こんばんは。グラフィックデザイナー、カラリストの藤田です。
今日は「茶色」とは何かを改めて考えます。
(秘密っていうほどの事ではないかも?)
そもそも茶色とは
茶葉を蒸して使う茶染の色のことを指します。
日本ではお茶と言えば「緑茶」が一般的で、ペットボトル入りのものも緑をイメージさせますが、冷静に棚を見てみれば、ほうじ茶、玄米茶、紅茶、烏龍茶など、お茶と付くものの大半は緑ではなく、ブラウン系の色をしていると思います。
日本における茶色、粋を表す色彩
江戸時代には「四十八茶百鼠」という、多様な茶色と鼠色(グレー)が生まれました。
階級社会であった当時、一般庶民の贅沢を禁じ、使える色(や生地、柄など)を制限した「奢侈禁止令」の発令に対して、使える色を粋に使うための知恵でした。
実際には茶とは言わないような色合いのものもあって、くすんだ色みの象徴として「茶、鼠」が使われていた…という感じですね。
実は「色相」にはない色
色相環を見回してみると、茶色って存在しません。
それもそのはずで、茶色というのは「オレンジ~黄色」の低明度の色全般を指すからです。
オレンジ・黄色をどんどん深くしていくと、茶色になっていきます。
黄色系は、茶色というよりはゴールド調になりますね。
茶色にもいろんな表情がある
茶色って一括りにしがちですが、
先に述べた通り、オレンジ~黄色の広い色相の低明度色なので、ちょっとした色合いの違いが、最終的な印象に大きく影響することがあります。
使う茶色がどの色相のものか、どんな表情をしているかを意識するのは結構大事です。
上の色は同じ赤と青ですが、下の茶色の色合いで表情が異なります。
元の色相との相性(オレンジが合う配色ならオレンジ系の茶色を、黄色が合う配色なら黄色系の茶色を使う)を考慮に入れると、グッと完成度が高まります。
茶色を上手に付き合う
茶色は低明度の色なので、たくさん使いすぎると地味で重たい印象になります。特に秋口は、オータムカラーの色があふれる時期なので、扱いにちょっと注意ですね。
上手に取り入れるには
・ポイントを絞って使う
・明るい色(白やベージュ)、鮮やかな有彩色を使う
・地面に近い場所で使う(上に使う時は、明るい色を下に)
などのポイントを抑えると、調和を取りながら、茶色自身がよいアクセントになってくれます。
縁の下の力持ち
茶色は、衣食住と生活を送るうえで、必ずどこかにある切っても切り離せない、目立ちはしないけれど、生活を支えてくれる大事な色彩です。
困った時(黒だと重すぎ、白だと明るすぎるという時)に、茶色という選択肢を持っておくと、縁の下の力持ちになってくれると思います。
(自分も黒の代わりに、たくさん世話になっています)
茶色は、単純に見えて奥深く、気付かれないようで多大な貢献をしてくれている色だということをお伝えしたくてまとめてみました。
目(意識)を向けると、新たな面がたくさん見えてくるので、ぜひ茶色のちょっとした違いを楽しんでみてください。