは?

そして、緑方向に進んだと見せかけての「162 Turquoise」。
緑青側へトンボ返りです。
急に色調を明るくして、また緑方向へ。

後半は、黄色~オレンジゾーンに差し掛かるのですが、
トーンがジェットコースターのように乱高下します。
「014 Cream Yellow」「158 Pale Yellow」の2色を、「036 Light Orange Yellow」の後に持っていきたい!


深まる謎

続いて2列目。

順当にオレンジからスタートしますが、唐突に現れるピンク3色(026~012)。
そしてOrange RedとRedの間に、しれっといるDeep Pink(090)。
君らのポジション、そこちゃうやろ。

そして赤→赤紫に向かう!のかと思いきや、
引き返して茶色方向へシフト。
ちなみに茶色は、オレンジや黄色の低明度・低彩度色。
またもや色相を逆行します。

一応「●●Red」と付いているので、赤の系統として処理した感じなのでしょうか? 深まる謎。

「078 Light Ochre」と「160 Burgundy」の位置を逆にしたい。


中央を陣取るピンクたち

3列目に移りましょう。

2列目の続きから、茶色系でスタート。
7色目の「098 Burnt Brick Red」までは順当ですね。
「034 Light Reddish Brown」と「039 Reddish Brown」の違いが薄すぎて、1色で良いのでは?と思いました。
もっと薄く塗れば違うのだろうか?

かろうじて分かるけど、画材としてはほぼ一緒。

そして唐突に中央を陣取るピンクたち。
「赤紫の続きですが、なにか?」という感じで現れるの、やめてもらっていいですか。

ただ、この違和感には理由があります。
続く色が「黄色」系だから。
続けるなら、茶色から黄色にすればいいし、
なんなら黄色は1列目にあったんだから、そちらにお引越しいただく方が賢明です。
赤紫系のピンクから黄色にジャンプするのは、理解が追い付きません。

そしてまたも唐突に現れる「002 White」。
「136 Warm Yellow」と「161 Cadmium Yellow」と、とりわけ薄くもない黄色に挟まれて、肩身が狭そうです。
グレースケールの群れへ帰してあげたい……。

あと最後の「150 Olive Yellow」と「031 Ginger Yellow」の色相差も、もやもやしますね……。


メタリック集団、見参!

本日最後の4列目。

またしても茶色系からのスタート!

「094 Brick Dust」で赤方向に移っていくのかと思ったら「095 Earth Tone」で緑方向にまた一瞬戻るという、不可解ムーブ。
こちらも「002 White」同様、1色だけ浮いていて悲しそう。
3列目の「150 Olive Green」を寄り添わせてあげたら、寂しい思いをしなくて済むのでは、と気を揉んでしまいます。

そして050~023までのメタリックカラーたち。
相変わらずオレンジと赤の間にピンクがあります。謎。
そして、有彩色の間に挟まれる「070 Metalic Silver」。
紫と青の間なのは「冷たい金属感」を想起させたいからでしょうか。
金銀セットで「050 Metalic Gold」の隣に並べてあげるのもアリだったのでは?

「019 Metalic Blue」と「143 Metalic Cyan Blue」の並びも気になりますね。
Cyanと付くと赤みが抜けたイメージなのですが……。
色塗り間違えたのかと思って改めましたが、合ってました。

うん、合ってる

上段だけでもお腹いっぱい

ということで、色見本上段を見てみました。
もう取り上げるところが多すぎて、お腹いっぱいです。
明日の後編は、下段の4列を取り上げます。
パッと見、上段よりは大人しそうに見えますが……。

とりあえず、もやもやを吐き出せて少しスッキリです。
お付き合いいただき、ありがとうございました。

いいなと思ったら応援しよう!

藤田さんちの色彩事情 - Kei's Factory
実体験&勉強から得た色彩のお話を発信しています。 よろしければサポートいただけると嬉しいです。 心躍る色彩のご紹介に繋がる様々なアイテムの準備に活用させていただきます。